この文章のトピックスは以下です。
・日本の広告費全体は37年で約1.6倍
・テレビ広告は37年で117.6%と増加、新聞、雑誌、ラジオは大幅減少
・インターネット広告は19年で13倍以上と大きく増加
・37年で広告に関わる事業所数は107.1%、従業員数は132.0%に増加
・世界の広告市場予測はこの先10年で149.1%
日本の広告費全体は37年で162.3%に増加
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)
上記は37年間の広告費、全体情報です。
1988年は3兆5460億円、2024年は5兆7565億円、前後比2兆2105億円(162.3%)です。
2020年以降は物価上昇率が高いですが、それ以前は日本の物価は停滞していました。
広告費は37年で約1.6倍になっており、広告市場は伸びています。
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)
上記は新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットの広告費です。
新聞広告費1988年は7040億円、2024年は1940億円、前後比-5101億円(27.6%)。
雑誌広告費1988年は1907億円、2024年は460億円、前後比-1,447億円(24.1%)。
テレビ広告費1988年は1兆0971億円、2024年は1兆2902億円、前後比+1931億円(117.6%)。
ラジオ広告費1988年は1022億円、2024年は341億円、前後比-681億円(33.3%)。
インターネット広告費2006年は1200億円、2024年は1兆5813億円、前後比+1兆4613億円(1317.3%)。
上記情報は、よく聞く4媒体広告は厳しくインターネット広告が伸びている結果でもあります。
ただ、テレビ広告は37年で117.6%なので大幅減少ではなく、物価上昇率を含めて考えると横ばいです。
そして新聞、雑誌、ラジオは大きく減少しています。
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)
上記は屋外、交通、折込み・ダイレクトメール、海外、SP・PR・催事企画の広告費です。
37年間の前後比で比較するなら、屋外広告のみ-9%でほかは増加しています。
ただグラフは山型になっており、1990年代から2010年代前半がピークです。
広告業界の事業所数、従業員数は37年で増加傾向
出典:特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)
上記は広告業における、事業所数と常用従業者数です。
事業所数1988年840、2024年900、前後比+60(107.1%)。
常用従業者数1988年37,628人、2024年49,672人、前後比+12,044人(132.0%)。
長期で見るならどちらも伸びていますが、2020年以降は微減傾向になっています。
世界の広告市場予測は10年で約1.5倍
出典:広告市場の規模、シェア、成長、業界分析、タイプ別(新聞&雑誌広告、屋外広告、ラジオ広告、インターネット広告)、アプリケーション(食品および飲料産業、車両産業、健康と医療産業、商業および個人サービス)、地域予測2033年(BusinessResearc)
上記は世界の広告市場予測です。
2024年729億米ドル、2033年予測では1087億米ドル、前後比+358億米ドル(149.1%)。
グラフを見ると、きれいに増加を続けておりこの先10年で約1.5倍で、CAGR(年平均成長率)換算では約3.6%になります。
上記データ出典もとに記載がありますが、広告市場のメインプレーヤーはインターネット関連のGoogle、Meta、Amazonなどです。
時代とともに広告も変化している
電通が初めてインターネット広告費を推計した1996年で、その広告費は16億円。
上記データにあるインターネット広告2024年の広告費は約1.58兆円。
単位が兆円という大きいですが、伸び率もすさまじい。
2021年にインターネット広告がそれまでずっと1位だったテレビ広告を追い抜きました。
そのテレビ広告は、4媒体広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の中では唯一ここ37年で増加していますが、テレビ以外の新聞、雑誌、ラジオの大きく広告費が減少しています。
僕はIT関連の仕事で、インターネット広告出稿側の経験があります。
この時学んだのは、「ザックリよろしく」とは正反対の「精緻な分析」でした。
インターネット広告は投資対効果が見えやすく、広告業界用語でいうとROASやCPAなど、きっちり数字で管理します。
どこの広告面にどんな体裁や文言で出したら、これだけの差があったなどがクリアに見える。
広告を出したり下げたり、成績の良い広告に重点配分したりもリアルタイムでできます。
そして上司からは、かけたコストに対しどれだけ実入りがあったかを詰められます。
技術面としても、リアルタイムのターゲティングはいまは当たり前です。
その時、その人に響きそうな広告を選んで表示する。
2025年時点ではAI活用も進み、さらにパーソナライズも進化しています。
広告出稿側ではなく広告を見る側視点で見ると、自分の嗜好を常に分析されていることでもあります。
SNSで自分と意見と近い人のコメントピックアップされるのもその1つ。
エコーチェンバー効果であり、自分の考えが正しいと思い込んでしまう懸念があります。
ECで物を買うときは、単純接触効果(ザイアンス効果)も日ごろから感じます。
自分がどこかのECモールで見た商品が、普通見ているたとえばニュースサイトの広告枠に何度も表示される。
自分のスマホやPCに表示される広告を見ると、随分追いかけられていると感じます。
さいごに
僕は10年以上前、結婚するとき、雑誌のゼクシィを購入しました。
購入理由は、結婚式までに何をしたら良いのかの目安が知りたかったのと、自分たちが式を挙げる会場候補を探すためでした。
中身を見て思ったのは、自分が求めていた結婚式タスク一覧はわずかで、分厚い雑誌の大半は結婚式場やウェディング開催できるレストランのカラー大量広告でした。
少年ジャンプや文学雑誌はコンテンツがメインですが、結婚情報誌は広告がコンテンツになる種類の雑誌だと当時感じました。