この文章のトピックスは以下です。
・有給休暇取得率は(今回のデータ内最新年の)2024年が一番高く65.3%
・有給休暇の付与日数、2024年は16.9日
・有給休暇の取得日数、2024年は11.0日
・企業規模別(人数)で比べても1位と最下位で4.2%しか差がない
・業種別有給取得率1位は「鉱業,採石業,砂利採取業」で7割強
・有給付与制度がある企業は2024年時点で約4割
・世界比較で日本は有給取得率が低い
・それでも日本は休み不足を感じていない人が多い
2024年時点の有給取得率は約2/3

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は平均年次有給休暇の取得率推移です。
1984年55.6%、2024年65.3%、前後比117.4%です。
グラフでは山が2つあり、1つ目は1992年周辺、2つ目は最新年の2024年。
ピークは2024年で、約2/3が年次有給休暇を取得(消化)しています。

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は平均年次有給休暇の付与日数です。
1984年14.8日、2024年16.9日、前後比+2.1日(114.2%)です。
ただグラフでは山型で、ピークは2014年18.5日。
近年有給休暇付与日数が下がっているのは、転職が一般化したのが要因の1つとして思い浮かびます。
(転職すると新たな組織で付与される有給休暇日数が少なく、所属年数が長いと有給付与日数が増える)

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は平均年次有給休暇の取得日数です。
1984年8.2日、2024年11.0日、前後比+2.8日(134.1%)です。
ピークはデータ内最新年の2024年11.0日で、この11日を1年間の12か月で単純計算するとほぼ毎月1日、有給休暇を取得することになります。
有給取得率1位は「鉱業,採石業,砂利採取業」で7割強

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は企業規模別の有給休暇取得率、2024年の情報です。
取得率が一番高いのは1,000人以上67.0%、一番低いのは100~299人62.8%、その差は4.2%。
企業規模が一番小さい30~99人は63.7%です。

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は産業別の有給休暇取得率、2024年の情報です。
取得率が一番高いのは鉱業,採石業,砂利採取業71.5%、一番低いのは宿泊業,飲食サービス業51.0%、その差は20.5%。
産業別は企業規模と違い、一位と最下位で大きな差が出ています。
計画的有給付与制度がある企業は2024年時点で約4割

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は平均年次有給休暇の付与制度がある企業の割合です。
1988年14.2%、2024年40.1%、前後比282.4%でグラフでは2020年に一気に数字が上がっています。
これは大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月1日から適用された「年5日の年次有給休暇の確実な取得義務」によるものです。

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合、企業規模別の2024年情報です。
有給休暇付与制度がある企業規模の1位は1,000人以上42.6%、一番低いのは100~299人39.0%、その差は3.6%。
企業規模が一番小さい30~99人は40.3%と、有給取得率と同じく100~299人規模の企業よりわずかに高い。

出典:就労条件総合調査(厚生労働省)
上記は年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合、産業別の2024年情報です。
付与率が一番高いのは製造業49.2%、一番低いのは電気・ガス・熱供給・水道業25.5%、その差は23.7%。
産業別では有給付与も有給取得も、一位と最下位で大きな差が出ています。
日本は世界的には有給取得率が低い

出典:エクスペディア 世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024を発表(Expedia)
上記は世界11地域における有給休暇の取得状況です。
取得率が一番高いのは香港108%、一番低いのは日本63%。
香港が100%を超えている理由は不明で、有給付与日数以上の何らかの有給取得ができています。
日本は10か国中、最下位です。
上記グラフの国名横のカッコ数字は、有給取得日数/付与日数です。
付与日数平均は21.9日、日本付与日数は19日、世界と比べやや低い値。
付与日数の多い国はフランス31日、ドイツ29日、イギリス27日とヨーロッパ勢です。

出典:エクスペディア 世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024を発表(Expedia)
上記は休み不足を「感じていない」と回答した割合です。
日本は1位で47%と、半数弱が休み不足を感じていないと回答しています。
休み不足を一番感じているドイツ16%と比べると約3倍の差があります。

出典:エクスペディア 世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024を発表(Expedia)
上記は「毎月有給休暇を取得している」と回答した割合です。
日本は1位で32%、約1/3の人が毎月有給休暇を取得しています。
2位香港27%、3位シンガポール9%と、この順位からはアジア勢が毎月有給休暇を取得してます。
よく聞くヨーロッパの人々は長期休暇取得習慣が一般化しており、日本で長期休暇取得者はあまりきかないのもあり、日本はこまめに休み取得している特徴があります。
チキンレースの時代ではない
ヨーロッパの有給休暇取得例として、期初にチーム全員がいつ長期休暇を取得するのか決めるお話を聞きます。
たとえばAさんは7月1日~7月31日、Bさんは7月15日~8月15日、Cさんは8月1日から8月31日のように。
この方式の特徴として上げられるのは以下です。
・絶対に休みは動かせないので休み前に自分のタスクを終わらせる(時間管理をしっかりする)
・社会の共通認識として長期休暇取得者が多い期間は、サービスレベルが落ちる、あるいは受けられないが前提になる
振り返って日本を見てみると、例えば複数人の医師が所属する歯医者さんであれば、年末年始やお盆を除いて、常に一定レベルの治療を受けられます。
スーパーマーケットは、近年年始に休業するところも出てきていますが、年間を通してだいたい開店している。
それにわれわれが慣れてしまっています。
こうした「スーパーはいつも開店している」が社会一般通念になると、同業他社はそれに倣う。
まるでチキンレースのように、どこかが少し良いサービスを提供すると、自分のところはさらに1歩上をいこうとする。
結果、休みを取りづらかったり、勤務時間が長くなっていたのが昭和から令和でした。
当時の特徴として、いまより休暇取得すると周囲の目線が厳しい時代でもありました。
同調圧力の高い組織であればとくのその傾向が強かったように思え、休暇は和を乱す戦犯行為くらいの扱いだったのかもしれません。
あるいは「24時間働けますか」のフレーズが昭和生まれの人の耳にのこっていますが、令和では時代錯誤感が否めない。
そうなると、年に数日、お付き合い程度に有給消化することはあっても、長期休暇取得は新婚旅行くらいになってしまう。
日本は祝日が多い国ですが、それでも僕は1週間~2週間の休暇は気兼ねなく取れる社会風潮になればよいと思っています。
一応の補足ですが、働くのが好き・生きがいのような人もいるので、その人には存分に働ける環境を用意するのも、ありだと考えています。
有給休暇に対する姿勢で、僕は働き始めた20代前半といまで大きく考え方を変えました。
働き始めの頃は、有給休暇は風邪による病欠や、平日に役所に行くために取得するものと思い込んでいました。
それがいまは、自分のやりたいことや、休みを取るだけの意味があるものに積極的に使用するものに考えが変わりました。
ここには、働くために生きているわけではなく、人生を楽しむために仕事も余暇もあると思考転換したためです。
積極的な有給使用として分かりやすいのは、休暇を取って趣味の釣りやスキーに出かけるなど。
あるいは前向きな時間の使い方として、以下の本のように積極的休養もあります。
上記「休養学」の本は、疲労や休息、休むことの必要性をエビデンスをもって解説しています。
「疲れたから(有給休暇を取得して)休む」は、なまけるのとは違うとしています。
何かをするのにエネルギーは必要で、それが枯渇しているなら積極的な充電(休養)は必要。
良い睡眠は最適解の1つですが、しっかり休んで人生を楽しむ。
いま日本の会社で働いていて、毎年1カ月間休暇取得する人(できる人)は少ない。
ここには長期休暇取得が一般的ではない点の他に、休暇取得に対する後ろ目たさが残っている気もしています。
あとは現実的に、金銭的に余裕がないのもありえる。
さらに踏み込むと、1か月休暇取得しても何をして良いのか分からない人もそれなりにいるのかもしれない。
働いてお金を稼いで生活を成り立たせるのは人生のベース。
そのうえで、積極的に有給休暇取得して、テーマを1つ決めてその日を楽しむような時間の使い方は、生きた時間の使い方です。
さいごに
以前、知人の小規模事業社長との雑談で、その会社の有給休暇状況を聞きました。
「いま、有給休暇付与は大企業と同じレベルで設定しないと人が雇えない。
周辺の中小企業経営している知人に聞いても同じ回答。
ただ実際に取得できるかは課題点で、会社の人数が少ないので社員はやはり休みにくそうではある」
こんな話を聞かせてくれた社長が、週末や年末年始に仕事をしているのを知っているので、休暇取得は悩ましい問題だと思っています。
