婚姻数・婚姻率は減少継続、時代の流れを考えればこの先も続く

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・2023年の婚姻件数はピーク時の43.2%
・2023年の婚姻割合はピーク時の32.5%
・都道府県別にみると人口が多い地域の婚姻件数・婚姻率は高い
・披露宴の招待客数はコロナ渦で下がった後、元に戻っていない
・披露宴総額もコロナ渦以前にまで戻っていない

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婚姻件数も割合も減少の一途

婚姻件数
出典:人口動態調査(厚生労働省)

上記は婚姻件数、1947年から2023年の情報です。
ピークは1972年の1,099,984件で、第2次ベビーブームのころです。
1972年前後に結婚した人の子どもの結婚時期に当たるのが2000年前後。
2001年は799,999件と、この近辺で一番高い数字ですが1972年に比べると72.7%と約3割減少しています。
2023年の婚姻件数は474,741件で、ピークの1972年に比べると43.2%と半数以下です。

婚姻率 人口千人対
出典:人口動態調査(厚生労働省)

上記は人口千人対の婚姻率です。
ピークは1947年12.0で、このころは戦後の事情があると想像できます。
2つ目のピークは1971年の10.5で、婚姻件数同様このころの婚姻率は高い。
それ以降右肩下がりが続き2023年3.9と、1972年に比べ37.5%と6割以上減少しています。

都道府県別では人口密集地帯の婚姻率が高い

都道府県別 婚姻件数 2023年
出典:人口動態調査(厚生労働省)

上記は都道府県別の2023年婚姻件数です。
圧倒的1位は東京で、日本の総人口の1/10以上の人口を抱える東京で、地方から若者が集まる街がゆえです。
他に関東近県や愛知、大阪、福岡の件数が多く、人口が多い都道府県の婚姻件数が多いことがうかがえます。

都道府県別 婚姻率 人口千人対 2023年
出典:人口動態調査(厚生労働省)

上記は都道府県別、人口千人対の婚姻率です。
婚姻件数同様、1位は東京ですが婚姻率はそれほど突出しておらず、独身者も多いと言えます。
婚姻件数が多い都道府県は、婚姻件数ほどではありませんがやはり婚姻率も高い。
他の特徴としては沖縄が高く、東北が低い。
近年東北ブロックの人口減少がよくニュースとなりますが、それを裏付けるデータです。

披露宴招待客数・総額はコロナ化以前より低い

披露宴・ウエディングパーティーの招待客人数の平均推移
出典:婚姻組数予測(リクルートブライダル総研)

上記は近年の披露宴・ウエディングパーティーの招待客人数の平均推移です。
コロナウイルス渦で谷ができて、その後復活の兆しはありますが、コロナ渦前まで戻っていません。
披露宴・ウエディングパーティーを開催する人は減っています。

披露宴の招待客人数 地域別 2024年
出典:婚姻組数予測(リクルートブライダル総研)

上記は2024年の地域別、披露宴・ウエディングパーティーの平均招待客人数です。
2024年の1位は九州で68.8人ですが、九州の2018年94.5人と約2/3になっています。
2018年に1位は青森・秋田・岩手の100.6人で、100人以上が当時は招待されていましたが、同地区の2024年は58.6人と約半数に減っています。
2018年と2024年の平均招待客数の減少率が低いのは首都圏で、2018年63.1人、2024年53.2人、前後比84.3%です。

披露宴・ウエディングパーティー総額の平均推移
出典:婚姻組数予測(リクルートブライダル総研)

上記は2024年の披露宴・ウエディングパーティー総額の平均推移です。
やはり2021年のコロナ渦では、披露宴を開催するか、開催するとしてもたくさんの人を呼ぶかなど、当事者たちが悩んだ結果ともとれる谷(総額が抑えらえている)ができています。

披露宴の総額 地域別 2024年
出典:婚姻組数予測(リクルートブライダル総研)

上記は2024年の地域別、披露宴の総額です。
2024年の1位は首都圏の374.8万円で、招待客数では4位の首都圏が金額では1位です。
招待客数で1位だった九州は、金額では2位の363.6万円。
2018年と2024年を比べたとき、100%を超えているのは首都圏100.6%と北海道113.8%の2つだけです。

披露宴で得られるものは何なのか

今回、披露宴・ウェディングパーティーの情報を見てみようと思った理由は、以下のニュース記事です。

結婚式場の3割が赤字、 市場はコロナ前に戻らず 「披露宴」規模の縮小痛手

コロナウィルス蔓延により多人数集合を避けていた時期、披露宴開催するか迷ったカップルの当時の心境は相当厳しかったと思います。
自分たちの披露宴でウィルス拡散や最悪、死傷者が出るような状況はどう考えても披露宴にふさわしくない。
悩んだ末、披露宴開催しなかった人はそれなりにいたと想像します。

そのコロナウイルス渦があけても、披露宴規模は元に戻っていません。
後付け的理由とも言えますが、1つに若者のコスパ思想は思いつきます。
そもそも披露宴費用を全額が自分たちの持ち出しということはほぼないでしょうが、2024年のデータでは全国平均で343.9万円かかります。
この中で仮に150万円を自分たちの出費として、それに見合うものは何かと考えてしまう。
披露宴開催で得られるものがこれよりあると思える人は披露宴を開催し、そうではない人は非開催を選択する。
近年、披露宴は開催して当たり前と考えない人は増えています。
また、金額的条件による足きりラインは、年々シビアになっていると感じます。

経験してみないとその実態はつかめませんが、披露宴開催すると膨大な準備時間が必要です。
披露宴準備リストを一読して「めんどくさい」と思う人がいても納得のボリュームです。

僕は20歳代後半から30歳くらいの人々と仕事で接する機会があり、その中で結婚しても結婚式・披露宴を開催しない人は半数程度です。
一応ですが、自分がいる場所が東京で、それほどサンプル数は身の回り情報なのであくまで一部のお話です。
その中で開催する人も家族のみとがほとんどで、これから考えると上記のYahooニュースは実感通りです。

物価上昇が普通になり、その例に漏れず披露宴・招待客1人当たりの単価は上がっています。
それでも、供給側(披露宴会場や会社)は大きく減らず、需要(披露宴開催者)が減っているなら、供給側の競争原理で単価は上げにくい。
単価を上げたとして、さらに披露宴を行わない人が増えるのも想定できる。
この先、若者減少は確定路線なので、披露宴市場の未来は何もなければ先細りです。

新郎新婦の親世代に当たる人たちの価値観の変化も、披露宴開催には向かい風です。
風習やしきたりに縛られる人は、いまの子育て世代は減っています。

僕は自分たちが結婚するとき、結婚式と披露宴を開催しました。
精神的にはやって良かったと思っていますが、コスパ視点では見合ったものが得られたと思っていません。
いまの経験で当時の自分達にアドバイスするなら、結婚式のみ開催で、当人だけもしくは参加したい家族のみで行い、披露宴ナシを選択します。

僕は自分の子どもが結婚式・披露宴を行わない選択をしても良いと思っています。
開催するしないは本人たちの意思で決めれば良く、できるかぎりそれを尊重したい。
一昔によく見聞きした、親族一同を集めて開催が当たり前のような思想は僕にはありません。

結婚式には「一緒に人生を乗り越えていく」覚悟を持つという面で、意味はあると思っています。
対し披露宴は自分たち以外に向けてなので、必要に応じてで良い。
わが家の子どもが披露宴を開催するなら、家族のみの最小構成だとうれしいと考えています。

さいごに

最近読んだ本で、若者の特徴について書かれていた以下の本があります。
著者は大学教師で、20歳前後の若者と接点が多い方です。

Page12
感じよく、そつなく、その場に適した返答をする。しかし、決して本音は明かさない。目立ちたくもないし、その他大勢の中に埋もれていたい…。僕はこれを、若者たちの「いい子症候群」と呼んでいる。
(中略)
Page165
間違ったことを言ったらどうしよう。わからないことを聞かれても困る。そんな責任は取れない。こういった気質は年々強化されている。

静かに退職する若者たち

若者全員が上記ではないのは言うまでもありません。
ただ、若者と接する機会が多い著者が肌で感じている実感です。

こうした「いい子症候群」に意図的に属する人の何割かは、披露宴をやらない選択をすると僕は読んでいます。
さらに「いい子症候群」の若者が親になり、その子どもが披露宴を開催する可能性を考えると、大規模披露宴は過去の遺物になると予想できます。