幸せは思いではなく行動

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育児・子供観察

9割の日本人は、自分を「幸せ」と思っている結果があります。
「満足度」や「自由」は、幸せと思っているほど多くはなく、ここに差が発生しています。
そもそも幸せは図れるのか、比較するものなのか。
何にしても、幸せはそこに至るまでの行動が必要です。

 

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幸せと感じるのはどんな時か

少し前に、僕が所属している組織で退職する仲間がいたので、少人数でランチに出かけたときのこと。
退職自体は円満退職で、出ていく側も送り出す側もとげとげしさはない、平穏な食事の場でした。
退職者にとっては最後という事もあるのか、1つ、盛り上がる質問をその場で投げかけました。

仕事をしていて、幸せと感じるのはどんな時ですか。

退職者が、転職活動でこの問いを自分で振り返り、身近にいる人に聞いてみたかったのは想像できます。
自分が本当にやりたいことは何かを、転職時に考えるのは、多分一般的です。
やりたいことイコール仕事が良いかは、この文章では触れません。

質問を受けた数名のメンバーは、それぞれの解答をしました。
プロジェクトがうまく着地できた時、好きなジャンルの業務をやっているとき、同僚とランチに行くとき。
話は仕事だけでなく「仕事以外で幸せな時はどんな時?」まで発展して、随分この話題で盛り上がりました。
この質問に対し、僕は「自分が心地よい状態になっているとき」と回答しました。
いま、振り返ってみても抽象的です。
この内容だと微妙な空気になるかもとも思っていたのですが、実際そうなりました。
本心とは違う、当たり障りのない回答でも良かったのですが、それも礼儀に反するようで、本心に近い言葉を選んだ結果の発言です。

ただ、そもそも「幸せ」の答えはなく、質問自体が抽象的で、どの視点で考えるかでも答えが変わる。
人と話すことが好きと言っても、嫌いな人と話す時間は幸せか。
単純作業が嫌いといっても、実際に手を動かして時間を忘れて完成したものが、評判が高かったとして、不幸せなのか。

9割弱の日本人は幸せと思っている

「幸せ」についての有名な調査「世界価値観調査(world value survey)」があります。
世界約100か国以上の調査ですが、日本語にフォーカスして電通・同志社大学がまとめたレポートがあります。
そこあるいくつかの情報を以下にグラフ化しました。


出典:世界価値観調査 1990~2019 日本時系列分析レポート(電通・同志社大学)

まずは「現在、幸せですか」の結果が上記です。
「現在幸せ」答える人は1995年以降、85%以上で推移。
ピークは1995年の89.0%で、2019年は88.3。
9割弱の人は「現在幸せ(である)」を選んでいます。


出典:世界価値観調査 1990~2019 日本時系列分析レポート(電通・同志社大学)

続いて「現在の生活満足度」の結果が上記です。
「現在の生活に満足している」人は、約7割~8割強。
ピークは2005年の80.9%で、2019年は74.4%。
やや下がっています。

そう思い込みたいという気持ちが働くのか、そう思わないとやっていられないのか分かりません。
日本人のうち、10人中9人が幸せの結果について、僕はそんなに高いのだろうかと思っています。
ただ、どちらの質問も[Yes][No][どちらでもない]の3択しかないので、この中で選ぶなら[Yes]。
限りなく[どちらでもない]寄りの[Yes]のような気もします。

上記2つの幸せと満足を並べてみると、以下になります。


出典:世界価値観調査 1990~2019 日本時系列分析レポート(電通・同志社大学)

「現在幸せ」と「現在の生活に満足している」の推移が上記です。
一番下の折れ線グラフが、この2つの差です。

一番差がない年が1990年で6%。
それ以降、2005年を除き、10%以上の差が出ています。
幸せだが、生活に満足していない人が、10%以上いる。

「生活に満足」が、何を指すかは人によりそうですが、大半は「お金」に集約されるものとも言えます。
貯金が10億円あって、生活に満足していないケースは、あまり想像できません。

お金やモノに満足していないが、それ以外の部分で幸せを感じる。
そういう人が1割強、います。

ちなみに、「世界価値観調査(world value survey)」2020年の結果では、幸せを国別にランキングすると日本は163か国中、62位でした。

人生を自由に動かせる人はやや増加

これまで幸福と満足についての情報でしたが、自由についても同じレポート内にあります。


出典:世界価値観調査 1990~2019 日本時系列分析レポート(電通・同志社大学)

人生を自分の意思で自由に動かせるかどうか。
「自由になる」と考える人は半数をいったりきたりしています。
ピークは2000年の63.0%で、2019年は58.4%。

そもそも「自由」をどう認識して回答しているのか、その定義があいまいなので質問肢としてはイマイチです。
「本当の自由」の例として、すべてから解放されると人間は耐えられないのは、いくつもの研究結果で出ています。

自分が突然、組織や会社をクビにり、転職先がなく、収入ゼロ、資産ゼロ、仕事ゼロ、時間は無限大だったとして、これを自由と考えると、自由になりたくない人は多いです。
「奥様の当たりがきつくて」という男性が、実はそれを望んでいる(依存)も良くある話。

そのうえで、「自由」と「幸福」「満足」を並べてみました。


出典:世界価値観調査 1990~2019 日本時系列分析レポート(電通・同志社大学)

「幸福」「満足」にくらべ、「人生を自由に動かせる」と、回答する人は少ない。
「自由ではないが幸福である、満足である」となります。

最後に、2019年の年代別の「人生を自由に動かせる程度」が以下です。


出典:世界価値観調査 1990~2019 日本時系列分析レポート(電通・同志社大学)

年次推移ではなく、2019年の解答の中で、年代別の情報です。
若い人ほど、「人生を自由に動かせる」と考えています。
当たり前のような、そうではないような。

20歳代は生活がまだ固定しておらず、転職も比較的簡単、家庭を持っていなければ縛られるものは少ない。
最高齢グループの70歳以上では53.1%が自由になると答えていて、約半数。
40%の人が自由にならない、残りの10%は分からないです。
グラフを遠めに眺めてみると、年齢が上がるほど自由が減っていく感は否めません。

時間を味方につける

少し古いデータですが、日本国内のデータとして、いまは終了していますが内閣府が実施していた『国民生活白書』があります。
その中の1つ、年齢による幸福度の推移が以下です。


出典:国民生活白書(内閣府)

日本人は年齢とともに幸福度が下がり、アメリカ人は年齢とともに幸福度が上がっている。
アメリカのことは、他国なのでわかりません。
日本については、おおむねそうなのかもと同意します。

言い換えると、歳をとるごとに楽しそうに生きている人が減っている。

わが家の子どもも、周りの子どもを見ていても、本気で楽しもうとしています。
そしてエネルギーが切れるまで、やり続ける。
そこに、人間の1つの完成形を見てしまいます。

かといって大人が分別なく、自分の好きなことだけできるかというと、そんなわけはありません。
一定の社会的責任なども背負って、その中で優先順位を決めて生きていく。

そうしていると、現実や日常に埋もれていく人がいる。
歳を重ね、精神的に擦り切れる感もあります。

歳をとると足りないモノは、お金か時間か健康か精神エネルギーか。
上記はどれも一定以上必要ですが、もう1つ、自分の中に必要な「確たる自分」があると思っています。

だれか目線ではなく、自分が楽しいと思える状況を、どれだけ作り出せるか。
現実的には、人間、最後は一人ですし、自分の中に楽しみの源泉があれば、生きる張りになります。
僕がこの文章の冒頭に書いた、退職者に答えた言葉は、これを話しました。

「自分が心地よい状態になっているとき」

嫌な時間を減らして、自分の時間を確保するために、嫌なことは断るのも重要。
そこには、実績が伴っていないと、パージされることも前提にあります。

大人になってから「自分の時間を取り戻す」が良い状態なのかは分かりません。
ただ「時間を味方につける」は、幸せになる指針です。

さいごに

僕は子育てを経験して、子育てに正面から向き合うなら、自分の時間は極限までなくなると思っています。
育児中、自分の時間がたくさん取れる人は、お金持ちかパートナーに見放されているかのどちらか。

自分ではなく子ども優先は当たり前ですが、その中でも楽しみを見つけるのは、知恵のようなもの。
どんな状況でも、自分事として楽しめるか、それは老後の目の輝きに影響していると僕は考えています。

子育てしていると、子どもを他人と比較してしまい、反省することは多いです。
しかし、注力するものや時間配分で、切り捨てがうまくなります。

「子育て」は言葉ではなく、行動です。
「幸せ」は思いだけではなく、行動の結果です。