答えを導き出す経験

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育児・子供観察

正解のない状況で答えを出す。
コロナ過での外出自粛の中、実家に帰省するか。
全体最適を考えると「否」ですが、厳格なルールがないうえで、個人の事情は千差万別です。
そういうものこそ、子どもと考えるには良いネタです。

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部分最適と全体最適

品質管理検定(QC検定)でも出てくる、2つの言葉「部分最適」と「全体最適」。

意味は文字通り、全体の中の一部や個人だけが最適な状態を優先するのが「部分最適」で、社会や組織全体が最適な状態を目指す「全体最適」です。

民主主義政治は全体最適(のはず)で、多くの票を取った人が代表して施策を決定します。
多数決で選任されており、その票を入れたたくさんの人が喜ぶ政策をするはずなのですが、多分そんなお花畑思想の大人は、日本にはいないとは思います。

コロナ過を考えるたとき、2020年の年末から年始にかけて、正月に実家に帰省するか。
これも「全体最適」と「部分最適」で、考えられます。

全体最適を優先するなら、帰省しない。
人が移動しなければウィルス拡散防止になり、社会全体として良い状況になる。
全体幸福度の高さを目指すなら、こちらです。

2020年の年末はまだ、国から緊急事態宣言が発令されていない時期でした。
国や東京都からは、できる限り移動は控えてくださいというお願いレベル。
その後の2021年になって緊急事態宣言となりましたが、外出禁止令も罰則もなく、日本は個人で判断してくださいのスタンスでした。

この状況で、帰省するか。

帰省希望は約半数

実際に帰省したかの質問ではありませんが、2020年11月に年末年始に帰省するかのアンケート結果が以下です。

出典:年末年始の外出と感染予防に関する調査 2020(養命酒製造株式会社)

半数弱の人が帰省すると答えています。
年代別にみると、若い人ほど帰省する割合が高い。

年明け、僕は自分が所属している組織内で、帰省したのか雑談で話題になりました。
結果、上記のアンケート結果と同様、帰った人もいるがそうでない人もいて、その割合は約半々。
2020年末は別の要因として、大寒波が日本を襲っていたので、それで帰省を止めた人もいました。

もう1つ、アンケートと結果と同じだったのは、若い人ほど帰省した人が多かった。
帰省した人は「大きな声では言えませんが」という後ろめたい枕詞がついており、大手を振っての帰省ではなかったようです。

その中の1名が、車で帰省したと話していました。

状況をまとめても正解はない事象

移動手段が、飛行機や新幹線などの公共交通機関ではなく、車だったとしてコロナに配慮しているか。

僕が住んでいる地域が東京なので、コロナが一番蔓延している場所。
地方の人からは、「帰って来ないでほしい」と思われる筆頭地域です。

個人的には、強制力がない状況だったので、帰省するしないは、個人の判断を尊重で良いと考えています。
帰省した人について、マイカーだろうが公共交通機関であろうが、「そうなんですね」と差はありません。
マイカーだからと言って、良いと思ってもおらず、公共交通機関との差はありません。

帰省する理由は人それぞれです。
長期間の休暇で暇、東京にいても外出自粛でやることがない、いままで外出を控えて少しくらいは気晴らしも兼ねて。

これらとは別に、子持ち家庭は「祖父母に孫を合わせたい」理由が上がります。
とはいえ、高齢者がコロナ罹患すると死亡率が高いことや、村社会風潮が残っている地域に帰省してコロナ拡散すると後にも影響が残る。
結果、孫には合いたいが、今年の帰省を祖父母からやめてもらう、高齢者の話も聞きます。

逆に、高齢者側が病を患っていて、残りの寿命が見えているようなケースもあります。
この時、だれかが「コロナだから帰省はダメ」と言ったとしても、帰省した方が後で後悔しないのでは、と僕は思ってしまいます。

この話、帰省しないが正しいですが、個人事情まで考慮すると、僕は正解がないお話だと考えていました。

社会性の注意点

子どもに一定(以上?)の社会性を身に着けてほしい。
親なら程度の差はあれ、だれもが考えます。

人間関係や社会で周りと調和しつつ、自分のやりたいこともやっていく。
こう考えると、やはり前に来るのは全体最適です。

これを当たり前と思うか、その度合いは人それぞれですが、少なくとも100%自分のやりたいことだけやっていれば良い、という考えをわが子に持ってもらいたい親は、よほどの人です。
それぞれが、ゆずりあって調和点を持つ社会性が無ければ、孤立は避けられません。

一応ですが、社会性と自分のやりたいことが両立しないわけではありません。
社会性(ルール)を身に着けるのは必要で、結果を出している人ほどルールを押さえ他人を尊重します。

ただ、周囲に合わせることに重きを置きすぎる懸念は、いまはだれもが知っています。
人と同じようには、枠外に外れない、それは「差別化」視点ではマズイ。
就職・転職の時に「何でもできます」が通用せず、「自分はこの分野で圧倒的な成果を出せます」は普通に求められます。

人と合わせられることは必要。
そのうえで、そこから外れることも必要。

両者が反するものではなく、後者がより重要な時代です。

さいごに

2020年末のコロナ過での帰省するかの判断は、個人にゆだねられました。
こういう時、子どもがどうしたいか聞き、そこから家族でどうするか決める。
画一的な答えがない典型的なネタなので、子どもと一緒に考えるには、良い題材でした。

社会情勢、帰省する場合のリスク、帰省を受け入れる側の心象、帰省しなかったら。
それぞれ考え、それを踏まえゴールに持っていく経験。

何もないところ(経験ゼロ)での判断は、基本は無理です。
経験から、それを抽象化して自分の中にためて、いつでも出せる状態にしておく。

世の中は、たいていのものに正解はない。
答えは自分が出すもの、という経験は大事です。