この文章のトピックスは以下です。
・日本の出国者数ピークは2019年の約2008万人
・その後コロナウイルスまん延で2021年に約51万人に落ち込む
・2024年は約1300万人まで出国者数は回復しているがピークの約2/3
・直近1年に海外旅行行った人は四半世紀で男性は-62.5%、女性は-44.4%
・海外旅行にひとりで行くことに抵抗はない人は30年で-1.8%
・海外旅行にひとりで行くことに抵抗はない人は男性減少、女性増加
日本の出国者数ピークは2019年の約2008万人

出典:訪日外国人統計(日本政府観光局)
上記は1964年~2024年の出国日本人数です。
1964年127,749人、2024年13,007,282人、前後比12,879,533人(10181.9%)です。
1960年代に仕事以外で海外に行く人はかなり限られていました。
それが、2024年には日本総人口で単純割り算するなら10.5%が出国しています。
全体の流れは、1990年代まで出国者数は伸び続けて、その後横ばい。
出国者数ピークは、2019年の20,080,669人です。

出典:訪日外国人統計(日本政府観光局)
上記は2000年~2024年の出国日本人数です。
トピックスはコロナウイルスまん延で、2021年512,244人まで落ち込み、大きなボトムを形成しています。
その後、徐々に回復し2024年13,007,282人になっています。
それでもコロナ渦まん延前、全期間ピークであった2019年に比べれば、64.7%と約2/3弱にとどまっています。
ここには、円安や物価高、可処分所得の減少の要因も重なっていると予想できます。
直近1年に海外旅行行く人は四半世紀で男性は半数以下

出典:生活定点(博報堂)
上記は出張除いて、直近1年間に海外旅行に行ったかの結果です。
1998年17.4%、2024年8.1%、前後比-9.3%で全体的には右肩下がりです。
1つ上のグラフ、2024年の出国者数を日本人口総数で割ったところ10.5%と、約10人に1人が出国していました。
対し、このデータでは2024年の海外旅行者数は8.1%で、ここには出張が含まれていないのと、1人が複数回海外旅行に行ったことと考えられます。
全体が右肩下がりなので、海外旅行に年間複数回行く人は増え、行かない人も増えています。

出典:生活定点(博報堂)
上記は出張除いて、直近1年間に海外旅行に行ったか男女別の結果です。
男性1998年16.8%、2024年6.3%、前後比-10.5%。
女性1998年18.0%、2024年10.0%、前後比-8.0%。
男女とも減少していますが、男性は半数以下になっています。

出典:生活定点(博報堂)
上記は出張除いて、直近1年間に海外旅行に行ったか年代別の結果です。
縦軸を100%にしたかったのですが、グラフを作ってみたら見にくかったので縦軸の最大値は30%にしています。
20代1998年23.9%、2024年15.7%、前後比-8.2%。
30代1998年16.9%、2024年5.9%、前後比-11.0%。
40代1998年13.3%、2024年6.6%、前後比-6.7%。
50代1998年16.9%、2024年6.5%、前後比-10.4%。
60代1998年14.1%、2024年7.5%、前後比-6.6%。
どの年代も減少しており、一番減っているのは30代です。
海外旅行にひとりでいくことに抵抗がない人は微減

出典:生活定点(博報堂)
上記は海外旅行にひとりで行くことに抵抗がないと答えた人の割合です。
1994年14.6%、2024年12.8%、前後比-1.8%。
じわりじわりと減っていますが、大きな減少ではありません。

出典:生活定点(博報堂)
上記は海外旅行にひとりで行くことに抵抗がないと答えた男女別回答です。
男性1994年19.5%、2024年13.5%、前後比-6.0%。
女性1994年9.4%、2024年12.0%、前後比+2.6%。
男性は約2/3に減っていますが、女性は増えています。

出典:生活定点(博報堂)
上記は海外旅行にひとりで行くことに抵抗がないと答えた年代別回答です。
20代1994年16.5%、2024年16.0%、前後比-0.5%。
30代1994年13.3%、2024年11.8%、前後比-1.5%。
40代1994年17.0%、2024年13.5%、前後比-3.5%。
50代1994年13.9%、2024年11.2%、前後比-2.7%。
60代1994年10.2%、2024年12.1%、前後比+1.9%。
ひとりで渡航に抵抗がないのは、若い年代ほど高い。
ただし、この30年での増加率を見ると60代が唯一、+1.9%伸びています。
渡航のキーワードはエネルギー
今回、海外旅行者データをみようと思った動機は、さまざまなニュースを見ていて出国者は減っているのではと思ったためです。
その理由として、2025年時点でたいていの人がうなずく以下の要素が思いつきます。
・円安
・物価高
・可処分所得の減少
・堅実
とはいえ、この文章の一番上の出国者数推移では2019年がピークと、2019年までは微増を続けていました。
その後、コロナ渦で一気に減少し、上記の減少要素が相まって、2024年はピークの約2/3の約1300万人になっています。
この情報を見て改めて僕が抱いた感想は、今も昔も行く人は行くし行かない人はいかない。
僕の身の回りのわずかなサンプル数でしかありませんが、行く人は年間複数回行きますし、タイミングを見て3世帯でハワイに行ったなどの話も耳にします。
そんな海外旅行に行く人の共通項を上げてみます。
・金銭的余裕がある
・時間的にはいつも忙しい人の方が海外旅行に行っている
・タイミングを見計らっている
・堅実だが行動力がある
・臨機応変
金銭的余裕は、現実的なハードル。
円安状況の2025年現在、家族4人で海外旅行の旅費は50万円から100万円程度は必要となる。
子どもがいるなら、塾や習い事、先々の学費を考えると貯金に回したいと気持ちとのせめぎあいが発生します。
僕の身の回りの子育て中ご家庭の中では、貯蓄も重要と認識しつつ、機会に敏感な人がそれなりにいます。
たとえば本格的な受験勉強が始まる前にしか長期海外滞在ができないと考え、金銭ではなくタイミングで旅行に出る。
今どきのファミリーは海外旅行に行ったからと言って偉ぶるような人は皆無ですが、雑談の中で今年の夏はどこどこに行ったの流れで海外の話が出ます。
お互いの状況はおぼろげに認識しているので「行くなら今しかないと思ったんだよね」との話につながる。
それを聞いた側も、自分たちの数年先を予測して、渡航タイミングを図るようになる。
時間的に忙しい人ほど、出かけているのも特徴の1つです。
忙しいがゆえにタイミングを気にしないといけないのもありますし、忙しいが標準なのでその一環として海外旅行タスクを1つ積み上げる感覚なのか。
何よりベースに行動や情熱などのエネルギーがあるからというのも感じます。
何となく旅行に行きたいと言っている人は、なかなか実現していません。
海外に行くとなればそれなりの準備も必要で、それを想像しただけでめんどくさいと棚上げしてしまう。
渡航には、行動力が最大のキーワードなのかもしれません。
僕は旅行が好きです。
行先が外務省情報で危険地帯でなければ、海外で合っても心理的ハードルなく行きたいと思っています。
過去のそれなりの回数の渡航経験があり、いろいろなトラブルと楽しみに出会って、旅は楽しいものと認識している。
海外に出てどんな出会いがあるか未知で非日常です。
親の勝手な思いですが、わが家の子どもにも自分で意味のない理由を作り出して渡航をためらう人になってほしくないと思っています。
さいごに
未知や非日常環境は、海外だけではなく国内旅行でも当てはまります。
本州に住んでいる人が、沖縄や北海道に行くと、大きな違いを感じる。
ただ、国内は自分で予想できる範囲内で収まることが多く、通貨や言葉ふくめ非日常への振れ幅は小さい。
例を挙げるなら、どこに行ってもコンビニがあります。
対し、海外は想像したことがないことへの遭遇率が高く、日ごろ使っていない部分の脳が動く。
僕はイタリアに行ったとき、寒い気温だったので駅にあったカフェに入りエスプレッソをオーダーしました。
それまで僕はエスプレッソを飲んだ経験がなく、日本の喫茶店の200cc前後のコーヒーのイメージで注文していました。
出てきたエスプレッソは、小さなカップでとてつもなく濃いコーヒーでした。
それで暖を取ろうともくろんでいましたが、あっという間に飲み干して体が温まるほどではなく。
これが本場のエスプレッソなんだと1つ賢くなりました。
