どうやって母性・父性の呪縛から逃れるか

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育児・子供観察

いま、現役子育て世代の方々で「母性と父性」を1度も考えたことがない人は少ないでしょう。
育児という日々の大変さで、時には感情的になることもあります。
それでもふと立ち止まって「自分のやっていることがあってる?」と抱く疑問。
子どもがアダルトチルドレンにならないよう、できる限りの環境を整えたいところです。

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昭和的価値観を押し付ける高齢男性

現役子育て世代の方はたぶん全員経験済みかと思っている「祖父母世代の価値観の押し付け」。
実父実母・義父義母だけでなく、親族や近所、知人の高齢者など。

伝える側の未熟さ・工夫が足りないということもあり得ます。
タイミングや言葉選び、誰が話すのかなど。

それでも団塊世代より上の世代、特に男性はなかなか手ごわいです。
自分の価値観が正しく、それ以外は排除。

「こういうが考え方が今の科学に基づく現代の一般論です」という内容をオブラートに包んで差し出す。
そうすると苦笑いとともに「俺達の頃は」の武勇伝。
自分の弱さを認める強さを持っていない人の、自己防衛本能です。

それでも昭和世代はいまに比べ、父親と母親のスタイルがはっきりしていたと思います。
厳格な父親と、受け側の母親。

ただ最近はムスっとしている高齢男性を見ていて思うことがあります。
厳格な父親にならなくては、という脅迫観念・呪縛が、高齢男性から自然な笑顔を奪ってしまったのか。

 

母性と父性とは

多分、この言葉は一般認知度が高くいまさらですので、少しだけ母性と父性について。

母性は『無償の愛』、父性は『知恵や社会性などのルール』。
乳幼児期は母性が特に重要、一定年齢以降は父性が必要。

当たり前ですが、父母の性別と母性父性が合致している必要はありません。
その役割はそのご家庭によりますし、固定化するものでもありません。

河合隼雄先生が臨床心理士からの質問に答える形式の著作です。
2004年の本なので最新のお話ではないですが、先生のシンプルな答えが刺さります。
特に父親の子どもに対する姿勢について、感じる部分が多いです。
昭和時代の厳格な父親も、本来の父性ではないと先生は書かれています。

 

母性と父性の変遷

僕自身、母性と父性の役割の歴史は以下だったと感じています。

1970年~1990年頃 厳格な父親(の仮面)、受け取らざる終えない母親
1990年~2010年頃 母性的判断をする父親、父性的判断をせざるを得ない母親
2010年~     父母ともに自分達の性格も考えつつ意識してその役割を使い分ける

現代は母性も父性も、使い分ける時代。

昭和時代は、父親は会社、母親は専業主婦という王道パターンがありました。
2016年厚生労働省データでは「共働き世代が63%」と約2/3を占めます。

世の中のママさんからみるとまだまだだと思いますが、パパの育児参加も増えている。
母性を母親が、父性を父親が担うという考え方は、昭和的ということになります。

 

役割としての注意点

母性が父性をそれぞれの性別の親が担うかどうかとは別に、その役割(意味)は重要です。
子どもが安心して帰る安全基地、挑戦を後押ししてくれる父性的役割。

注意点としては「中途半端」な状態で、子どもが迷ってしまう状況
しかるときにはしっかり目を見てしかる、受け入れるときはしっかり抱きしめるなど。
生煮え状態になると、子どもにとって悪影響があると僕は考えています。

実際は、父母が健在で母性父性が機能している状況ばかりではないでしょう。
単身赴任、やむを得ず離婚や死別など、シングル状態になることもあります。

たとえ父母が子どもの身近にいたとしても、100点を求めるのは砂上の楼閣発想でしょう。
母性父性欠如だけではありませんが、うまく子どと向き合わないと「アダルトチルドレン」への進展も懸念されます。

 

アダルトチルドレン(アダルト・チャイルド)

アダルトチルドレンとは「問題を持つ家庭環境で育った子どもが何らかのトラウマ(心的外傷)として残っている成人」のこと。
1990年代後半、アメリカの社会心理学博士クラウディア・ブラック氏が提唱して概念です。

親が条件付の愛情であったり、ネグレクトのような虐待、そして共依存。
そのような環境で育つと、アダルトチルドレンになることがあるということ。
さらにはトラウマによる二次障害で、うつ病や引きこもりにもつながる危険な状態。
アダルトチルドレンの特徴は以下のようなものがあります。

・生きていて楽しくない
・自己肯定感が低い
・人に尽くしすぎる
・人に頼られすぎると思う
・心に余裕がない

 

さいごに

武道や茶道の、修業段階を表す言葉で「守破離(しゅはり)」というものがあります。
「守」=師の形をまなぶ(まねぶ)基礎段階
「破」=他派の流儀なども学んだりして良いものを取り入れる発展段階
「離」=既存流派を離れ自らの形を確立する段階

当たり前ですが、基本があっての発展系。
何でも自由に自分勝手にやるのは「形無し」と呼ばれる、能の世界でよく例えられるお話です。

現代社会は父性優位だと僕は考えています。
新入社員なども含め若い方を見ていて、スマートな規格製品的なイメージを持つことがあります。

一応ですが「若者ダメ」というお話ではありません。
彼らと少し時間をかけて話をすると、自分の考えをちゃんと持っている。
自分の若い頃に比べ、しっかり考えているなぁ、という印象です。
さらに言うなら、高齢者より若い方の方が、冷静に物事をみている方が多いと感じます。

それでも「自分を枠にはめ込みがち」感は否めません。
少しでもおかしなことをしないようにする「安全優位」思考。
「成功最大化」ではなく「失敗最小化」戦略かもしれません。

「あまり円きは転び易し」という慣用句が思い浮かびます。

ではでは

◆今回のまとめ◆

母性は『無償の愛』父性は『知恵や社会性などのルール』
母性がベースであり順番的に先にあることも重要
父母側もリラックスして楽しむ