牛乳の適切な摂取量、好きな食べ物との許容バランス

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育児・子供観察

牛乳の生産量と出荷金額は2010年半ばまで減少し、その後少し回復しています。
牛乳出荷金額は減っていますが乳製品全体は伸びており、その中でも特にチーズの出荷が増えています。
日本は世界的に見ると、牛乳生産量が24位と人口から考えると低い側に属します。
牛乳が好きな子どもはいますが、他の食べ物と同じく飲みすぎはリスクです。

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牛乳生産量も出荷金額も近年まで減少、最近年は増加

生乳生産量
出典:牛乳乳製品統計調査(農林水産省)

上記は農林水産省にある生乳生産量の、1985年~2021年の情報です。
グラフ全体としては山型、最高値は1986年の8,656,929トン、最低値は1987年の7,334,943トン。
2021年は7,592,061トンで、最低値に近い数字です。

牛乳・乳製品の出荷金額と事業所数
出典:酪農乳業参考データ(一般社団法人Jミルク)

上記は一般社団法人Jミルクにあった牛乳・乳製品の出荷金額と事業所数です。
こちはら右肩下がりのトレンドで、処理牛乳より少し産出事業所数の減少が進行しています。
牛乳出荷金額は2011年をボトムに少し増加していますが、一度、廃業した事業所が増加するシナリオは多分難しいと想像でき、事業所の増加は見られません。

乳製品全般でみるとチーズ出荷金額が約3.3倍

牛乳・乳製品の出荷数量 出荷金額の推移
出典:酪農乳業参考データ(一般社団法人Jミルク)

上記は牛乳だけではない、牛乳・乳製品の出荷数量、出荷金額の推移です。
グラフ内一番下の青色が牛乳の出荷金額で1つ上のブロックでもあった通り減少傾向ですが、グラフ全体の乳製品全体で見ると増加しています。

1985年と2019年を比べてみると「処理牛乳」は、1985年=776,895百万円、2019年=592,803百万円、増減率は76.3%と減少側。
増加している1位は「チーズ」で、1985年=84,573百万円、2019年=277,599百万円、増減率328.2%です。

牛乳・乳製品の出荷金額の増減率
出典:酪農乳業参考データ(一般社団法人Jミルク)

牛乳・乳製品の出荷金額の増減率について、1985年を100としたときのその後の推移が上記です。
「処理牛乳」は先述の通り、1985年と2019年を比べると76.3%。
他は「クリーム」=204.5%、「そのほかの乳製品」=92.6%、「練乳・粉乳・脱脂粉乳」=67.2%、「バター」=91.5%、「チーズ」=328.2%です。

牛乳の値段は変わらず、牛乳産出量・日本は世界で24番目

東京都区部 牛乳価格(店頭売り,紙容器入り)
出典:小売物価統計調査(総務省統計局)

上記は、2000年からの東京都区部の牛乳・紙パックの店頭売り価格です。
この期間の上昇金額はわずかに9円、増減率は104.3%とほぼ増加していません。
さすがに2023年はさまざまな物価上昇があったのでこの限りではなさそうですが、牛乳の価格は物価の優等生と言われるジャンルです。
上記は東京の局所的な情報ですが、世界の牛乳生産量ランキングは以下です。

世界の牛乳生産量 国別ランキング Top25
出典:世界の牛乳生産量 国別ランキング・推移(グローバルノート)

世界ランキングの1位はインド、2位は米国、3位は中国。
1位と3位は人口が10億超えの国で生産量が多いのは理解できますが、2位はアメリカです。
日本は24位となっており、日本より上位に西欧が並んでいることから、人口比で考えるなら日本は牛乳生産量が少ない国です。

ここまでをまとめます。
・牛乳生産量は2014年ごろまで下がってその後少し増加
・牛乳出荷金額も2012年まで下がってその後微増
・牛乳産出事業所数は減少し続けている
・チーズの消費量は1985年と2019年を比べると約3.3倍に増加
・牛乳価格は2000年以降わずかに増加しているだけ
・世界の牛乳生産量で日本は24位

子どもの牛乳は300mlが一つの目安

いまの科学では「牛乳の飲み過ぎは良くない」となっています。
昭和時代は牛乳はたくさん飲んだ方が良いと考える人が多かったように記憶していますが、実際はそうではなかったということ。
たとえば、一般社団法人日本乳業協会のQAでは以下と記載があります。

Q
小学生の子どもに牛乳を好きなだけ飲ませても良いのでしょうか?

A
活動量や食事全体のバランスを考えて飲みましょう。小学生は給食の牛乳1本(200ml)にプラスして、コップ1/2杯(100ml)が一日あたりのおおよその目安です。

出典:乳と乳製品のQ&A(一般社団法人 日本乳業協会)

これは日本だけではなく、たとえば米国小児科学会でも以下同様の内容が推奨されています。

2歳~5歳の1日の牛乳量は2~3カップ

出典:Recommended Drinks for Children Age 5 & Younger(ealthychildrenorg)

そんな牛乳のリスクとして挙げられているのは以下です。
・鉄欠乏性貧血のリスク(牛乳の成分が鉄の吸収を妨げる)
・お腹を壊す(日本人の大半は乳糖不耐症)
・牛乳アレルギー
・脂肪分による肥満

先述の通り、昭和時代は牛乳は身体に良いのでたくさん飲みなさいと言われていました。
僕は牛乳が好きでも嫌いでもなかったため積極的に飲んでいませんでしたが、牛乳が好きな友達は給食の牛乳が余っていると大喜びで、何本も一気飲みしていました。
当時の給食時間の牛乳一気飲みは日常風景で、3口くらいで一気に流し込む、5秒もかからず飲み干す子ども達がたいてい1クラスに何人かはいました。

これをいまの定説で判定するなら、給食で何本も牛乳を飲むのはアウト。
牛乳好きな子は自宅でも飲むことを想定すると、給食で何本もびん牛乳を飲むのは1日の許容摂取量をオーバーです。

牛乳飲用は世の中の大半の事象と同じく、1つの物ばかり集中すると弊害となる典型例です。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。

いま、わが家の子どもは牛乳が好きです。
親の僕は牛乳の飲み過ぎは控えてほしいと考えているため、食中・食後に子ども用のコップで牛乳を提供する。

何か飲みたいとき、わが家の子どもはジュースはもちろん好きですが牛乳でもニコニコ顔。
絶対的に体に悪いものでなければ、好きなものはバランスポイントを探る。

何でも四角四面が良いわけでもなく。
自分の人生を振り返ってみても、いまも昔もルール内ばかりではなくいつもどこか踏み外しつつ、現実と折り合いをつけてきました。

子どもが美味しそうに牛乳を飲んでいる姿を見ると、1日の推奨許容値を少し超えても無問題と僕は考えています。

さいごに

牛乳に対してネガティブ意見の1つ「人間が乳を飲むのは母乳であり、牛の乳ではない」。
あるいは「身体が一定まで成長した後、乳を飲む動物は自然界にいない」というのもあります。
正しいような間違っているような、そうかもなと思える意見です。

人間は様々な食べ物を食べて生きており、一般的に言われる許容値前後であればあとは個人判断です。
その一般的な基準が該当業界団体の圧力で捻じ曲げられることはありますが、この辺りの見極めも含めてのジャッジです。

大人でお酒が好きな人が節度を持って飲んでいるのであれば、それは人生を楽しむ行為です。