子どものゲームとの付き合い方

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育児・子供観察

コロナウィルス流行以降、テレビゲームする子どもが増えています。そのテレビゲームを長時間遊ぶ子とあまり遊ばない子では、正答率が約1.4倍の差がある。テレビゲームと学力に因果関係はありませんが、それでも長時間ゲームは学力に影響するのは想像に難くない。ゲームとの調和を図るのは、子ども時代の良い題材の1つで、それは大人になってからも生きてきます。

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テレビゲームの時間はコロナ過で増加

国立教育政策研究所が実施している、子どもの学力調査結果があります。調査概要は以下の通りの大規模調査で、信ぴょう性が高いものです。

調査日時:令和4年4月19日(火)
小学校 18,867校 978,111人
中学校 9,762校 928,509人

その中にある、小中学生の平日のテレビゲーム時間が以下です。

小学生 月曜~金曜 1日当たりのテレビゲーム時間
出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果(国立教育政策研究所)

小学生は2010年代中盤、テレビゲームをやる子どもが微増、2021年と2022年はそれが加速しています。これについてはコロナ過要因であることは間違いなく、巣ごもりの結果、テレビゲームする子どもが増えました。ゲームをやらない子は、2010年代中盤はほぼ増減なしでしたが、コロナ過以降は約半数に減っています。

中学生 月曜~金曜 1日当たりのテレビゲーム時間
出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果(国立教育政策研究所)

中学生も小学生同様、コロナ過以降でテレビゲーム時間が増えています。ただ、小学生の流れと違うのは、2021年と2022年を比べると、2022年はゲーム時間が減っている点です。もう1つは、ゲームを「やらない」人が、2022年は2021年にくらべ大幅増加しています。いまのゲームは楽しいものが多く、一度始めたらなかなかやめられないソフトが多い気がしますが、2022年はゲームをやらない中学生が増えています。

テレビゲーム時間が短いと正答率が約1.4倍

同じ国立教育政策研究所情報に、2022年のゲーム時間と学力の関係があります。

ゲーム時間と平均正答率 小学生
出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果(国立教育政策研究所)

小学生の結果は、国語・算数・理科、すべて右肩上がり。ゲーム時間が少ない、あるいはやらない子どもの正答率が高い結果です。3教科平均で、ゲームをやらない人は、4時間以上ゲームする人に比べ正答率の差は137%(1.37倍正解)になっています。

ゲーム時間と平均正答率 中学生
出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果(国立教育政策研究所)

中学生も小学生同様、基本はゲーム時間が短い方が正答率は高い。小学生と違うのは、算数と理科では、「ゲームを1時間未満」と「やらない」層の学力差がほぼ同じところです。3教科平均で、ゲームをやらない人と、4時間以上ゲームする人の正答率の差は138%と小学生とほぼ同値。中でも、中学生の算数が一番、その乖離が大きく、4時間以上とやらない人の差が151%。算数が積み重ねていかないと結果が伴わない強化の特性上、どこかでつまずくと取り返しがつきにくいためでもあります。

いまの小学生の楽しみの1位はゲーム

学研が定期的に行っている小学生向けアンケートの「小学生白書」があります。その2022年の結果の中に、何をしている時が楽しいかを聞いた結果があります。以下は、2022年9月に実施したアンケートで、回答者は小学1年~6年の男女各100名、合計1,200名です。

何をしている時が一番楽しいですか 小学生全体
出典:小学生白書 20022年9月調査(学研)

小学生全体の結果として、1位がゲーム(テレビゲーム・携帯ゲーム)で37.1%です。他に6位にもスマホゲーム15.9%が入っています。2つを足すと53.0%と、いまの小学生の約半数強がゲームが楽しいと感じています。

何をしている時が一番楽しいですか 男女別
出典:小学生白書 20022年9月調査(学研)

男女別にみると、男子が圧倒的にゲーム好きで、女子の1位は外遊びです。1位のゲームは、男子は49.7%と男子は約半数、女子は24.5%と女子は約1/4。6位のスマホゲームは、男子は18.2%、女子は13.7%。1位と6位を足すと、男子は67.9%%、女子は38.2%です。

何をしている時が一番楽しいですか 学年別
出典:小学生白書 20022年9月調査(学研)

学年別の情報が上記です。1位のゲームは、小学校中学年がピーク、高学年になって勉強が難しくなったのか中学受験の準備に入ったのか。6位のスマホゲームは学年が上がるにつれ上昇傾向です。

少しだけ違う現実に着地するために

上記グラフでゲームを4時間以上やる子と、やらない子で約1.4倍の正答率の差がありました。ただし、いつも通りですが、これは相関関係のお話で、因果関係(ゲームするから学力が下がる)ではありません。

しかし、普通に考えても、平日1日4時間ゲームするなら、勉強時間が少なくなるのは自明です。学校から夕方帰ってきて食事、お風呂、宿題などを考えると、そのほかで4時間を絞り出しているなら睡眠時間が短くなっている可能性もある。睡眠時間と学力の関係では、良く寝る子は学力が高いのはいまはよく聞く話です。優等生的意見で鼻に付きますが、規則正しい生活習慣だと学力が高くなるのは、適度な運動を続けるのが身体に良いと同じ。それができるかは、別として。

僕は子どもがゲームすることに、条件付きで賛成です。条件はゲームする時間やルールを親子で話し合って決めて、それを守る。ルールには、守れなかったときのペナルティをあらかじめ決めておくのと、それを厳密に実行するも含みます。ルールをやぶったら、その後1週間はゲーム禁止などです。

僕は子どもの頃、良くゲームをやっており、ゲームの楽しさは分かります。徹夜でドラクエのレベル上げをして親に怒られる、典型的にダメな時期もありました。その後、ゲームは余暇時間かつ余裕がある時にやる方針を自分で決め、たまに眠い目をこすることはあっても現実とゲームと調和を図れるようになりました。

ゲームは現実とは別であり、あちら側世界(バーチャルワールド)。読書(小説)も同じく、いつもの自分と違ったペルソナになっている。

RPGゲームで、自分が強くなったり、ミッションクリアしていく達成感の気持ち良さ。アクションゲームで、ハチャメチャにモノを壊すなどの爽快感。節度を持てるのであれば、ゲームは1つの娯楽として楽しめるものです。デメリットとして最初に上がる、WHOは2019年5月に「ゲーム障害」を新たな国際疾病分類として認定がありますが、人によってはストレス発散など実生活にも好影響があります。本を読んでその世界に入り込み、いつもと少しだけ違う現実に戻ってくるのと同じです。

僕はゲーム禁止が最善策とは考えておらず、それは臭い物に蓋をする論法で雑と感じます。何でも禁止の先に、魅力的な人間になれるのか。無料ゲームもたくさんある現代、1度はその沼にはまってみて、自分の性質を知る。ゲームにはまらない人はそれで良いですし、自分がゲーム好きだったならその距離感を模索する。さまざまなことと同じく、その危険度を理解して立ち居振る舞いを調整してくのは、子ども時分はその分別を学ぶ時期としては最適です。

楽しさは人生において最重要の1つですが、現実に足をつけておくのは基本。仕事が楽しいと思える一部の大人もいますが、見回してみてもそれはそれは少数派です。ソフトバンクの孫さんのような方は、きっと仕事自体がゲームなんだろう。そうではない多数派、その中でもたとえばあまり日の目を見ない本人の意思にそぐわない仕事をしている人が、プライベート時間に楽しみの1つとしてゲームをやっているのであれば、それは人生のバランスが取れています。

自分でルールを決めて、失敗して修正する。それ以外にも子ども時代に、最上位で身に着けると人生が楽になるスキルとして「プランニング」と「切り替え」があります。1日の時間や、次の大きな現実的タスク、たとえば次の中間テストや受験など、そこに向けてどんな配分するか。勉強を1時間やったらゲームを15分など、メリハリをつける。

どんな状況でもサクッと切り替えるスイッチを持つと、大人になってからも使えます。

さいごに

わが家の子どもとその友達の会話を、ある時、小耳にはさんだのですが、子どもの学友がわが家の子どもに向かって「君の家にテレビゲームある?」と聞いていました。僕の奥様情報では、ママ同士の会話の中には友達の家に初めて行くとき、事前配慮として「ゲームをさわらせるか」は話題に上る時代です。ママたちはゲームの危険性も考えつつ、その距離感を常に調整している。

いまの子どもはゲームが身近で、その楽しさを知っており、親に制限されている。僕の子ども時代、ファミコンがある友達の家にあがりこんでいたのと変わっていないと感じます。