増加傾向の校内暴力に対して親の姿勢

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育児・子供観察

子どもの暴力行為は、小学校では増えています。
いじめが増えた理由は、それまで放置されがちだったいじめを社会全体が認知した結果という話もありますが、暴力行為の増加がそれと同じなのかはわかりません。
いまの学校運営を見ていると、子どもの数が減ったのもあり、教師の目が以前より行き届いているのは確かです。
暴力行為をゼロにするのは蜃気楼かもしれませんが、親として子どもとどう向き合うかの1つの題材です。

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子どもの暴力行為は小学校で顕著に増加傾向

まずは、子どもの暴力行為・器物損壊に関する情報です。

暴力行為発生件数・発生率の推移
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

小中校の暴力発生件数推移が上記です。
トピックスは、小学生(グラフ内=青色線)が増えています。
近年になるほど増加しており、2022年度は61,455件で、グラフ内で一番古い1997年度に比べると約43倍です。
中学と高校はやや上下はあっても大きくは変わっていません。

1000人当たり 暴力行為発生件数
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は、1,000人当たりの暴力行為発生件数です。
1,000人当たりでみると、ここ数年は小学校と中学校の発生件数がほぼ同値。
中学校は1,000人当たり9.2人なので、1%弱が暴力行為として認知されています。

上記は、2022年の教師に対しての暴力行為、国立・公立・私立の各情報です。
小中とも公立が発生件数が高い。
小学校は公立の次に国立、私立は小中高とも低くなっています。

対教師 暴力行為件数 1000人当たり 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は、2022年の教師に対しての暴力行為、国立・公立・私立の各情報です。
小中とも公立が発生件数が高い。
小学校は公立の次に国立、私立は小中高とも低くなっています。

 

生徒間 暴力行為件数 1000人当たり 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

2022年の生徒間での暴力行為、国立・公立・私立の各情報です。
1つ上のグラフ、対教師では公立が高かったですが、生徒間では小学校の1位は国立。
公立の小学校は、私立と変わらないくらいの少ない件数です。

器物損壊件数 1000人当たり 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記、2022年の器物損壊の、国立・公立・私立の各情報です。
全体的には、中学校が高く、次いで小学校。
高校はこの器物損壊もそうですが、対教師・生徒間でも、いずれも低い数値です。

都道府県別では愛媛が優秀

このブロックは都道府県別、2022年度の子どもの暴力行為情報です。

都道府県別 1,000人当たりの発生件数 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

はじめに上記は、都道府県別 1,000人当たりの発生件数です。
全国平均は7.2件、発生件数が一番少ないのは愛媛県の0.4件、一番多いのは新潟の18.1件。

それ以外は、特徴を捉えられないグラフになっています。
四国と九州は低いと言えますが、それ以外は各都道府県によっています。

都道府県別 対教師暴力 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は、都道府県別 対教師に対する暴力行為発生件数です。
全国平均は255件、発生件数が一番少ないのは愛媛県の4件、一番多いのは大阪の1,229件。

都道府県別 生徒間暴力 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記、都道府県別 生徒間の暴力行為発生件数です。
全国平均は1,480件、発生件数が一番少ないのは愛媛県の31件、一番多いのは神奈川の7,527件。

都道府県別 器物損壊 2022年度
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記、都道府県別 器物損壊件数です。
全国平均は270件、発生件数が一番少ないのは愛媛県の13件、一番多いのは神奈川の1,281件。

暴力行為や器物損壊ですべて良い方の1位は愛媛県、神奈川や大阪はワースト側です。

加害生徒に対しての措置は緩くなっている

このブロックは、加害者側の情報です。

子ども 暴力行為 加害生徒数
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記、小中校の暴力行為の加害生徒数推移です。
この文章の一番上のグラフ、発生件数と変わらない推移です。

子ども 暴力行為 1件当たりの加害生徒数
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は、暴力行為1件当たりの加害者人数です。
加害児童生徒数を発生件数で割った情報です。

全体傾向は右肩下がり、1暴力行為に関わった人数が減って言っています。
大きな差はありませんが、これまでの発生件数等では高校は一番低かったですが、この情報のみ1位。

子ども 暴力行為 加害生徒に対し学校が措置をしたかの割合
出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

上記は加害生徒に対し、学校が措置をしたのかの情報です。
学校の措置とは、退学や転学、停学や謹慎、訓告です。

小中は、グラフ内で低空飛行、ほぼ加害側生徒に対し措置を取っていません
対し、高校は措置を取っていますが、グラフ傾向は右肩下がり。
どういう意図なのか分かりませんが、加害者側への措置は緩い傾向と言えます。

ここまでをまとめます。
・子どもの暴力行為は小学校で増加し続けている
・対教師に対しての暴力は公立の小学校が一番多い
・生徒間の暴力行為は国立の小学校が一番多い
・器物損壊は中学校が多い
・都道府県別では愛媛が優秀、神奈川や大阪が悪い側
・1つの暴力行為でかかわった加害生徒数は減っている
・暴力行為を行った生徒に対しての措置は緩くなっている

校内暴力対策の特効薬はない

校内暴力の原因について、コトバンクで以下の記載があります。

校内暴力の原因としては、一般に、家庭のしつけの喪失、学校規律の欠如、マスコミの過度の暴力描写、地域社会の連帯感の欠如、攻撃的性格などの生徒の特性、などがあげられている。

出典:校内暴力(コトバンク)

上記の原因最初に記載されている「家庭のしつけの喪失」について、博報堂・生活定点調査のアンケート結果が以下です。

子どものしつけの責任は家庭・学校や地域か
出典:定点観測 しつけ(博報堂生活総研)

グラフ内青色線の「子供のしつけは親の責任」は緩やかに下がっています。
グラフ内灰色線の「子供のしつけは学校や地域」もわずかに下がっていますが、こちらはもともと少ない数字。
この情報からは「家庭のしつけの喪失」していると言えます。

身の回り周辺の実なので一般化ではありませんが、子育て中の僕の近辺を見渡してみるとYesでもありNoでもある。
Yesと思う出来事として、他家の子どもが誰かに嫌がっている行為など、一般的に考えてマズイと思う行動をしていても、親が叱らないシーンを僕はたまに目にしています。
もちろんここには、自分の子どもが被害を受けていないかの危機管理発送はありますが、他に自分が子育てをして他の子どもがどんな行動しているかに目が行くようになった点もあります。

いまは他人のご家庭に、声をかけにくい世相です。
自分の常識は単なる先入観として、老害を含む時代錯誤かもしれないと考えだすと、他家の子どもに指摘するのが正しいのかで立ち止まってしまう。
この辺りは、地域で子育てしていた一昔前と現代では、正反対くらいの差です。

反面、現代の子どもの一面として、たいていの子どもは危ない事や悪い事への感度が高い。
平均値が昔に比べ高くなっているという言い方もでき、学校での一クラス人数が減っている点も考えると、大人の目が行き届いている面も影響していると感じます。

しかし、平均値が高くなっているのであれば、校内暴力が減少しているはずなのですがそうではなく。
この文章の一番上のグラフでは小学校では総発生件数・1,000人当たりの発生件数が伸びています。

家庭のしつけで校内暴力が大きく減少するかと言うと、親としてはそうあって欲しいと希望しますが、現実はそんなうまくはいかず。
子どもが一定の年齢になると、親の言葉より圧倒的に友達との関係性が優位になります。

親が口酸っぱく言っても子どもに届かず、雷が落ちているシーン、たとえばドラえもんののび太のお母さんがその一例です。
のび太にお母さんの言葉は届かず、彼が影響を受けるのは、ジャイアンやスネ夫、しずかちゃん、そのほかの友達です。
これは単なるアニメのキャラクター設定だけでなく、現実もそうであるのはたいていの大人も自分の子ども時代を振り返ってうなずくのではないか。

根治(=校内暴力が限りなくゼロに近い状況)を目指すなら、一人ひとりの気持ちを汲み取ってアクションするしかない気もしますが、それも現実的ではなく。
単なる物理的暴力や器物損壊をゼロにするなら、全授業をフルリモートにして登校をなくせばで解決しますが、学校での最重要項目の1つである社会性を学べなくなる。

結果、子どもが向き合える場所や人が、複数か所ある状況が現実解だと感じます。
それが家庭なのか友達なのか、先生や地域の知り合いなのか。

自分の家の子どもが、加害者・被害者、どちらにもなり得る可能性はどこの家庭でもあり得ます。
「まさかうちの子が」という言葉を発するなら、多分子どもと向き合えていなかった結果です。

子どもがアラートを上げても良いと思えるような親であるのは、校内暴力の1つの解決策です。

さいごに

わが家の子どもが通っている学校では、昼食後の長い休み時間や授業と授業の合間の少し長めの休み時間、校庭で遊ぶ子どもがいます。
その時間、複数人の教師が、校庭の各所で子ども達を見守っています。
その中には校長先生の姿もあるので、どういう経緯でそうなったかは分かりませんが、その学校のやり方のようです。

僕が子ども時代、先生が休み時間に校庭で遊ぶ子どもたちを見ていた記憶はありません。
少子化かつ、問題が起こった時の火消しが大変な時代の対策なのか。

有効な予防策かどうかは分かりませんが、大人の目が行き渡っているのは、校内暴力の抑止力になっていると感じます。