「旅育」のススメ、子どもとの旅は非日常という別世界

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育児・子供観察

「食育」という言葉は有名ですが、「旅育」という言葉があります。
子どもを旅に連れて行って、もしくは一人で旅をさせて成長を促すこと。
個人的には最近知った言葉ですが、たしかに旅は子どもに影響を与えると僕は考えています。
しかし統計では「旅行にいっていない人」が増えている時代でもあります。

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「旅育」のメリットとデメリット

子どもにとって旅のメリットの一例として、以下のデータがありました。


出典:「親子の絆と旅行」アンケート結果(社団法人 日本旅行業協会)

このアンケートの主催が旅行関係協会で、対象がモニター会員です。
ですのでこの結果は「旅好き家族が多い」というバイアスがあると考えた方が良いと思っています。

そのうえでも[我慢強い]や[協調性がある]など、納得できる項目があります。
旅をするうえで必要となる素養、これらの性向が強化されることはイメージできます。

他にもメリットとして挙がるのが以下。
・社会性、公共性
・非日常の刺激
・情操教育
・本物に触れられる
・親の知らない一面を知ることができる

デメリットは費用発生や、不本意な束縛などでしょうか。
また旅が嫌いという人にとっては、マイナス面は大きいと思います。

ただ、たいていの場合、旅はメリットがデメリットを上回るもの。
その旅をする人は、近年わずかですが減っています。

1年以内に国内旅行をしない人は20年前の4割減

博報堂の調査に「1年以内に旅をしたか」という結果が以下です。


出典:この1年間に1泊以上の国内旅行(出張は除く)に行きましたか?(博報堂 生活定点調査)

全体的にわずかですが、グラフは右肩上がり。
1年以内に旅をしていない人が増えています。

1998年と2018年の、20年間の差は以下。
海外旅行に行っていない人は=105.0%(旅に行かない人が5%増加)
国内旅行に行っていない人は140.2%(旅に行かない人が40%増加)

海外旅行は20年前に比べ、5%の落ち込みですが、国内力は40%の減少。
この20年間で、1年以内に国内旅行に行っていない人が4割減っています。

これは全体のアンケート結果なので、子育て世代として30代と40代の結果が以下です。


出典:この1年間に1泊以上の国内旅行(出張は除く)に行きましたか?(博報堂 生活定点調査)

総論は全体結果とかわらず、減少。
全体結果と違う点は以下です。

30代の海外旅行に行っていない人の減少率は、全体よりも多い(全体=105%、30代=107.8%)
30代の海外旅行に行っていない人の減少率は、全体よりも少ない(全体=140.2%、30代=125.4%)

40代の海外旅行に行っていない人の減少率は、全体よりも少ない(全体=105%、30代=103.9%)
40代の海外旅行に行っていない人の減少率は、全体よりも少ない(全体=140.2%、30代=131.7%)

40代は全体に比べ旅行に行く人が多く、30代は旅行に行かない人が全体に比べ多いという点も、トピックスです。
婚姻率が下がっている現代、比較的金銭的にも時間的にも自由が利く独身者が多ければ、旅行をする人(率)が増えても良い気がします。
30代の旅行者減少の原因として、現代の社会情勢である「お金(可処分所得の減少)」があるのではと勘ぐってしまいます。
架空のお話ですが、30代の方々に1億円の現金を配ったら、旅をする人はもっと多いと思っています。

お金がボトルネックとしても、個人的には旅には「経験」という財産になると思っています。

「未知の経験」という財産

値段がいくらかは微妙ですが、いま中クラス以上のホテルに宿泊すると、対応がとても洗練されていると感じます。
宿泊中はもちろん、確認などで電話せざるを得ない状態の時も、それを感じます。
僕が東京在住と言う事もありますが、東京で中クラス以上のレストランでも同様です。

他方、金額が低い施設などでは、言葉遣いや気配りなどにイマイチ感を感じることがあります。
この1つの原因が「経験」だと僕は考えています。

たとえば東京ではさまざまなものが集まり、切磋琢磨し、どんどん洗練されていく。
同業種だけではなく異業種も含め、学べることをどんどん取り入れるブラッシュアップされる。
ポジティブな意味もありますが、そうしないと生き残れないのが実際のところです。
結果、生存(者)バイアスなのですが、生き残ったものがどんどんレベルが上がる。

他方、競争がなかったり経験が少ないと、学ぶ機会(経験)が訪れない。
それが積み重なるというお話です。

旅には知らない経験がたくさんあります。
いつもと違う非日常には、自分が通常の思考パターンでは対応できないことが出てきます。
トラブルも旅の大きな醍醐味であり、振り返ると記憶に残りやすいのは失敗経験が多いです。
すばらしいものを観たり聴いたり食べたり、また失敗経験とそのリカバリ経験。

現地で五感で感じる経験による説得力の強さ、10年以上前のことでもクリアに思い出せることがあるというのは僕の実感です。
こうしたことの積み重ねが、のちの人生に影響すると僕は考えます。

旅をしなくてもイロイロ経験ができる、という考えも僕は否定していません。
それでも物理的移動には脳に与える影響は大きいと考える自分がいて、これは身体に縛られている今の時代の考えかもしれません。
やがてVRが進化していく先に、脳内ですべて完結するとも想像しています。

さいごに

僕は旅が好きで、国内海外問わずそれなりの回数を経験しています。
自分の経験からも、特に海外に出るメリットは大きく、日本が島ということを認識しました。
自分のいつもの場所ではない場所へ、短期旅行も良いですし、長期間滞在も見える世界が違います。

家族旅行は子どもが外に出ていくときの「心のハードル」を下げるかもしれないもの。
いま僕が「火星探査船に乗る?」と聞かれたら、「No」と答えます。
それでも「治安が少し不安定だけど、ある後進国の魅力的な場所に行く?」と言われれば「Yes」と答えます。

わが家の子どもにもできるだけ、旅や海外への心理的ハードルが下がってほしい。
家族旅行がきっかけで、子どもが外に出ることを望むようになったらシメシメ狙い通り。
よって、僕は家族旅行をわが家の方針の中で上位に位置づけています。

以前も書きましたが、いまの子ども達が大人になる頃、日本でしか生きられないようでは厳しい世界と予想。
そして、子ども達が大人になるころには、宇宙旅行も身近になっていることでしょう。