友達の数イコール幸福ではない

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育児・子供観察

友達の数が少ないか心配になる。
子ども時代から青年期まで、正解がない問いで多くの人は気になる点です。
昨今の流れでは、数より質と考える人が増えていますが、子どもにはまだその物差しもなく。
対人関係は痛い経験をたくさん積んで、やっとそこそこレベルです。

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友達の数は年齢によって違う

友達の数について、年代別のアンケート結果を見ます。
初めに、小学生を対象にしたバンダイの結果です。


出典:小学生のおともだちに関する意識調査(バンダイ)

1位は「10~19人」の31%。
同率2位が「5~9人」と「20人以上」の23%。
1位と2位を合わせると77%で、約3/4がここに属しています。
全体の平均人数は16.5人です。


出典:“親友”“友情”に関する調査結果(オリコン)

続いて専門学校・大学生~社会人前半の年齢層の結果です。
友達の人数は、年齢が上がる毎に減っている。
社会人になった段階で大きく減少しているのは、たいていの人が納得できる状況。
親友人数は大きく減っていないというより、もとから絞られています。


出典:友人関係が希薄は中高年男性(NHK放送文化研究所)

最後に悩み事を相談できるような友人の数、18歳以上の男女別、年齢別です。
年齢が上がる毎に友達の数は減っています。
男女比較では、女性の方が友達の数が多い。
男性70歳以上では、53%が悩み事を相談できる相手がいない結果です。

日本の友人関係満足度は最低

次に友人関係の満足度についてです。


出典:我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 平成30年度(内閣府)

2013年と2018年を比べると、満足している人と該当しない人が増えています。
友達についても、自分が気を使いすぎる関係は距離を置く発想が浸透しているのか。


出典:我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 平成30年度(内閣府)

続いて、日本と諸外国の友人関係の満足度です。
日本は満足度で最下位、アメリカが最上位です。

アメリカの環境を見聞きしていると、これほど高い数字になるのか腑に落ちません。
日本人の気質、大手を振って「自分幸せ」と公言する人がいないのは、数字に表れているかもしれません。

日本人の情報で諸外国と比べて気になるのは、「該当しない」割合が19.4%と外国に比べ最高値。
寄る辺ない社会環境が影響していると結び付けるのは無理筋かもしれませんが、一人で悶々と悩んだ挙句、どこにもたどり着けないのであればそれは楽しい人生となるか。


出典:友人は多ければ多いほどよいと思う(博報堂 生活定点調査)

この情報が友達は量ではなく質、という結果ではありませんが、友人は少なくとも多いことが良いと考える人は減っています。
SNSのフォロワー数を求めて、ある時、その無意味さに気づくのと近いものを感じます。

友達の付き合い方は教科書にはない

SNSも友達の1つですが、SNSのフォロワー数を増やすだけなら、お金を出せば解決します。
もちろん、それが友達かと言うとそうではなく。

イギリス人で霊長類の行動を研究している人類学者、進化生物学者であるロビン・ダンバー氏が提唱した有名なダンパー数。
人間が「安定した関係を維持できる上限数は平均150人」というものがあります。

双方向でつながりを感じられる関係を考えてみると、ボトルネックになるのは時間です。
1日24時間で、起きている時間は限られます。
その時間の中から、生活や仕事の時間を引いたとき、残った時間はそれほど多くありません。

残った時間を人とつながる時間にするのか、自分の時間とするのかの選択もある。
人と深くつながるために、自分の中で醸成する時間も必要。
そうするとダンバー数の150人は、最大値というか限界値に感じます。

人の悩みの90%が対人問題とするなら、人との関わりを控える姿勢もおかしくはありません。
人間疲れして、年齢が上がるほど意図的に友達を新たに作らない可能性はある。
実際は、年齢が上がると友達ができにくかったり、友達が鬼籍に入るなどの状況もあります。

大人になれば、自分である程度、交友関係をコントロールしていく術を身に着けます。
人に嫌われるのが怖いと感じる青年期を過ぎ、友達選別もうまくなっていく。
やってみるとわかりますが、嫌な人間関係を切ってしまって、まったく問題ありません。

子どもにとって友達作りは、できるなら経験してほしい。
大人になって、うまく交友関係を切り替える基礎として、友達とケンカしたり仲直りしたりが、その人のやり方になっていく。

日ごろ一緒に遊んでいる友達でも、許せない場面が出てきます。
「今日、こんなことがあって、許せなかった」
そうしたモヤっとした気持ちを、どう昇華していくか。
友達や身近な大人あるときから恋人など、いろいろな相手とお互い少しずつ傷つけあいながら、人付き合いの温度感を身に着けていく。
教科書から学べない、人生の妙です。

友達はいた方が良いか。
子どもの時はいた方が良い、大人になったらゼロでも良いと僕は考えています。

子どもが友達とはしゃいでいる姿を見ると、喜びの体現者としてスゴイと感じます。

さいごに

ハーバード大学の75年間にわたる追跡調査によると、人間の幸福や健康は、年収、学歴、職業と直接的には関係ない。関係があったのは『いい人間関係』だった

出典:ハーバード大75年の追跡調査「人間の幸福と健康」を高めるたった1つの方法(プレジデントオンライン)

要約すると、幸せは見栄とは無関係でポジティブな友人と一緒にいる、と言うお話です。
年齢を重ねる毎に、これは納得度が高まります。

ポジティブな人が周囲に幸福をもたらすのであれば、自分がポジティブでいるためにどうするか。
人生を楽しむために、精神エネルギーを含む健康管理がキーワードです。