この文章のトピックスは以下です。
・自転車事故は22年で約2/3に減少
・ただし全交通事故に占める自転車事故割合はわずかに増加中
・自転車交通違反検挙数は22年で約460倍に増加
・自転車事故を分類別に見ると自転車単独事故が約2.5倍と一番増えている
・ヘルメット着用有無別事故は着用者の事故は増え、非着用者は減っている
・年齢階層別では、事故が多いのは若年層、死者数が多いのは高齢層
・自転車乗用中の飲酒運転死亡事故件数は10年で約40%減少
・ながらスマホ自転車運転者は10年で約3倍に増加
自転車事故自体は減少、全事故に占める自転車事故割合は増加
この文章でのテーマは、2026年から施行される自転車青切符制度について。
その原因となっている数値データを見てみようと思って以下にまとめています。
まずは青切符制度の主な違反行については以下です。
| 違反行為 | 反則金 |
| ながらスマホ | 12,000円 |
| 信号無視 | 6,000円 |
| 車道の右側通行 | 6,000円 |
| 歩道通行※1 | 6,000円 |
| 無灯火運転 | 5,000円 |
| 一時停止無視 | 5,000円 |
| 傘差し運転 | 5,000円 |
| 並進禁止違反 | 3,000円 |
青切符の主な対象違反行為と反則金額
出典:自転車の交通ルールと安全運転のヒント。2026年4月からの青切符制度を知り、安心で楽しい自転車ライフを(DAIWA CYCLE株式会社)
出典:統計表(統計表)
上記は自転車事故件数と全交通事故に占める割合推移です。
自転車事故件数2003年182,049件、2024年67,531件、前後比-114,518件(37.1%)。
全交通事故に占める割合2003年19.2%、2024年23.2%、前後比+4.0%。
自転車事故自体は約2/3に減っているにもかかわらず、全交通事故に占める割合は増えています。
言い換えると全交通事故は減っているが、自転車事故件数はそれに比して減っていない。

出典:自転車を安全・安心に利用するために(警察庁交通局)
上記は自転車交通違反の検挙件数です。
自転車事故件数2003年112件、2024年51,564件、前後比+51,452件(46039.3%)。
激しい上昇率ですが、これまで許されていた(見逃されていた)状況について、徐々に厳しくなっていったと考えられます。
自転車事故を分類別にみると自転車単独が圧倒的に増えている

出典:統計表(統計表)
上記は分類別・自転車事故件数です。
自転車対歩行者2014年2,551件、2024年3,043件、前後比+492件(119.3%)。
自転車単独2014年2,212件、2024年5,493件、前後比+3,281件(248.3%)。
自転車同士2014年104,502件、2024年58,992件、前後比-45,510件(56.5%)。
自転車対歩行者は約1.2倍、自転車単独事故は約2.5倍、自転車同士は約1/2。

出典:統計表(統計表)
上記は年齢階層別・自転車事故件数です。
負傷者数が多いのは若年層で、1位は15~19歳11,858件。
死者数が多いのは高齢層で、1位は80~84歳65件。
若い人は無茶な運転して事故を起こすが死に至ることは少なく、高齢者は事故件数は少ないが事故に会って命を落とすケースが多い。

出典:統計表(統計表)
上記はヘルメット着用有無別分類別・自転車事故件数です。
ヘルメット着用者の自転車事故数は2014年734件、2024年982件、前後比+248件(133.8%)。
ヘルメット非着用者の自転車事故数は2014年8,491件、2024年5,334件、前後比-3,157件(62.8%)。
意外にもヘルメット着用者は交通ルールを守る人が多く、自転車事故数が減っていそうですがそうではなく。
事故件数についてヘルメット着用者は10年で約1.3倍、非着用者は約2/3に減っています。
自転車乗用中の飲酒運転者は減少、ながらスマホは増加

出典:統計表(統計表)
上記は自転車での飲酒運転 死亡・重傷事故件数です。
2014年163件、2024年98件、前後比-65件(60.1%)。
死亡・重傷事故件数は約4割減っていますが、内閣府の2022年までの情報では、軽傷もいれるなら事故件数は増加しています。
ちなみに同じ情報ソースに年齢階層別飲酒運転・死亡事故件数があり、50歳以上が60.3%と自転車での飲酒運転者は高齢者が多い。

出典:統計表(警察庁)
上記は自転車でのながらスマホ運転、死亡・事故件数です。
2014年9件、2024年28件、前後比+19件(311.1%)。
数が少ないのですが、1つ上のグラフ飲酒運転とは異なり約3倍に増加しています。
同じ情報ソースに年齢階層別ながらスマホ運転・死亡事故件数があり、そこでは19歳以下が63件(55.3%)です。
実際、街を歩いていると若年層のながらスマホ運転者をみかけます。
ルール厳格化時に思う事
新たにルールが作られる、あるいはルールが厳格化される。
そこには理由があり、2026年4月からの自転車乗用中の青切符制度も「事故を未然に防ぐため」の対策です。
以下、自転車飲酒運転についての総括です。
・増加傾向:自動車は減少しているのに対し、軽傷者も含めると自転車は緩やかに増加。
・重大事故率が高い:死亡・重傷事故の割合が通常の事故よりも高い。
・摘発増加:2025年上半期だけで全国4000件超。
・認識不足:違反と知りつつ運転するケースや「少量ならOK」という誤解が多い。
自動車の飲酒運転事故件数は2014年4,155件から、2024年2,346件に減っています。
ただ、全事故に占める飲酒運転事故率は2014年0.8%、2024年0.9%と下がってはいない。
ここから感じるのは、一部の人は飲酒しても大丈夫と考えている人はまだいる。
ながらスマホについての総括は以下です。
・増加傾向:自転車事故全体に占める「ながらスマホ」事故は増加。
・若年層中心:19歳以下が半数以上。
・重大事故率が高い:死亡・重傷事故の割合が通常より高い。
・課題点:固定スマホ注視も違反。
飲酒すると認知能力が下がる。
スマホを注視すると周囲が見えなくなる。
どちらも事故につながりますし、重大事故になりやすいのは自明です。
とはいえ、当事者にとっては「少しくらいは」「自分は大丈夫」と思うのが人間の性(さが)なのか。
と言っても、自分や家族が被害者になったら「基本的なことも守れないのか」と憤ります。
システム設計ではフールプルーフという思想があります。
人間はミスする動物と前提に考え、誤った操作をしても安全が保たれる設計にし、障害や事故を防ぐ。
飲酒運転やながらスマホの防止策を、フールプルーフ視点で考えてシステム側で防止するなら。
呼気検査機能を自転車に装着、自転車を動かす時、飲んでいると自転車が動かないシステムにする。
スマホは一定の速度の時は画面を表示しないようにする。
上記案は技術的には簡単ですが、現実化は難しいと感じます。
自転車に呼気検査機を付けて、ロック機構も変えるとコストが上がる。
スマホ移動時の画面表示制限は、電車やマイカー移動時にユーザークレームになる。
自転車青切符化に対しフールプルーフ視点での、現実的かつ特効薬的な解決策は思いつきません。
それゆえ、青切符化のルール適用とも言えます。
ルールが増える時に思う事として、自分の首を絞めてはいないかと感じます。
さいごに
自転車通勤している知人との雑談で、飲酒自転車運転に気を付けるようになったと聞きました。
いま、夜の遅い時間、自転車に乗っていると警官に呼び止められることが増えた。
特に金曜日など、飲み会となりそうな曜日は顕著で、飲酒自転車運転を撲滅しようという警察側の気概を感じるとのこと。
言われてみると、一昔前はお酒を飲んで自転車運転する人はもっといたのかもしれませんし、近寄りたくはありませんが放置されていた気もします。
