やはり世界31か国調査の結果でも、本が多い家庭の子どもは読み・算数・ITスキルが高い

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本・読書

読書が学力に好い影響を与えることはいまさらの話題です。
今回のデータは「世界31か国を対象に調査したらやはり良い影響だった」というものです。
本を家庭に蔵書する「家庭内図書館」。
この調査結果では、80冊の蔵書数は必要と述べています。

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世界31位か国16万人のデータ分析の結果

「16歳の時に家に何冊の本があったかによって、その後の読み・算数・ITスキルがどうだったか」というのが今回のデータです。
調査をしたのはオーストラリア国立大学と米ネバダ大学。
調査期間は2011~2015年、地域は31か国、対象は25~65歳の約16万人。
日本を含む多国籍で対象者数が16万人とかなりの数です。


出典:Scholarly culture: How books in adolescence enhance adult literacy, numeracy and technology skills in 31 societies(Social Science Research)

[識字能力][計算能力]が、蔵書量が多いほど高い、というたいていの方が予想できる結果です。
[情報通信技術]も[識字能力][計算能力]と同じような結果という点は新しいデータです。

今回具体的だったと感じたのが、どのくらいの蔵書量だとどうなるのか、という結果。
特に平均値が出ています、
この調査をした研究者によると「80冊」という蔵書量が平均値と結論付けています。
家に80冊の蔵書がある家の子どもが、31か国全体でみると平均の学力(読み・算数・ITスキル)となります。

では31か国を順位付けするとどうなるのか。

日本は蔵書数の平均値でみると31か国中22位

調査31か国の平均値を順番に並べた結果が以下です。

出典:Scholarly culture: How books in adolescence enhance adult literacy, numeracy and technology skills in 31 societies(Social Science Research)

日本は蔵書数102冊で、31か国中22位。
全体の平均は127冊なので、平均から見ると日本はマイナス25冊。

僕の感覚からは、妥当だと感じました。
上位を占める北欧系・ヨーロッパ諸国の知人やその知り合いを見ていても、読書習慣がある大人が多いです。
日頃、その環境にいる子どもも、たぶん読書に対してのしきいが低く、将来本を読む。
子どもにとっては良い環境が身近だと僕は考えています。

日本より順位が低い国で意外なのが、シンガポール。
31か国中30位と、後ろから2番目です。

シンガポールは国としての歴史が浅く、資源もない。
国(国民)が一丸となってさまざまなことに挑戦して、世界トップレベルの結果を出している国。
タクシー運転手まで「いまのシンガポールの方針はコレです」とすらすらと出てくるような状況。

そんな国であれば、蔵書量も多いと感じますが、実際はそうではないようです。
「机上(の空論)」より、失敗することも許容する「実践社会」ということでしょうか。

さいごに

今回のデータの調査期間は2011~2015年と、電子書籍が普及する直前、もしくは普及期です。
この先、電子書籍が増えてくると、物理的な書物が目の前からなくなることもあり得ます。

そうなると家の間取りの1つ「書斎」の概念が、すこし変わるようにも感じました。
紙の書籍が1冊もないのに、タブレット1台で本を読む場所になる「書斎」。
こんなことを言っていると、いまの子ども達に「いつの時代のお話ですか?」と言われそうです。

東大生の家のリビングには「重厚な百科事典セット」が置いてある人が多かった、という記事を以前に読んだことがあります。
それが本当に意味があるのかわかりませんが、本があると認識することが重要なのであれば。
VRのようなもので、物理的にはないが仮想で書籍が並んでいる未来を空想しました。