子どもの頃からのおいしいを知る

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育児・子供観察

料理する子どもが増えています。
明確な理由は分かりませんが、控えめに見積もっても今の子どもは、半数以上は料理する。
対し、大人で料理を作るのが好きな人は減っています。
料理を作るのはおいしさだけではなく、子どもにとって良い事があります。

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料理する子どもは増えている

はじめに、子どもが何歳から料理するようになるかの情報が以下です。

子どもが一緒に料理をはじめた年齢
出典:親子料理の意識と実態2014(東京ガス都市生活研究所)

子どもが料理を始めた年齢は、1位が5歳、2位が6歳なので小学校入学前後。
幼稚園から小学校年少あたりが、大半を占めています。

学齢別・性別子どもの料理意向(親と一緒)
出典:親子料理の意識と実態2014(東京ガス都市生活研究所)

小学生のうち学齢別、男女の情報が上記です。
男子は年齢が上がるほど、料理をしたいと思う子どもが減っています。
女子はどの年齢層も大半は料理に積極的で、高学年になると「(料理を)したい」がやや減っています。

お料理の手伝いをする(小4,小6,中2)
出典:青少年の体験活動等に関する意識調査(令和元年度調査)(国立青少年教育振興機構)

小4、小6、中2の子ども達の、料理実績の年次推移が上記です。
近年に近づくほど、料理する子どもは増えています。
「いつもしている」と「時々している」を足すと、1998年は50.5%、2019年は63.5%と、24.2%の増加率です。

料理を親と一緒にしたい・教えてほしいと思う中高生の割合
出典:withコロナ 中高生親子の「食」に関する調査(株式会社モニタス)

最後に、コロナ過に入ってからの2021年3月、中学生と高校生、男女のそれぞれの親と料理を一緒にしたいか、教えてほしいかの結果です。
やはり女子が男子に比べ高い数字で、女子高校生は92%と9割を超えています。
回答が2択なので中間層がどちらかに寄りますが、料理したいポジティブ回答が多い結果です。

親で料理する人は微減

この段落は、大人の回答結果です。

親子で料理すると実感する良い影響や効果(週1日以上)
出典:親子料理の意識と実態2014(東京ガス都市生活研究所)

週に1日以上子どもと料理する親が、子どもにとってどんな好影響があるかを複数回答した結果が上記です。
現実的な「手伝ってもらえる」から、家族の関係性にかかわる「一緒」や「仲良し」もあります。
1位は子どもが「食に興味を持つ」、4位は「食材や栄養などの知育教育」と食育にまつわる解答です。

家庭での料理の姿を子どもに見せているか別の子どもの料理関心度
出典:青少年の体験活動等に関する意識調査(令和元年度調査)(国立青少年教育振興機構)

親が料理する姿を子どもに見せて、子どもが料理に関心を持つか。
親の料理姿を見ている回数が多いご家庭の子どもほど、料理関心度は高い結果です。
親が料理姿を見せていないご家庭の子どもは、71.4%が料理に「全く興味ない」です。

料理を作ることが好き
出典:料理を作ることが好き(博報堂 生活定点調査)

とは言え、その親自身が、料理をすることが好きかというと、そうでもなく。
総論、近年に近づくほど料理を好きと考える人が、男女とも減っています。
2020年は、男女とも前年比で増加していますが、それまでは右肩下がり。
料理を好きな人が減っていますが、コロナ過でその流れに歯止めがかかるのかもしれません。

 

論理だけでなく体験

子どもに料理させるメリットは、上記のグラフ「親子料理時実感する良い影響や効果(週1日以上)」内の項目も含め、いろいろ思いつきます。

対し、デメリットを考えると、最大と思えるのが「時間」。
料理する時間を勉強に当てる方が子どもにとって重要と考えるのは正しいように思えますが、全体バランスで見るなら危うい。

人間が生物として食べ物がベースにあり、料理はその横にいます。
スーパーやコンビニで出来合いの食べ物を購入できますが、コストや食品添加物、味の濃さなど気になる点は多い。

食育と言う言葉は、近年の言葉だと僕は勘違いしていましたが、言葉自体は明治から存在しているようです。
それが近年、食べる行為について見直され、再度脚光を浴びたのか。

食育とは、いわゆる「食べる」という面からの「食事」や「食材」のことだけでなく、食物をバランスよく食べるためのさまざまな知識を身につけること、食品の選び方を学ぶこと、また食堂(ダイニングルーム)、食卓、食器、食具などの食事の環境、そしてそれらを計画すること等といった「食の周辺」のことや食文化をはぐくみ伝えていくこと、さらに新しい食文化の創造、など広い視野で「食」について学んだり、考えたりすることをさす。また、食育は、学校という場での学習のみならず、家庭、地域をはじめ社会全般のテーマとしてとらえることがたいせつである。

「食育」は、新語ではなく、1898年(明治31)には、石塚左玄(いしづかさげん)(1851―1909)が『通俗食物養生法』のなかで「今日、学童をもつ人は、体育も智育も才育もすべて食育にあると認識すべき」と表現している。また、1903年に出版された村井弦斎(むらいげんさい)著の『食道楽』のなかにも出てきており、それによると「小児には徳育よりも、智育よりも、体育よりも食育が先。体育、徳育の根元も食育にある」と書いてあるように、歴史的にも長い間、どの家庭でも子育てとしつけの基本であったことがうかがえる。

出典:食育(コトバンク)

自分が食べるものがどんなものか知る。
料理を手伝うことで、家族への「貢献感」も得られる。
他にも、分数が体感で納得できるようになります。

もしお子さんが分数でつまづいていたら、まずは分数を教える前に、ピザやケーキを一緒に切ったり、粘土の棒をいくつかに折ったりして、「もとの1つより小さいもの」を集めると「もとの1つになる」という体験をたくさん積ませてあげてください。

ピザを4等分に切って、1/4や1/2の概念を理解する。
体得できたものは基礎力(身体知)になり、そのメリットは一生続きます。

おいしいに向けて論理を積み重ねる

僕は料理が好きです。
料理のどこに魅力があるか考えてみると、思い通りのものができたかの達成感です。

食べてもらう相手が大人の場合、個人の嗜好やリップサービスもあるので、その評価はあまり気にせず。
子どもは素直に良し悪し表現するので「おいしい」とか「また作ってね」だった時は、好きな味だったのだなとこちらも素直に喜びます。
あとは、自分が食べてみておいしいのかは重要で、いつももう一手間加える(加えない)ならどうするかを考えます。

料理は論理です。
ゆえに、上の「親子料理時実感する良い影響効果」のグラフ内にもありますが、「段取り力・思考力が高まる」は妥当です。

プロの料理人の手際を見ていると、流れるような計算の積み重ねで、珠玉の味を紡ぎ出しているのが分かります。
何となくではなく、火入れ時間や食材の水分量などをみつつ、どうしてそうしたのかを言語化できる。
基本の手順がある上に、変化変数を付加して、おいしい一皿を創造する。
それは、説明書を見てプラモデルを作り、自分の好きな色を塗ってアレンジするような。

家庭料理においては、味と時間を天秤にかけると、僕は時間に1票入れます。
味をないがしろにするわけではありませんが、ゴール時間から逆算して何を作るかを組み立てる。
昔、テレビ番組で人気があった「料理の鉄人」の道場六三郎さんの開始直後に書かれていた「お品書き」を頭の中で書き出すのと同じです。

僕は料理することで、自分のメンタルに良い影響、リフレッシュ感を感じます。
なので、料理が「好き」と言える側にいます。

それとともに親願望として、どれだけ子どもに響くのか分かりませんが、僕が台所に立つ姿を見せたい。
男性が料理や後片付けを率先してやるのを、日常景色として見て育つ。

子どもが「一人で生きていく力」をつけてほしいと全親が思うとして、稼ぐ力以外に日常生活を回せるのも、ここには含まれています。
稼ぐだけで食べ物に気を使わないと、どこかでひずみが出て、稼ぐ力が落ちるなら本末転倒です。
食べ物の重要性を知る面でも、自分で一定レベルの料理スキルを獲得しておくのは、自立の基本要素です。

素材の良し悪し、旬の素材のおいしさを知るのは、人生のいろどりが豊かになります。
「おいしい」だけでも十分ですが、微細な変化にも心が行き届いている状態になると、受け取るものも大きくなります。

さいごに

夫婦のどちらかが風邪でダウンしている時、健康な側が家事や食事を切り盛りする。
日常でも、奥様が料理するなら、男性は後片付けをする。
たまに週末は男性が料理するくらいでも良い。

子どもは親を見ています。
夫婦が空気のように支えあっているシーンを子どもが目の当たりにしている。

そういう環境にいる子どもは、大人になっても他者に敬意を持って接することができる土壌が整います。