いじめに対しトラブル察知能力で対応する

スポンサーリンク
育児・子供観察

2021年度は2020年度に比べ、いじめ認知件数が15.6%減少しました。
2011年度以降、上昇傾向だったものが、久しぶりに大きく下落。
とは言え、コロナ過の特殊要因がある年なので、好転したとはいえないのが実情です
だれしも、加害者・被害者の可能性があるとするなら、トラブル察知能力は有用なスキルです。

スポンサーリンク

いまのいじめの大半は小学生

いじめの定義が文部科学省では、以下となっています。

「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

出典:いじめの定義の変遷(文部科学省)

この情報、上記の出典元にある通り「平成18年度からの定義」です。
それ以前の情報もあり「昭和61年度からの定義」「平成6年度からの定義」と、時代とともに変わっています。
平成18年度からの定義でインターネットが出てくるのは、納得かつこのワードがなくてはその説明になっていない時代です。

これを踏まえ、日本の小学校~高校までのいじめの認知件数と、1,000人当たりの情報が以下です。


出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

2011年に大きく増加、それ以降も基本増加、2020年度は前年比で下がっています。
2011年増加の要因が「2011年大津市中2いじめ自殺事件」、その後2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」がいじめ認知件数の増加理由です。
いままで表面化しなかったいじめも積極的に表に出す、あるいはその意識に切り替わった、意識改革がここにあります。

どの年代でもいじめ認知は増えている

先ほどのグラフは、小学校から高校までの合算値でしたが、それぞれの個別積み上げ情報が以下です。


出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

1990年代~2010年くらいまでは、中学校が割合Topで、半数以上を占めていました。
高校は、一部を除いてこのグラフ内期間では、ほぼ10%未満。
2011年度以降、小学生が件数で1位になっています。


出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

2011年度は全体の中で小学校のいじめ数割合が半数以下の47.4%だったものが、2012年度は59.5%と半数を超え6割に近くなります。
2013年度以降も増加を続け、2020年度は81.7%と全体比で8割強。
近年のいじめは小学校が、一番多くなっています。

補足情報ですが小学校、中学校、高校の、1,000人当たりの情報が以下3つです。


出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

どのグラフも、単位が違いますが、形は同じ。
昔に比べ、いじめ認知件数は増えています。

都道府県別のグルーピングはできない

最後に、2020年度の都道府県別、いじめ認知件数です。


出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)

グラフの一番上が全国平均値で、1,000人当たりのいじめ認知件数は39.7件です。
ワースト1位は山形県で114件、ベスト1位が富山県で11.6件、その差は10.1倍。

地域ブロック別でみると、東北/関西/九州がワースト側。
富山/石川/福井、栃木/群馬、中国/四国地方が良いグループです。

都市部の方が逃げ場があったり、考え方の多様化に慣れているためいじめが少ないわけではなく。
都市部の代表の1つ大阪をはじめとする関西地区では平均値より高く、関東の千葉県も平均値の1.6倍。

地方部は同調圧力が高く、一度いじめにあうと抜け出せず、それが連鎖するとも言い切れず。
地方都市に分類される富山/石川/福井あたりは、、ベスト1グループです。

県民性や歴史、気候など、何がいじめ発生率が高くなる原因なのか、このグラフからは分かりません。

最近の先生方の対応がすばらしい

ここから、僕の身の回り観測なので、全体のお話ではありません。
僕は東京在住の子持ちで、周辺で発生した経験についてです。

まず、いじめをはじめとするトラブルに対し、教育関係者側の対応が、昭和期とは比べ物にならないくらい、迅速かつ的確になりました。
一例として、ある園児が友達とケンカしたとき、それを見ていた友達や保護者からの先生に連絡があると、即日対応が基本。
両者の言い分を聞き、できるかぎり公平性を持って、最後には「仲直り」を目指す。
担任の先生だけではなく、園や学校全体にそうした雰囲気があり、組織長の方針かもしれませんが、毅然とした態度で接する姿勢があります。

モンスターペアレントやネット炎上など、懸念要素が多い時代ですが、子どもの友達のママさんからの話を聞くたびに、「的確な対応でしっかりしているな」と毎回、感じます。
小さな子ども同士なので、自分の感情と折り合いがつかない、オモチャを取った取られた、あの子は気に入らないなど、たわいもない人生において経験した方が良いトラブルは、いまも昔も変わらず発生しています。

変わっているのは、クラスが少人数になっていたり、スクールカウンセラーをはじめとする、組織対応が実を結んでいる。
直近のニュースで、いじめを認めず臭いものにふたをしようとして失敗した高校の例もありますが、基本「いじめゼロ」を目指している姿勢があります。
それがすべてではなくたまたま良い面ばかりに遭遇している可能性は否めませんが、それにしても先生たちの意識が、圧倒的に良い方向に変わっている。

とは言え、いまの子ども達をとりまく環境として、LINEのように保護者がキャッチしにくい裏の環境があるのも現実。
SNSがいまのいじめの主戦場になっていると僕は考えています。
そういう場所が、危ない場所であると理由付きで子どもたちに先生は説明しているのも、先を見越した対策。
必ず実を結ぶわけではありませんが、先生方の忙しさを聞くに、よくそこまで考えられていると僕は感謝しています。

大人になると分かるのですが、学校はあくまで一過性の「狭い世界」。
仮に、いじめ被害者になったとしても逃げればよいというのは、安全地帯からの当事者に届かない言葉の可能性が高い。
その見地に立つなら、いじめの根源撲滅がその対策の最右翼です。

僕は、いじめがゼロになることはないと思っています。
それでも、限りなくゼロに近づけることは、できると考えています。

さいごに

子どもを持つ親なら、多分全員、自分の子どもがいじめ加害者にも被害者にもなってほしくないと考える。
僕はわが家の子どもが、どちらにもなってほしくないですし、いじめにあっている人がいるなら、うまい方法で弱い側を助けられる人なら、この上なしだと思っています。

いつ、自分がどちらの立場になるか分からない。
不用意に手を突っ込んで、標的にされるの可能性は、いまはどの子にもありえる。

そう考えるなら、自分はもちろん周囲を見てトラブルを察知する能力が、いまの時代の子どもにはとてつもなく有用なスキルです。
そのスキルに必要な素養を「見て、聞いて、考える」とするなら、あまりに平易な言葉になります、当たり前を当たり前に行える人は、それだけでも特別です。