遊園地・テーマパークの入場料は高額化しているがそれは想い出の費用

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統計データ

遊園地・テーマパークの入場料金が上昇しているニュースを、最近見聞きします。
データを見てみるとたしかに料金はアップしていますが、入場者数は比例して増加していません。
他に昨今の物価高、光熱費高騰、人件費上昇から考えれば値上げはおかしくなく、入場者数が増えていないのは、可処分所得増加が伴っていない可能性も感じます。
入場料の高額化は施設に行けない子どもの経験格差につながる面では微妙ですが、いまも昔も子どもの時のお出かけ先の記憶として、一番残りやすいのは遊園地・テーマパークかもしれません。

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入場者数は微増、売上高は増加

遊園地・テーマパークの売上高
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)

上のグラフは、遊園地・テーマパークの売上高の推移です。
グラフ内青色部分の「入場料金・施設利用料金収入」とグラフ内灰色部分の「食堂・売店(直営のもの)」の積み上げ情報です。

2020年の減少はコロナウィルス蔓延の結果です。
それ以前の、2000年から2019年までは伸びており、2000年と2019年を比べると240.7%と約2.5倍になっています。

遊園地・テーマパークの売上高 入場料施設利用料と食堂売店売上 割合
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)

「入場料金・施設利用料金収入」と「食堂・売店(直営のもの)」の割合推移が上記です。
ほぼ、半々くらいですが、近年に近づくにつれて「入場料金・施設利用料金収入」の割合が伸びています。
入場料が高くなったのか、園内で支払う費用を抑えた結果なのか。

 

遊園地・テーマパーク 入場者数
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)

上記は遊園地・テーマパークへの入場者数推移です。
グラフ内青色部分の「一般」とグラフ内灰色部分の「団体」の積み上げ情報です。

先ほどの入場+園内費用は伸びていましたが、入場者数はそれのど伸びていません。
2000年と2019年を比べると142.1%、最高値は2015年の8,149万人、最低値は2020年の3,138万人です。

遊園地・テーマパークの売上高 一般と団体の割合
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)

「個人」と「団体」の入場者数・割合推移が上記です。
全体を通して圧倒的に個人優位。
さらに近年に近づくにつれ、団体割合は減少しており、少子化要因も影響していると考えられますが、いまは個人で遊園地・テーマパークへ訪れる人が多い。

入場料金は物価や光熱費高騰もあり上昇している

遊園地・テーマパーク 一人当たりの入場料金
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)

上記、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査にある情報で、遊園地・テーマパーク 一人当たりの入場料金の推移です。
全体を通して右肩上がり、東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンの入場料金が高額化しているのは良くニュースに取り上げられますが、それを裏付けています。

入場料・フリーパスの値上げ動向
出典:2023年「主要レジャー施設(テーマパーク)」価格調査(帝国データバンク)

上記、帝国データバンク発表の、入場料・フリーパスの値上げ動向、190施設に対しての調査結果です。
2022年と2023年の値上げを足すと43.2%と半数弱の施設場入場料・フリーパスの金額を上げています。
特に2023年の値上げ施設割合が32.1%と、2023年は入場料料金が上昇した年と言えます。

2023年の値上げ要因(重複を含む)
出典:2023年「主要レジャー施設(テーマパーク)」価格調査(帝国データバンク)

値上げ要因の情報が上記です。
「水道光熱費の増加」が27施設で全体比14.2%、「物価・諸経費の上昇」が14施設で全体比7.4%。
「混雑の緩和」のため、入場料を値上げして客数を減らす施設も4施設となっています。

2022年の年間入場者数1位はユニバーサルスタジオジャパン

テーマパーク・遊園地・動物園・水族館等 年間入場者数上位10施設
出典:全国レジャー・集客施設運営実績&動向調査(綜合ユニコム株式会社)

上記は、2021年度の日本国内のテーマパーク・遊園地・動物園・水族館等 年間入場者数上位10施設情報です。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、この調査では非公表のため除外されているとのこと。
1位「東京ディズニーランド&東京ディズニーシー」と2位「ナガシマリゾート」と、この2施設は1,000万人超えです。

Top 25 Amusement/Theme Parks Worldwide
出典:THEME INDEX MUSIUM 2022 (Themed Entertainment Association)

上記は、2022年の全世界テーマパーク入場者数Top25です。
Themed Entertainment Associationが集計した情報です。
「TOKYO DISNEYLAND AT TOKYO DISNEY RESORT」が1,200万人となっているので、1つ上の情報と同値。
このランキングにはユニバーサルスタジオジャパンの情報もあり、日本の中では1位で、入場者数は1,235万人です。

世界ランキングを眺めてみると、上位はアメリカが多く、次点が日本、次はフランス。
アジアでは韓国と中国もいくつかランクインしています。

ここまでをまとめます。
・遊園地・テーマパークの売上高はここ20年で約2.5倍
・入場料収入割合が少し増加、食堂売店売上割合が少し減少傾向
・入場者数はここ20年で約1.4倍
・入場料金はここ20年で約1.8倍
・2022年 日本の入場者数1位はユニバーサルスタジオジャパン
・入場者数国内Top10の中には無料施設も含まれている

キーワードは非日常

以下、「いこーよ」による2019年末に実施された「パパとママが子どもの頃一番の思い出のお出かけ先」のアンケート結果です。

子どもの頃の一番の思い出のお出かけ先
出典:子どもの頃の一番の思い出のお出かけ先に関するアンケート(いこーよ)

子どもの頃の想い出となっているお出かけ先の1位は「テーマパーク・遊園地」の30.4%。
良い思い出ばかりではなく、怖い思い出を含む印象に残りやすいインパクトの強い思い出がテーマパーク・遊園地では発生しやすい。

2位以降の項目を見ても、日常とは異なる非日常がキーワードです。
いつもと違う何かに触れ五感を刺激されたり、機会が少ないがゆえ希少性であったり。
公園のブランコにはいつも乗れるが、ジェットコースターのあのスリルは遊園地ならでは。
テレビで好きなキャラクターを見られますが、テーマパークでは着ぐるみだったとしても等身大の推しに出会える場所です。

遊園地やテーマパークは、年代ごとに楽しみ方や付き合い方が変わっていきます。
幼児の頃は、乗り物制限に引っ掛かり、それが逆に安心だったりして、好奇心と恐怖が入り混じった状態。
パレードやショーでは本物の迫力に圧倒され、部屋全体が暗い場所で暗闇の怖さの中ステージの輝きを知る。

小学生になると、ジェットコースターのスリルやお化け屋敷の怖さも表面上、取り繕うくらいに対応できるようになる。
友達と「俺、あの乗り物5回も乗ったんだよね」と自慢話に花が咲きます。

高校や大学、初めて彼氏彼女ができてデートとしてドキドキしながら行く。
つり橋効果など知るはずもない青い時代、自分のドキドキがジェットコースターのドキドキなのか一緒にいる人との感情の高ぶりなのか。

社会人になってグループでテーマパークに訪れるなら、自分の想いばかりを優先させる人は少なく、「次、何に乗ろうか」とみんなで譲り合うような微妙な距離感。
結婚して子どもができると、子どもからのリクエストであったり、子どもの友達家族と一緒に行くなどもあります。

僕はテーマパーク・遊園地が苦手で、人混みや行列を避けたいのがその理由です。
テーマパークとは独身時代は縁が細かったのですが、いまは育児中なので粛々と行列に並びます。

僕はいま東京在住なので、東京ディズニーリゾートに日帰りで行けます。
行くきっかけは子どもの友達が行った話をぱらぱら聞くようになり、うちもそろそろ行くかと重い腰を上げる。

最後に訪れてから10年以上経過したいまの東京ディズニーリゾートは知らないアトラクションもありますが、小さな子連れだと入られるアトラクションが限定されます。
当然ですがこの時期のご家族連れの基本路線は、自分が楽しむではなく、子どもが何に乗りたいかと奥様は何を食べたいか。

実際に、東京ディズニーリゾートに行った後の子どもの様子は、以前、以下の文章で書きました。

家族の歴史として魔法にかかる
TDR(東京ディズニーリゾート)で、分かっていて魔法にかかる。 独身時代はなるべく行かないようにしていた場所に、子どもができるとそれが行くきっかけになります。 園内で子どもが楽しそうにしている、帰宅後また行きたいという言葉が自然に口からこぼ...

わが家の子どもに何年か経って「ディズニーに行った記憶ある」と聞くと、当時の楽しかった記憶が残っていると言う。
やはりテーマパーク・遊園地はいまも昔も変わらず、思い出のお出かけ先なのだと感じます。

さいごに

真偽不明ですが、ユニバーサルスタジオジャパンの任天堂マリオランドの建設費が600億円というニュースがあります。
1つのアトラクション(エリア)の制作費が600億円という高額なのは、任天堂の本気さというかいつもながらの中途半端なモノをリリースしない社風を感じます。
任天堂では、開発がある程度進んだものでもダメとなれば「ちゃぶ台返し(開発中止)」文化がある、と任天堂開発者の記事の通りだと感じます。

1つのエリアに数百億円を拠出できる遊園地・テーマパークは限られますが、それだけの施設なので入場料が1万円を超えるともいえる。
入場する側視点では高額と感じても、ビジネス視点では妥当です。