自己啓発の満足度は半々、世界比較すると日本は最下位

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・全体の自己啓発満足度は満足していると不満が約半々
・男女比では、やや男性の満足度が高い
・年齢別では、18~29歳の満足度が高い
・推移でみると2020年までは満足側が上昇していたがそれ以降満足度は下降傾向
・日本国内の都市規模別では大きな差はない
・世界と日本を比較すると、日本人で自己啓発していない人は圧倒的に多い

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自己啓発・能力向上の満足と不満足割合は約半々

自己啓発・能力向上 満足度 2023年全体と年齢別 分類別出典:世論調査報告書(内閣府)

上記は2023年の自己啓発・能力向上の満足度のアンケート結果です。
全体を回答種別で見ると、1位は「まあ満足している」44.8%、2位は「やや不満だ」37.1%。
男女比ではやや男性の満足度が高く、年齢別では若い年齢ほど満足度が高い。

自己啓発・能力向上 満足度 2023年全体と年齢別 合算
出典:世論調査報告書(内閣府)

上記は、「満足」と「まあ満足している」、「やや不満だ」と「不満だ」を合算した結果です。
全体では50.9%が満足側、44.8%が不満側で、満足側が少し高い。
年齢別を見ると、「18~29歳」がやはり顕著で、満足側が61.7%と自己啓発に励んでいます。
あとは「70歳以上」が満足側55.5%と年齢別では2番目に高く、現役を退いてから自己啓発に励んでいる人がそれなりにいると読み取れます。

2020年まで自己啓発満足度は向上していたがそれ以降減少

自己啓発・能力向上 満足度 推移 分類別
出典:世論調査報告書(内閣府)

上記は、自己啓発・能力向上の満足度についての推移情報です。
2020年までは選択肢に「どちらともいえない」がありましたが、2021年からこの選択肢がなくなっています。
全体の流れとして2020年までは満足側が上昇、不満側が減少しています。

自己啓発・能力向上 満足度 推移 分類合算
出典:世論調査報告書(内閣府)

上記は「満足」と「まあ満足している」、「やや不満だ」を「不満だ」を合算した推移です。
このグラフにすると全体の流れが分かりやすく、2020年まで満足している側の合算である青色折れ線は伸びていますが、2021年に大きく下がっています。
2021年「どちらともいえない」がなくなってはいますが、この年は心理変化が起こった年といえる変化率です。
明確な理由は分かりませんが、コロナウィルス禍の外出自粛が厳しい年だったことは要因として思いつきます。

 

自己啓発・能力向上 満足度 都市規模別 2023年
出典:世論調査報告書(内閣府)

参考情報レベルですが、上記は都市規模別の自己啓発・能力向上の、満足と不満足合算データです。
誤差レベルの差ですが、満足合算値の1位は「小都市」51.7%、2位は「政令指定都市」51.2%です。
最下位は「町村」48.8%ですが、1位との差も約3%なので、都市規模別で差はほとんどありません。

世界比較すると自己啓発しない日本人は圧倒的に多い

このブロックは日本と世界の自己啓発に関するアンケート結果です。

社外の学習・自己啓発 国際比較 2022年 読書
出典:グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)(パーソル研究所)

上記は自己啓発のうち「読書」について、2022年の国際比較情報です。
世界全体平均は34.5%、1位は「ベトナム」48.5%です。
「日本」は下から2番目の23.2%、最下位は「スウェーデン」の22.1%。

 

社外の学習・自己啓発 国際比較 2022年 研修・セミナー、勉強会等への参加

社外の学習・自己啓発 国際比較 2022年 研修・セミナー、勉強会等への参加

出典:グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)(パーソル研究所)

上記は自己啓発のうち「研修・セミナー、勉強会等への参加」について、2022年の国際比較情報です。
世界全体平均は34.5%、1位は「フィリピン」50.4%、僅差の2位は「インドネシア」50.1%です。
「日本」は最下位で30.4%、下から2番目は「スウェーデン」の18.0%です。

社外の学習・自己啓発 国際比較 2022年 資格取得のための学習
出典:グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)(パーソル研究所)

上記は自己啓発のうち「資格取得のための学習」について、2022年の国際比較情報です。
世界全体平均は22.0%、1位は「インドネシア」43.6%、僅差の2位は「インド」30.6%です。
「日本」は下から5番目で15.9%、最下位は「フランス」の12.2%です。

社外の学習・自己啓発 国際比較 2022年 特に何も行っていない
出典:グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)(パーソル研究所)

上記は自己啓発のうち「特に何も行っていない」と回答した人の、2022年の国際比較情報です。
世界全体平均は18.0%、1位は「日本」52.6%で何も自己啓発を行っていない人は世界比較で圧倒的多数です。
この文章で上記掲載した日本国内のアンケート結果でも、自己啓発を不満足と回答した人は半数弱だったので、その情報として一致しています。

時間をかけて自分を磨く

コロナウィルス禍で普及した1つに、リモートワークがあります。
物理的な職種はリモート業務は無理ですが、社会圧力の中、IT業界などを筆頭に在宅勤務者が増えました。
それが2024年になると、アメリカのGoogleやメタ社のようなビッグテックがオフィス回帰方針に戻している。
IT企業らしくスピード感を持ってトライアンドエラーを繰り返していますが、環境の変化は激しい。

社会や職場環境が変化するとき、求められるものの1つ適応能力。
適応するための手段として、自己啓発は不可欠です。
「新たなチャレンジする」は前向きの言葉で、「変化しないと取り残される」は後ろ向きな言葉としても現実。
趣味を突き詰めるのを自己啓発と分類できるかはケースバイケースですが、自分の人生を充実させるためにも自己啓発は大切なプロセスです。

外から見たらほとんど変化がうかがえなくとも、自分の中で改革を進める。
変化の途上は地味で、忍耐力が求められます。
以下、架空のショートストーリーです。

あるところに、人里離れた山のふもとに小さな家を借りて、田畑を耕しての自給自足生活を選んだ青年がいました。
彼は以前、俗世に属していましたが、人間関係に疲れ即物的なものへの疑問が膨らみ、それ以外にも思うところが重なってドロップアウトしていまの生活を選びました。
静けさを求めていたのでこの生活の気楽な点は気に入っていましたが、心のどこかではこのままで良いのかわずかな葛藤も持っていました。

あるとき、いまの住居を紹介してくれた人との世間話で、裏山の山頂にはなんの由来か分からない祠があると聞きました。
彼は俗世にいたころは登山が趣味で、それは日ごろのしがらみから逃れる、リフレッシュしてくれる息抜きでもありました。
その経験から、祠の話を聞いて一度はそこを訪れてみようと考えていました。

ある天気が良い日に、彼は山頂を目指して歩き始めました。
山の標高は数百メールと低山ですが奇麗な登山道はなく、かろうじで存在するけもの道を草をかき分けつつ登っていく。
手には杖として握りのよい棒を持っていたのは重宝しましたが、生い茂る枝葉で擦り傷はたくさんできる。
そうして2時間も登ったころ、山頂にたどり着きました。

そこにはたしかに祠がありました。
苔むした1メートル程度の祠の中に、小さなお地蔵様が座っている。
彼は無神論者で何に祈っているのかも分かりませんが、軽く手を合わせておく。
久しぶりの登山でしたが無事目的地にも辿りつけ、一息ついたころ祠の奥に大きな老木があることに気づきました。

樹木の知識はあまりない彼ですが、花が咲いているわけではなくともそれが桜の老木であることはわかりました。
よくよく見てみると、幹の胴回りは5メートル超と見える堂々とした外見。
ごつごつした樹皮、ところどころに苔っぽい緑の部分がある。
大きな枝が折れている部分もあり、原因は落雷で一部の太い枝が折れたと想像できる状態。
視界に納まるかどうかの大きさですが、細い枝をみるとそこに勢いはなく、ここで長い年月を過ごしてきたと分かります。

気が付くと、彼はその老木に話しかけるように独り言を発していました。
「ずいずん長い間そこに立っていたようですね」
老木は答えました。
「私はずっとここに立っている。この山の風や雨、太陽の光を浴びて、自分を成長させるために。」

老木が答えたのか、自分の頭の中で老木の答えを作り出したのかは分かりません。
びっくりはしましたが、危険性があるとも思えず、彼は言葉を発します。

「見たところ枝の成長は止まって老年期と言えそうです。その状況でどんな成長をしているのでしょうか?」
老木は答えます。
「見えるものがすべてではない。私の内部で起こっている変化を私は知っている。」

さいごに

自己啓発は外からは見えにくい地道な時間が大半のため、自分との闘いでありモチベーション管理はポイントになります。
気分が乗らないと自分に言い訳したり、テスト勉強しなくてはいけない時間に日ごろ行わない掃除を始めたり。

そんなときの1つの手法として、心理学者バンディーラさん提唱の「自分はこの課題をクリアできる」と思える「自己効力感(self efficacy)」があります。

Self-Efficacy: An Essential Motive to Learn

適切な目標を設定して、自分はこれをクリアできると宣言し、自己効力感を高める。
自己啓発で自分の目指すゴールにたどり着くために、自己効力感は親和性が高い。

遠すぎたり無茶すぎる目標ではなく、細切れにした適切な目標設定を立て淡々と取り組む。
自分との追いかけっこは、死ぬまで続きます。