選挙投票と未来の距離

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育児・子供観察

いまさらながら、データを見ると日本の投票率は下落傾向です。
他にも、高齢者の投票率が高く、若者の選挙離れは、投票率データを見ると納得です。
世界を見ると、日本の投票率は低いグループに属しています。
台湾のように、若者が熱く政治に参加する社会は、未来志向です。

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2021年の投票率は約5割

国内の国政選挙の年代別投票率推移が以下です。


出典:国政選挙における投票率の推移(総務省)

年代別にみると、投票率が高いのが高齢者、低いのが弱年齢。
2017年からは10歳代(グラフ内 濃い青色)がありますが、下から2番目と低調です。

ほぼ1位を継続しているのが60歳代(グラフ内 黄緑色)。
2位が50歳代(グラフ内 水色)、直近ではグラフ内紺色の70歳代以上が3位と高齢世代が上位です。

もう1つ、このグラフから言えるのが、近年の投票率の下落。
右に行くほど、グラフが下がっています。
近年になるほど、選挙に行く人が減っています。

衆議院選 投票率

1967年vs2019年

参議院選 投票率

1989年vs2019年

20歳代 54.7% 65.3%
30歳代 60.5% 59.4%
40歳代 67.7% 65.6%
50歳代 76.1% 73.5%
60歳代 92.7% 79.6%
70歳代以上 109.0% 84.4%

出典:国政選挙における投票率の推移(総務省)

上記の通り、年代別の特徴としても、前後比で差が出ています。

20歳代はデータ上一番古い年と最新年で比べると、約半数~2/3。
高齢世代も減っていますが、減り幅が若年層より少なくなっています。

唯一の例外は、衆議院選・70歳代以上で前後比109.%と、最近の方が投票率が高くなっています。
いまの70歳代以上が、一昔前に比べ元気になっているのが理由かもしれません。

世界的に日本は下位グループ

日本の投票率が低いのか、比較のため世界と比較した情報が以下です。
OEDC38か国の議会投票率です。


出典:VOTER TURNOUT DATABASE(International IDEA)

一位のオーストラリアが89.74%、2位のルクセンブルクが89.66%と9割弱。
他に上位は北欧やオセアニアが並んでいます。

日本は38国中、30位の55.97%、グラフ内赤色です。
世界平均は67.44%より約12%低い数字です。
資本主義国かつ先進国が中心となっているOECD内では、日本は低い位置です。

日本の下を見ると、ラトビア、メキシコ、フランス、コロンビア、スイスなど。
フランス(48.70%)は、G7の中で唯一日本より投票率が低い。
最下位がスイス(45.12%)と言うのは、日本国内の一般認知度は低い気がします。

子育て世帯の投票意思

話を日本国内に戻して、子育て世帯向けの投票アンケート結果がありました。
このアンケート、調査期間は2021年7月15日~7月16日と新しいですが、対象数が子育て世帯の男女106名と少し少ないのは留意点です


出典:選挙のインターネット投票に関する意識調査(株式会社アクト)

選挙不参加理由の1位は仕事。
厳しい言い方ですが、期日前投票や在外投票の救済策があるので、あまり理由としては成立しません。
行かない理由付けとして、仕事が忙しかったになります。

2位の「子どもの病気、育児等」は、実際にあり得る状況です。
選挙当日、子どもが発熱したなど、育児中は突発ネタがある。
日ごろから余力がないところ、あたふたして、選挙に行かない。
ワンオペで小さな子どもが発熱している状況で、外出はハードルが高いもの。


出典:選挙のインターネット投票に関する意識調査(株式会社アクト)

2位「若者の意見が反映されやすくなる」とあります。
インターネット選挙が整備されて、日本の若者投票率が上がるか。
友達同士で集まって「今日選挙だけど投票した?」と話題になるのか。

1位「子育てに多忙でも投票でき」は、子育て世帯はかなり賛同を得られそうです。
子どもを持つと、子どもの未来を考えるようになる。
そこに直結する政治に関心が高まり、子育て世帯や子ども達に良い施策を掲げている候補者に投票する。


出典:選挙のインターネット投票に関する意識調査(株式会社アクト)

このアンケート、就学前の子どもがいる世帯なので、年齢層として20歳代~40歳前半と予想します。
それと、インターネット経由のアンケートなので、限りなく100%に近い割合でスマホを所有している世代です。

手元にあるスマホから投票できるようになれば、育児期間中の投票意思が高い世帯には、便利かつ有効です。
セキュリティ面などに懸念があったとしても、子育てで1秒の時間が惜しい状態なら、大半が賛成なのは納得です。

台湾は若者が選挙に行く国

日本では年齢が若くなるほど投票率が低い傾向が、この文章の一番上のグラフでした。
もう1つ再掲ですが、近年になるほど70歳代以上以外は投票率が下がっています。
日本人の選挙への関心は諸外国に比べても低く、近年下落傾向。

選挙で未来が明るくなると期待している日本人は、僕は少ないと感じています。
実際に投票している人の中でも、「自分が投票しても、何も変わらない」と考える人が半数を超えているのではないか。
その最大の原因は、変わらない・変えたくない、だと思っています。

若者の選挙熱が熱い国として、台湾があります。

台湾で総統を直接選挙で選べるようになったのが25年前。すでに与野党が3回、入れ替わった。不在者投票を認めていないのに、前回2020年の総統選の投票率は7割を超える。特に、20代の投票率は9割近いとする推計もある。政治に対する若い有権者の関心の高さは社会をどのように変え、政党はどう応じてきたのか。

出典:20代の投票率、台湾では約9割? 若者と政治の距離が縮まるまで(朝日新聞)

これには前振りもあり、ITを駆使して国民の意見を取り入れる仕組みを、オードリータンさん達が作っている面があります。

誰でもアイデアを出せる<総統杯ハッカソン>

台湾各地が抱える課題を市民たちが提議し、政府が後悔するオープンデータを活用しながら解決案を模索するというもので、2018年から毎年開催されています。毎年5組がグランプリとして選出され、受賞したプランは専門家やシビックハッカーらの強力の元、どのように予算をつけて実行するかを1年以内に政府側が検討します。

このイベント、参加者は公務員もいるらしく、賞金が出ない(ゼロ)なのに、盛り上がっている。

その理由を想像してみると、自分の身近なところで不便があり、それを提案できる場が存在する。
グランプリに選ばれた場合、政府側が必ず検討しなくてはいけない。

他にも台湾には台湾行政プラットフォーム「ジョイン(Join)」という制度があり、選挙権を持たない人でも政治提案ができ、5,000人以上の賛同が集まれば、政府が必ず検討するルールになっている。
起案されたものの予算や進度はネット上に公開されており、状況が見える化されています。

小さな成功・失敗を、うまく積み上げていく。
これは抽象的な言葉であり、子育てに正解はありませんが、子どもが前に進む秘訣の最たるものです。

自分の提案が社会を変える経験を、子どもがしたのなら。
自分の足で歩き続けられる、自立した人になる可能性は高いです。

さいごに

選挙期間中に、立候補者の名前を連呼する選挙カー。
中でも、自分は子育て経験者で子育て支援を重点施策として考えている、という発言も最近は聞きます。

0歳時がいるご家庭、やっと赤ちゃんが寝てくれて、寝かしつけた側も休憩するか、たまった家事こなすか。
そこに「〇〇でございます、自分は子どもの味方です」の大声の選挙カーが横を通る。
赤ちゃんが目を覚まさないか、ドキドキの時間です。

選挙カーは、赤ちゃんにもママさんにも優しくありません。
いまだに選挙カーで連呼することが当選につながると考えている思考に、痛さを感じます。