この文章のトピックスは以下です。
・ルームエアコンの出荷台数は伸びているが近年はやや下落
・エアコン出荷金額合計はエアコン台数程伸びていない
・エアコン1台当たりの金額はピーク時の約半額
・エアコン普及率は約9割
・北海道など寒い地域のエアコン普及率は低い
・エアコン使用年数は上昇し続けている
・故障するまで使い続ける人が多くなっている
・世界的に見ると日本はエアコンが普及している国
・建設業界内の技術職者数と女性技術職者は近年増えている
・それでも技能労働者は不足している
エアコンの価格はピークに比べ51.3%と安くなっている
出典:家庭用エアコン(ルームエアコン)国内出荷実績(一般社団法人日本冷凍空調工業会)
上記は家庭用エアコン(ルームエアコン)の国内出荷実績です。
出荷台数は1979年3,437,000、2024年7,771,000、前後比226.1%です。
出荷金額は1979年459,575百万円、2024年683,302百万円、前後比148.7%です。
どちらも増加していますが、出荷台数より出荷金額の伸びが低い。
また、2024年付近は需要が減っています。
出典:家庭用エアコン(ルームエアコン)国内出荷実績(一般社団法人日本冷凍空調工業会)
上記は家庭用エアコン(ルームエアコン)1台当たりの金額です
計算式は1つ上のグラフ情報にある、出荷金額÷出荷台数です。
ピークは1984年の171,494円で、それ以降下がっています。
製品普及効果、技術進歩で2024年は\87,930になっており、ピーク価格に比べると51.3%と約半額になっています。
日本のエアコン普及率は約9割
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は2024年のエアコン普及率、全体・男女・年齢別の情報です。
総世帯の普及率は89.2%、男性世帯90.2%、女性世帯86.8%。
年齢別には若年層と高齢層が少し低い。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は2024年のエアコン普及率、世帯年収別情報です。
総論は世帯年収が高いほどエアコン普及率は高い。
300万円未満85.3%、1200万円以上96.4%、その差11.1%です。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は2024年のエアコン普及率、地域ブロック別情報です。
この中で飛びぬけて低いのが北海道・東北69.9%、2番目に低いのは北陸・甲信越86.2%。
どちらも気温が低い場所が思い当たります。
一番普及率が高いのは関東92.7%、ビル群のヒートアイランド現象などが考えられます。
エアコンは故障するまで使い続ける人が増えている
出典:消費動向調査(内閣府)
上記はルームエアコンの平均使用年数(耐用年数)です。
グラフを見て分かる通り、耐用年数は一貫して伸びています。
1998年9.8年、2024年14.1年、前後比+4.3年です。
10年前の製品を買い換えると省エネ技術の進歩で電気代が安くなるとは言われますが、技術の進歩で故障しにくくなったのか、使い続ける人は多いようです。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記はルームエアコンの買い換え理由です。
2024年時点で全体の7割を占めているのは、グラフ内青色線「故障」です。
「故障」が理由の買い換えは1998年47.0%、2024年70.8%、前後比+23.8%です。
「上位品目」への買い換えは1998年39.6%、2024年10.8%、前後比-28.8%です。
故障したら買い換える人が増えています。
出典:家庭用エアコン(ルームエアコン)国内出荷実績(一般社団法人日本冷凍空調工業会)
上記は参考情報ですが、世界の家庭用エアコン需要推定2023年の情報が上記です。
中国の人口が圧倒的に多いのもあり、家庭用エアコン需要も1位です。
インドも人口が多く高温多湿ですが、家庭用エアコンの普及はまだのようです。
こうしてみてみると、日本はエアコンがかなり普及している国と言えます。
建設業界も人手不足、高齢化が進んでいる
出典:建設業デジタルハンドブック(一般社団法人 日本建設業連合会)
上記は建設業の中で技術者の総数と女性技術者人数の推移です。
技術者総数は2023年くらいまで下がってその後盛り返しています。
2002年37万人、2023年38万人で、2023年が一番、数が多い。
建設業の女性技術者は少なく1万人~3万人で、全体比では5~6%程度です。
それでも建設業・技術者の全体の流れと同じく、近年が一番女性技術者が多くなっています。
出典:建設業デジタルハンドブック(一般社団法人 日本建設業連合会)
上記は建設業全体の若年層と高齢者の割合推移です。
他の業界と同じく、若年層低下、高齢者増加の流れです。
2002年のみ29歳以下が55歳以上を上回っていますが、翌年2003年に55歳以上が一気に増えています。
出典:建設業デジタルハンドブック(一般社団法人 日本建設業連合会)
上記は建設業界のうち、技能労働者の過不足率推移です。
過不足率とは、(確保したかったができなかった労働者数-確保したが過剰となった労働者数)÷(確保している労働者数+確保したかったができなかった労働者数)×100です。
0%を上回っていると(プラスになっていると)、労働者が不足している状態です。
2012年に1.3%になったあとずっとプラスの数字で、建設業界の中で技能労働者が不足し続けています。
さいごに
今回のこの文章、2024年の夏に発生した、個人的な3つの経験から調べてみようと思ったものです。
1つ目は、10年以上使ったエアコンがまだ故障はしていないが買い換えて、購入設置費用総額がやや上がったと感じた。
2つ目は、エアコンを買い換えたとき設置不備があり、複数の人が見た結果、設置した人の技術が低い可能性があった。
3つ目は、知り合いの工務店の社長さんと話していて、エアコン設置業者が減少し続けていると聞いた。
いまは、どこの業界でも人手不足です。
人口は大きく減少しておらず、働く人が減って、仕事量が変わらないのであれば人手が足りなくなるのは道理。
これは日本全体の流れであり、物価高・人件費高騰は令和の標準です。
自分が何十年間か社会人をやってきて、仕事を選ぶときの視点の1つとして、その人の中に技術として残るものかどうかは大事だと思うようになりました。
会社に依存するのではなく、自分の技術を磨いて独り立ちするスキルをいつも磨いておく。
これは職人さんと呼ばれるや大工さんや各種施工技術者、ITならエンジニアやデザイナーだけではなく。
経営者や営業職も突き詰めれば技術職です。
自分の技術のうち第三者評価で優れている部分があれば、「死にはしない」と鷹揚に構えていられます。
看護師業務ははハードですが、その職種が一生の手に職なのはその通りだと思います。