日本のお米消費は2023年までは純減、稲作は地味だとしてもそれが標準

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・お米の消費量は減少し続けていたが2024年は上昇した
・家庭内消費より中・外食消費量の増加率が高い
・お米の作付面積、生産量ここ16年で約3/4
・世界で穀物消費は続いておりお米もその1つ
・お米消費の85.5%はアジア圏
・稲作がどんなものか知る1つとしてゲーム「天穂のサクナヒメ」は秀逸

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1人当たりのコメ消費量は漸減

米 1人1ヵ月当たり精米消費量の推移
出典:消費動向調査(公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構)

上記は公益社団法人・米穀安定供給確保支援機構にある、1人1ヵ月当たり精米消費量の推移です。
2012年を基準にすると微減し続けていましたが、2024年は伸びています。
2012年4,909g/月、2023年4,626g/月、5,091g/月です。

家庭内消費量は、2012年3,351g、2024年3,437gで増減率102.6%。
中・外食消費量は、2012年1,558g、2024年1,654gで増減率106.2%。
家庭内消費に比べ、わずかに外で食べるか買ってくる割合増加が大きいです。

米の一人当たりの消費量推移
出典:水稲の収穫量に関するデータ(クボタ)

上記はクボタにあった、長期の一人当たりの米の消費量推移です。
1960年114.9kg、2022年50.9kgで、増減率は44.3%と半分以下になっています。
長期で見ると、日本人の米離れは進んでいます。

日本国内のお米生産量は減少し続けている

主食用米 作付面積
出典:①我が国における米の状況(農林水産省)

上記は、主食用米の作付面積の推移です。
作付面積は緩やかに下がっています。
この期間、一人当たりの米の消費量は下がっており、需要減少と並んで生産減少しています。

主食用米 生産量
出典:①我が国における米の状況(農林水産省)

上記は、主食用米の生産量推移です。
1つ上のグラフは作付面積、こちらはそこから収穫できた量です。
作付面積は2008年と2023年を比べると77.8%、生産量は2008年と2023年を比べると76.3%。
ほぼ同値ですが、作付け面正規の減り幅が生産量に比べわずかに少ない。
品質改良でよりたくさんのお米を作るような時代ではなさそうです。

お米消費はアジア圏の人が8割以上

お米の消費について、このブロックでは世界の情報を記載しています。

世界人口の推移
出典:コメ産業の変化と今後の発展に関する調査報告書(日本政策投資銀行)

最初に、世界人口の推移予測が上記です。
予測値ですが、人口予測はかなりの精度で当たる情報です。
この情報ではきれいに右肩上がりで、2050年時点ではまだ人口増加は続いています。

世界の主要穀物の消費量推移
出典:コメ産業の変化と今後の発展に関する調査報告書(日本政策投資銀行)

世界の主要穀物の消費量推移情報が上記です。
全体としてはどの穀物も増加しています。
2010年と2030年を比べると、増加率1位は大豆154%、2位はトウモロコシ150%、3位が米で127%です。
この先も米も需要が増えていく予測です。

世界の穀物の需給及び単収等の推移
出典:世界の食料需給の動向(農林水産省)

上記、農林水産省に世界の穀物需給の実績データがありました。
生産量・消費量とも右肩上がりで増えていますが、収穫面積のみ大きく伸びていません。
20世紀が農業革命の世紀だったことを裏付けるデータで、世界人口増という需要(必要性)はあり穀物需給は増えています。

コメの地域別消費量
出典:コメ産業の変化と今後の発展に関する調査報告書(日本政策投資銀行)

上記は世界地域別の米消費量です。
1位アジアは圧倒的で全体に占める割合は85.5%、お米はアジア圏の人が好んで食べています。
2位はアフリカで8.6%、3位はラテンアメリカで3.8%です。

地味が標準

田植え経験者は減っていると僕は考えています。
理由として稲作農家の大半が高齢者というニュースや、核家族化の進行など思い当たるためです。
実際、都市部で稲作経験は難しく、人口はその都市部に集中し続けています。

農業をお金を払って体験するのは、いま東京では普通になりました。
芋ほりやトウモロコシ収穫など、親は子どもに土を触る経験をさせようとイベント参加します。

そこには、子どもに食べ物の大切さを知って欲しい親の狙いがある。
お米作り体験するなら、実家が地方で農家を営んでいないなどであれば、いまはお金を払って体験会に参加あたりが身近です。
それでも親の心子知らずになるケースもアリ、近年、泥まみれを嫌う子も増えています。

体験にはなりませんが、稲作が手間がかかるのを知る1つとして「天穂のサクナヒメ」というゲームがあります。
ジャンルはアクションで、やや難易度が高いですが爽快なアクションが楽しめるゲームです。

アクションゲームですが、こちらが最大の売りなのではないかと思うのが、本格的な稲作パート。
ゲームの中で、田植えに関する作業として以下のパートがあります。
・田起こし
・種籾選別
・育苗
・田植え
・水やり
・肥料
・草むしり
・稲刈り
・稲架掛け
・脱穀
・籾摺り

これらを選んでボタンを押すだけではく、季節や天候によって田んぼの水位を調節したり、何回種籾選別するかなどの細かな調整をしないと良いお米はできない。
うまくお米ができると主人公の能力が向上するので、やらないわけにはいかない。

僕は普段、お米を食べますが、お米がどういう工程で作られるかこのゲームで知りました。
ゲーム内の時間、季節に応じてその時期に必要な稲作作業を行いつつ、合間を縫って戦闘にでかける。
春に植えた稲の苗が、秋に良い品質のお米に育った時はなかなかにうれしい。

このゲームは、単調作業が苦手な人は向いていないかもしれません。
この点は実際の稲作と通じており、制作者側の意図もあるのではないか。

お米を作るにあたり苗を植える前、田(土)をつくるところから稲作は始まっています。
無事、苗が植えられる状態になっても、手をかけ続ける必要があります。
毎日田んぼに入って稲の状態を見て、雑草抜きや害虫駆除など必要なお世話をする。
品種改良が進んで昔に比べれば強くなったお米でも、病害虫や天候によって出来が変わります。

書いていて地味だな、とつくづく感じます。
ただ、地味は決して稲作従事者のみではなく、一般人の日常生活もたいていは地味だと大人になると大半の人が理解します。
自分の能力や内面開発は粛々と進めるにあたり、外から見た時に大きな変化は必要なく。
地味な積み重ねの中で、「コレはこうした方が良い」など少しずつ進歩していく。
地味が標準、よく見て(観察)、変化を受け入れてアクションしていく。
会社で使われている「OODAループ」、Observe(観察)し、Orient(判断)、Decide(決定)、Act(行動)です。

ゲーム「天穂のサクナヒメ」では、夕飯は家族(仲間)一緒にいろりを囲んでワイワイ食べています。
これは核家族の現代では減った光景で、農家ならではのシーンとしてここも良く作られています。

このゲーム、子どもには制作者の意図は伝わりきらないかもしれませんが、地味のすごみを知った大人は楽しめる作品です。

さいごに

2024年の初夏、お米需要が伸びてスーパーマーケットで一部の銘柄が購入できなくなるニュースが流れました。
増加の理由はインバウンドで、訪日客が増えお米需要が伸びたため。

今回見た上記グラフデータの中で、世界需要ではお米消費の大半(85.5%)はアジア圏でした。
そんなアジアの人が日本に来て、自分の国で食べているお米と日本のお米を食べ比べる。
欧米在住で基本パン食文化圏の人が、日本の主食の1つのお米を食べてみる。

その国に根付いた食物を食べるのは、旅の醍醐味の1つです。