この文章のトピックスは以下です。
・デジカメ保有数も割合も2013年~2014年をピークに下がっている
・デジカメ平均使用年数はずっと伸び続けている
・デジカメ買替理由、以前は上位品目だったがいまは故障
・女性より男性の方がデジカメを保有している
・世帯年収が高いほどデジカメ普及率は高い
・以前はレンズ一体型が多かったがいまはレンズ交換式が8割弱
・デジカメ単価は最安時に比べいまはは約4倍
デジカメ保有数はピーク時に比べ-44.5%
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は100世帯当たりのデジタルカメラ保有数です。
全体としては山型で、近年は減少傾向です。
山のトップは2014年の118台、1世帯当たり1台以上のデジカメ保有率です。
最新年の2024年は65.5台で、ピーク時に比べ44.5%と約半減しています。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記はデジタルカメラ普及率です。
グラフの形は当たり前ですが、1つ上の100世帯当たり保有率と同じ山型。
ピークは2013年の77.0%で、2024年は48.6%といまは2人に1人はデジカメを持っていません。
デジカメ使用年数はずっと伸び続けている
出典:消費動向調査(内閣府)
上記はデジタルカメラの平均使用年数です。
おおむね右肩上がりで、平均使用年数は伸びています。
2005年2.9年、2024年8.6年とその差5.7年。
2005年が2.9年というのもずいぶん短いと感じますが、このころは新製品が充実していたと想像できます。
近年は1つ前のモデルと最新モデルを比較しても、どこが性能向上したのかわからないくらい技術的進歩が緩やかになっています。
他に可処分所得減少や、スマホのカメラ性能向上も理由に上げられます。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記はデジタルカメラ、買い替え理由です。
グラフ内オレンジ色の「上位品目」への買い替えが2016年まで1位でしたが、2017年以降は「故障」が1位になっています。
近年、故障するまで使う人が増えています。
世帯年収が高いほどデジカメ普及率は高い
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は2人以上世帯のデジタルカメラ普及率、 全体・男女別・年齢別の2024年の情報です。
男女比では男性が女性より15%多い。
年齢別では40歳以上の普及率が高く、29歳以下は他の年齢層にくらべ大きく少ない。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は2人以上世帯のデジタルカメラ普及率、 世帯年収別の2024年の情報です。
年収が高いほど、デジカメ普及率は高い。
300万円未満39.4%、1200万円以上56.8%、その差は17.4%です。
出典:消費動向調査(内閣府)
上記は2人以上世帯のデジタルカメラ普及率、 地域ブロック別の2024年の情報です。
1位は「北陸・甲信越」51.9%で、最下位は「九州・沖縄」45.5%ですが、その差は6.4%とそれほど大きくありません。
いまは「レンズ交換式」が8割
出典:CIPA REPORT(一般社団法人カメラ映像機器工業会)
上記はデジタルカメラの総出荷数量です。
グラフの全体は山型なのはこれまでのデータで既知ですが、特徴的なのは「レンズ交換式」の割合が近年増えています。
「レンズ交換式」の割合は、2003年1.9%、2023年77.7%といまは3/4以上が「レンズ交換式」デジカメが出荷されています。
スマホの性能がこれだけ向上した今、わざわざデジカメを持つ人は写真が好きな趣味人で、本格的撮影を目指している姿が思い描けます。
出典:CIPA REPORT(一般社団法人カメラ映像機器工業会)
上記はデジタルカメラの総出荷金額です。
「レンズ一体型」は安価なものから高価な製品まであります。
「レンズ交換式」は本体も高価なものが多く、レンズは膨大な種類があります。
それゆえ、2023年の「レンズ交換式」の売上全体に占める割合は89.2%と、デジカメ出荷金額の約9割となっています。
出典:CIPA REPORT(一般社団法人カメラ映像機器工業会)
上記はデジタルカメラ、平均単価です。
「レンズ一体型」「レンズ交換式」どちらもバスタブ型推移です。
デジカメが一番普及した2013年~2014年の少し前、2011年が単価は最安です。
この時期、大量に手頃な製品が製造されています。
その後は上昇に転じ、2023年は最安年に比べ約4倍の値段になっています。
歴史の一瞬を切り取る
いま日本の観光地では、外国人旅行者がスマホで風景や自撮りする姿が日常風景です
以前はもっと一眼レフの大型カメラを持っている旅行者もいましたが、いまその割合的にはわずかになりました。
スマホはいつも身に着けており、旅行時にさまざまな情報収集もでき、そのスマホで撮影した写真をSNSにシームレスに投稿でき便利です。
情報共有や記録を目的とするなら、いまのスマホ撮影の写真で画質は十分です。
ここから、スマホがデジカメ保有率を下げたのは疑いの余地はありません。
今回見てきたデータもそれを顕著に表しており、いま売れているカメラはレンズ交換式で単価も高い。
デジタルカメラは、プロユースもしくは一部のアマチュアの趣味としての撮影機器になりました。
プロが撮影する機器がフラッグシップとしてあり、その廉価版をアマチュアが使う。
廉価版と言ってもレンズ交換式カメラで撮影した写真は、スマホとは一味違っており味があります。
ボケ感で主体を引き立たせたり、全体の表現力はパッと見ても分かります。
今回見てきたデータで、ライトなコンパクトデジカメを保有する層が減っているのが分かりました。
デジカメを持たずスマホで代用する派か、趣味で写真を撮るアマチュアやプロが本格的に使う高額カメラに別れるイメージです。
スマホ撮影派はコスパ思想も要因として思いつきますし、可処分所得が少なければ何十万円もするカメラはそもそも眼中外の人も想像できます。
実際、上で見てきたデータでは、カメラ保有率は高所得層になるほど高い結果でした。
いまの高校生以上の大半はスマホ保有者です。
彼ら彼女らがこの先、高額デジカメを購入するか予想しても、日本ではデジカメユーザーが増加するシナリオは思い描けず。
ちなみに世界的にみると今後10年程度、デジカメ市場は拡大する予測です。
僕はスマホ以外に、「レンズ一体型」「レンズ交換式」両方のデジカメを保有しています。
子どもの学校行事や旅行のときにデジカメを持ち出しますが、もっぱら日常はスマホで撮影しています。
荷物が増えるのが嫌で、この面でアマチュアカメラマンにも属せないライト層です。
それでも、僕はスマホ写真は単なる記録、デジカメは記憶に残る可能性のあるものと位置付けています。
それは、過去に本当にわずかですがこれは良い写真だなと自分が満足できる写真があるためです。
昔、家族旅行した時、運行速度の遅い列車に乗り、走行時、窓を開けて窓枠に子どもが顎を乗せている状況がありました。
僕は子どもにカメラを意識させないよう、そっとレンズを向ける。
子どもはぼんやりと外を眺めており、ゆるやかに風を切っているので目を細めており、おでこの髪がなびいている。
そこで撮影した写真には、被写体にフォーカスがあっていて、子どもの軽く目を細めた何とも言えないアンニュイな表情がありました。
親バカの思い込みですが、そこにはたくさんの想像をかきたてる記憶に残る1枚です。
歴史の一瞬を切り取るというには大げさかもしれませんが、僕はこれがデジカメの醍醐味だと思っています。
さいごに
フィルムカメラからデジカメになって変わった点として、予備の意味も含めてズームや構図を変えて何枚か写真を撮影するようになりました。
撮影したものをあとで見返し、その中でベストの1枚を選ぶ。
そんな時、なぜ一発で納得の出来にならないのか自分の力量の低さを感じます。
うまくなりたいのであれば、一流に触れる。
ナショナルジオグラフィックをぱらぱら眺めることはあっても定期購読していない時点で、自分の写真に対する熱量はこの程度と半ばあきらめています。