日本のペットボトル・リサイクル率86%は欧米に比べ圧倒

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統計データ

現代のペットボトル商品の大半は清涼飲料水。
そんなペットボトルですが、リサイクル意識は日本は欧米に比べ高く9割以上になっています。
ごみ捨て時の分類アンケートを見ても、分別廃棄が浸透している日本。
マイクロプラスチック問題や過剰包装に対してネガティブと考える人も増えており、ラベルレスペットボトルでよいと考える人は3割強います。

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PETボトル回収率94%、リサイクル率86%

はじめに清涼飲料水ペットボトルの出荷本数と、CO2排出量の情報です。

清涼飲料用PETボトルの出荷本数と、その環境負荷(CO2排出量)の推移
出典:PETボトルの軽量化(PETボトルリサイクル推進協議会)

2004年度のペットボトル出荷本数は148億本、2021年度は234億本で、17年で1.58倍に増加。
対し環境負荷となるCO2排出量は、2004年度は2,089千トン、2021年度は2,096千トンで1.00倍。
ペットボトル出荷本数は増えていますが、CO2排出量は横ばいとなっています。

PETボトルの回収率推移
出典:PETボトルの回収率の推移(PETボトルリサイクル推進協議会)

続いて、清涼飲料水だけではないペットボトル全体の、販売量と回収率とリサイクル率が上記です。
2005年と2021年を比べてみると、販売量は109.6%、回収率は152.4%。
リサイクル率は2012年からのデータとなっており、2021年と比べると101.2%。
回収率が大きく増加しています。

日米欧のリサイクル状況比較
出典:日米欧のリサイクル状況比較(PETボトルリサイクル推進協議会)

同じ情報元に、日米欧のリサイクル率の比較データがありました。
日本はダントツの優等生で、2021年のリサイクル率は86.0%。
2012年と2021を比べると、日本は101.2%、欧州は113.9%、アメリカは85.3%と微減です。

ペットボトル原材料分類では清涼飲料水が86.7%

このブロックはペットボトルを作る材料を、小分類化した1999年からの推移です。

ボトル用PET樹脂需要実績推移
出典:ボトル用PET樹脂需要実績推移(PETボトルリサイクル推進協議会)

全体としては、1999年は370,486トン、2021年は740,049トン、369,563トン増加(199.8%)です。
グラフの一番上の青色線が清涼飲料水で、これだけ単位が大きいので右軸です。

清涼飲料水はたいていの人が想像する通り、右肩上がり。
全体に占める割合では2021年は86.7%と、現代のペットボトルの大半は清涼飲料水です。

ボトル用PET樹脂需要実績推移 割合
出典:ボトル用PET樹脂需要実績推移(PETボトルリサイクル推進協議会)

上のグラフは1999年を100として、それ以降の増減率を表しています。
清涼飲料水の伸び率は上から3番目で、1999年と2021年の前後比208.1%。
伸び率1位は「医薬品、その他」の333.3%、2位は「化粧品」の241.3%です。
特に医薬品が、近年大きく伸長しています。

逆に、1999年と2021年を比較して100%以下になったものが2つ。
酒類は86.3%、食用油は58.0%に減少しています。

ペットボトルの捨て方の意識アンケート

上のグラフでは欧米に比べ日本では、ペットボトルリサイクル率が高い結果でした。
このブロックは、日本人が日常の行動として、ペットボトルをどう扱っているかのアンケート結果です。

外出先(オフィスや学校など屋内)で飲み終わったペットボトルをどうしているか
出典:ペットボトルに関する消費者意識調査2022(一般社団法人全国清涼飲料連合会)

上のグラフ、外出先(屋内)で飲み終わったペットボトル処理に関する、複数回答のアンケート結果ですが、「リサイクルボックスに入れる」割合が9割以上。
リサイクル意識が浸透しています。

外出先(屋外)で飲み終わったペットボトルをどうしているか
出典:ペットボトルに関する消費者意識調査2022(一般社団法人全国清涼飲料連合会)

上のグラフ、外出先(屋外)で飲み終わったペットボトルの取り扱いについての回答です。
「自販機横のリサイクルボックスに入れる」が42.6%、「コンビニのごみ箱」が39.7%、「自宅に持ち帰る」が39.4%と、この3つは分別廃棄をしていると思われます。
最下位ですが「道路などにポイ捨てする」が0.7%、現代の東京では道端にペットボトルが落ちているシーンはほぼ見ません。

自宅で飲み終わったペットボトルをどうしているか
出典:ペットボトルに関する消費者意識調査2022(一般社団法人全国清涼飲料連合会)

自宅でのペットボトルの取り扱いも、リサイクル観点で見ると良好。
「ペットボトル回収に出す」が67.2%、「スーパーなどのリサイクルステーション」が27.4%、合わせると94.6%と、ほとんどの人がリサイクルしています。

自宅で飲み終わったペットボトルのキャップやラベルを外すか
出典:ペットボトルに関する消費者意識調査2022(一般社団法人全国清涼飲料連合会)

上記は、自宅で飲み終わったペットボトルのキャップやラベルを外すか。
「キャップ・ラベルともに外している」が74.6%と約3/4です。
「キャップ・ラベルともに外していない」は12.5%と、9割弱の人は分別しています。

あなたは、ペットボトル飲料にラベルは必要だと思いますか?
出典:ペットボトルに関するアンケート(日本トレンドサーチ)

最後に、ペットボトル飲料にラベルは必要だと思うかのアンケート結果です。
1位「どちらかと言えば不要」31.9%、2位「どちらかと言えば必要」28.2%と拮抗しています。
いまはAmazonではラベルレスペットボトルが普通に売られており、おなじみの商品であればラベルレスで十分と考える人が増えていると予想できます。

ここまでをまとめます。
・清涼飲料水のペットボトル出荷本数はここ17年で1.58倍に増加
・同期間、ペットボトル製造についてのCO2は増えていない
・ペットボトルのリサイクル率2021年は94.0%、欧米より圧倒的に高い
・ペットボトルを使った商品の種別は清涼飲料水が86.7%と大半
・ペットボトルを捨てる際のリサイクル意識は高い
・ラベルレスペットボトルでも良いと考える人は3割強

ペットボトルは一人暮らし生活と親和性が高い

あらためて見渡してみると、現代社会はペットボトルが溢れています。
スーパーやコンビニの陳列棚をみても、ペットボトル売り場に占める面積割合が広い。

酷暑になった現代、水分補給が必須になり、外出先で何かを飲む時、スッキリした飲み物を手に取る。
火照った身体に、冷えた炭酸水の爽快感は気持ちの良いものです。

ペットボトルが悪いのではないですが、呼称として「ペットボトル症候群」があります。
本来は「清涼飲料水ケトーシス」のことで、糖分を含む甘い清涼飲料水の大量摂取に対しての警鐘です。
清涼飲料水を飲むと血糖値が上昇、そうすると喉が渇いてさらに清涼飲料水を飲む悪循環。
結果、当分の取り過ぎになり身体に悪いというお話です。

他にペットボトル飲料の懸念点を考えると、マイクロプラスチック問題があります。
ペットボトル1本にもわずかなプラスチック片が含まれていて、人間が飲み込んでいる。
真偽は分かりませんが、これを知ったとしても大半の人は許容する気もします。

世の中のペットボトル需要は増加していますが、僕は歳を取るにつれペットボトル購入量が減りつつあります。
一応ですが僕はペットボトルに対し、忌避感はありません。
あえて理由を挙げるなら、熱意の低い健康志向で、砂糖が入った飲み物は意識して選択しなくなりました。

僕は家族で暮らしていて、子どもと外出する時も、基本はマイボトルを持参。
自宅でもタンブラーで飲み物を飲んでおり、毎週の分別ごみ出しではペットボトルが1本もない週もあります。
自分が世間の標準ではなく、どちらかと言うと現代ではマイノリティ側だと思っています。

いまはペットボトルから離れつつありますが、独身時代の一人暮らしの時はいつも冷蔵庫にペットボトルが入っていました。
振り返ってみても、ペットボトルは一人暮らしと親和性が高い。

麦茶を飲むとして、麦茶パックからお茶をつくるのを一人の時はやっていませんでした。
それが、家族で住んでいると例えば麦茶消費量が多く、自宅で手軽に作れる点でも金銭面でもいまは麦茶パックがメイン。
とは言え、外出先でペットボトルの冷たいお茶を買うことは普通にあります。

マイクロプラスチック問題があったとしても、いますぐペットボトルが何かに置き換わる世界は想像できません。
今回調べたデータでも、日本のリサイクル率の高さから考えると、代替する必要があるのかと思えるほど。

ペットボトルは、製造コストが安く、加工が容易、軽い。
いずれ代替物が出てくるかもしれませんが、ビジネスで考えるとその普及ハードルは高いと感じます。
結果、緩やかな対応として、ラベルレスあたりをSDGs意識にもなぞらえ取り入れていくのが、現代のメインストリームと予想します。

僕は、ゴミの分別は日常的に行っています。
また、ゴミはできるだけ減らしたいと思っており、そういう意味でペットボトルはラベルレスで十分。
ペットボトル本体のどこかにQRコードを印字して、必要な人はそこからネット閲覧で事足ります。

さいごに

ペットボトルに小銭を入れて応援グッズにしたり、ペットボトルロケットを飛ばしたり。
メントスコーラ(知らない人はYoutubeで検索してください)など、ペットボトルを使った遊びはあります。
他にも、子どもがいるとペットボトルボウリングや輪投げなどは定番の遊び。
ペットボトルじょうろも、初めてのじょうろとして良く耳にします。

ペットボトルは捨てるものなので、壊れても大丈夫。
その汎用性の高さは、ペットボトル普及度に大きく貢献しています。