日本でも世界中でも近視が進行中

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育児・子供観察

子どもの視力は、年々悪化している。
世界でも同じく、近視患者は増加しています。
視力が良いに越したことはなく、世の中には一定の視力を求められる職業が存在します。
とは言え、弱視レベルでなければメガネ等でカバーは可能でもあり、それを補う姿勢もあります。

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子どもの視力は悪化

スマホの見過ぎ(スクリーンタイムが長い)のが現代病の1つだとして、子どもの視力は1980年以降、ずっと低下しています。


出典:学校保健統計調査(文部科学省)

グラフ内の灰色と水色とその上にあるわずかな濃い青色が視力が1.0未満を表しており、増加しています。
一番、増加率が高いのが「1.0未満~0.7以上」で、1980年と2020年比で142.2%です。
減っているのは「1.0以上」のみで、1980年と2020年比で89.9%。


出典:学校保健統計調査(文部科学省)

先ほどの幼稚園のグラフより、明らかに視力が悪くなっています。
一番、増加率が高いのが「0.3未満」で、1980年と2020年比で372.7%です。
減っているのは「1.0以上」のみで、1980年と2020年比で77.8%。


出典:学校保健統計調査(文部科学省)

小学校グラフと同様、グラフで見ても明確に視力が悪くなっており、全体の半数以上が視力1.0未満。
「0.3未満」は、2020年で25.3%と、4人に一人が属しています。


出典:学校保健統計調査(文部科学省)

幼稚園・小学・中学・高校の中で、1980年と2020年をくらべて、一番悪化していないのが幼稚園、その次が高校生です。
グラフを見ても視力「1.0以上(一番下の青色)」がわずかに減少していますが、小学校や中学校に比べると減少率が低い。
2020年の高校生は、視力「1.0以上」が36.8%と約1/3、「0.3未満」が31.5%と、大きく3分割されています。

世界中で近視患者は増えている

視力低下は日本国内のみの話題ではなく、世界的にも増加傾向です。


出典:Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050(American Academy of Ophthalmology)

2000年~2050年の予測結果で2つの線があります。
薄いグラフ線がMyopiaで近視の人数、もう1つの濃いグラフ線が強度近視です。

世界全体の近視患者は、2000年には14億6百万人で世界人口の22.9%でした。
2050年予測値では、世界人口の49.8%にあたる47億58百万人が近視。
強度近視も、2050年に10億人弱と予測されています。

日本でも近視は増加していますが、日本に限った話ではなく世界全体で近視患者は増加しています。


出典:Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050(American Academy of Ophthalmology)

地域ブロック別に見ても、どれもほとんど角度が変わらない右肩上がり。
日本を含む黄色線のアジアは、ずっと1位のまま2050年には56.9%が近視です。
当たり前なのか、最下位は灰色線のアフリカですが、それでも2050年数値は32.0%。

このレポート内の考察では、近視増加要因として環境要因(主に屋外での時間の減少)、ライフスタイルの変化としています。
そう言われてうなずかない人はいないくらい、日本でもその説明はマッチしています。

目が悪いと就けない職業

日本では、目が悪いと就けない職業が存在します。

▼目が悪いと就けない職業

普通自動車免許取得・更新で視力検査があるのは認知度が高いですが、他によく知られているのはパイロットかもしれません。
調べてみると上記の通り、視力を求められる職業が存在します。

自衛隊や警察官、消防士など物理的な活躍が必要な職種。
遠くを見る状況が多いパイロット以外にも、船舶関連や宇宙飛行士など操縦系も存在。
騎手や競艇選手、オートレースの競技系も視力を求められています。

いまは、レーシック手術や眼内コンタクトレンズ(ICL)の選択肢があるため、一昔前は目が悪くなった時点で希望職業をあきらめざるを得なかったものが、挑戦権はなくならない時代ではあります。
とは言え、眼が良いか悪いかを選べるなら、たいていの人は良い視界を望む。

ネット上の眼科医や専門家の意見として、近視にならないためのアクションとして以下があります。

・30cm以内の距離本やスマホを見ない
・近くを長時間見るときは遠くを見る休憩を入れる
・暗いところで本を読んだり勉強したりしない
・スクリーンタイム(テレビやスマホ)を減らす
・1日2時間が外で遊ぶ(週11時間以上)
・早寝早起き、十分な睡眠時間

どれも違和感のない内容ですが、それを子どもに実践できるかはいつもながらハードルは高い。

視覚による一次情報もその先も重要

視覚情報が重要とされる、有名なメラビアンの法則。

アメリカUCLA大学の心理学者/アルバート・メラビアンが1971年に提唱した概念。人物の第一印象は初めて会った時の3~5秒で決まり、またその情報のほとんどを「視覚情報」から得ていると言う概念。

出典:メラビアンの法則(コトバンク)

第一印象が大事で、最初に良い人と思ったらよい人、逆もまた同じくという心理バイアスです。
他にも視覚優位のお話としては、以下の五感のうち視覚情報は8割以上というものもあります。

人間の五感の情報収集能力については、「視覚87.0%、聴覚7.0%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1.0%」と掲載されている文献もあれば、「視覚83.0%、聴覚11.0%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1.0%」と掲載されている文献もあります。

出典:五感による知覚の割合は視覚が87%、味覚が1%とも(株式会社櫻花屋)

盲目でなければ、日常生活では視覚情報が基本です。
その、眼で見た第1次情報の精度として、はっきりモノが見えているか(精緻な情報か)。
目が悪いとこの点で、マイナスです。

メガネ利用者で良く出てくる話題、メガネがないと落ちているゴミを見つけられない、お風呂場の汚れに気づかない。
気づきががなければ、好環境変化は望めません。

就けない職業も人生全体のインパクトとしては大きいですが、日常でも目が良いに越したことはない。
そのため、子どものうちから目が悪くならないよう、スマホの時間制限を持ち出すまでもなく、親はできる範囲で注意するのが一般的です。

それでも、見えないと人生で大きなビハインドがあるかというと、メガネ矯正で一定以上の視力があれば、ほぼないと僕は考えています。
僕は常時メガネ利用者であり、温泉に入る時などのわずかな時間以外、大きな支障はありません。

逆に目が悪くて良い点を絞り出すなら、視覚情報減少による思考量の増加を思いつきます。
目が良くても深く考える人がいるのは置いておいて、一次情報が少なくなれば、他の何かで代替が必要になる。

目が悪いが故、沈思黙考が増えたり、座禅を組む(半眼)のも近い。
情報をシャットアウトし、自分の中に立ち返る。

それでも、幼稚園・保育園の子どもが度の強いメガネをかけているのを見ると、この子は目が悪い人生を送るのだと、自分の経験から苦労を重ねてみてしまいます。
ただそれも、その人の味になっていくのですが、成人になるまで山あり谷あり。

視力が良くても、モノを正しく観られるのではなく。
客観的な情報取得、その先に自分で考え行動する。

「我見(がけん、自己中心的な狭量な考え方)」に陥ることなく、「離見の見(りけんのけん、自分から離れて自分を見る)」の境地は1つの到達点ですが、そこを目指すのも生き方。
子育ては、自然・必然両面で「離見の見」要素があります。

さいごに

運動が好きな人がメガネ必須になると、対策が必要になります。
球技はコンタクト必須、雪山のスノーゴーグルも同様、海の中も度付きゴーグルを買うかも悩む。
ジョギングも、コロナ過になって常時マスク推奨になり、メガネが曇る。

シリアスシチュエーションでは、災害時にメガネがないと大変困る。
無人島に1つだけ持っていくものがメガネというのは、メガネ常用者はうなずく内容です。
避難所でも、衣食住と同レベルでメガネがないと不便になります。

楽しいシチュエーションでも、眼が良い人と星空を見て、たくさん星があると言われても、自分はパラパラしか見えない。
ジェットコースターなど乗り物はメガネを外すので、遠くは見えない。

並べてみても感じますが、眼が良い人は手間やコストが少なくてすみます。