はかどる学習環境

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育児・子供観察

子どもの勉強環境を整える。
「やる気があるかどうかだけ」が筆頭の根性論も聞きますが、それで結果が出ると考えているのであれば危ういです。
昔から、勉強中の音楽を聴いて良いか論争もあります。
結果、音楽は勉強に不向きですが、そうした環境以上に大切なのは習慣化です。

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いまの家庭学習場所

自宅勉強で、学校や塾などの他の場所と比べて集中できないと感じるかのアンケート結果が以下です。
アンケート回答したのは、日本全国の小学1年~6年生の各200人。


出典:小学生白書 2021年8月調査(学研教育総合研究所)

全体では「よくある」と「ときどきある」を足した数字が76.6%です。
残りの1/4の人は、集中できていると回答しています。

集中できない割合を男女別でみると男子=81.2%、女子=72.2%と男子が優位(集中できていない)。
学年別では凸凹ですが、最も集中しているのが小6の29.0%です。


出典:小学生白書 2021年8月調査(学研教育総合研究所)

男女・学年別の、勉強に集中できないことが「よくある」と「ときどきある」の結果が上記です。
最低値=女子小6の65%ですが、大きな特徴はありません。


出典:小学生白書 2021年8月調査(学研教育総合研究所)

次に、家庭学習を阻害するものの上位5つが上記です。
子ども本人側の要因のものと、そうではないものがあります。

5位=8.3%の「学習スペースがないから」が、子ども側のものではなく。
それ以外は、子ども自身である程度コントロールできますが、それができれば苦労はナシ。
出たくはありませんが、親の出番です。


出典:小学生白書 2021年8月調査(学研教育総合研究所)

小学生が家で学習する場所は、リビングダイニングが1位で72.8%。
約1/4が、家族の集まる場所で勉強しています。

東大生もリビングで勉強する人が多い

東大生が正しいわけではありませんが、よく話題になる東大生の勉強場所が以下です。


出典:東大生の半数以上がリビング学習派だった(プレジデントFamily2022冬号)

リビングダイニングで勉強していた割合が、先ほどの小学生回答では約3/4、東大生では半数強54.2%。
年齢が高くなるほど、リビングダイニング派の割合が減っています。
他に「その他=6.4%」の選択肢がありますが、どこで勉強しているのか気になります。


出典:東大生の半数以上がリビング学習派だった(プレジデントFamily2022冬号)

上述のグラフ「東大生向け 勉強スペースの環境と工夫」の上位3つが以下です。

部屋にカレンダーがあった=86.8%
部屋にアナログ時計があった=83.5%
部屋に地図・地球儀があった=62.7%

共通点は、どれも見えるモノというより、頭の中で抽象的な働きがかかわっている点があります。

カレンダーは過去・現在・未来があり、主に未来の予定を考える。
アナログ時計は、現在の時刻と、次の予定までの残り時間を、感覚的に捉える。
地図や地球儀は、自分の住んでいる場所や知らない国の場所、その距離や大きさを把握する。

このあたり非認知能力とも言え、試験に必要な記憶力とともに、考える訓練となっている可能性を感じます。

4位「勉強スペースは片付いていた」と5位「テレビ・ゲームは目に入らないようにしていた」はたいていの人がなったくする結果。
テスト勉強中に意味もなく部屋の片づけして時間を浪費すようなものは最たるものとして、雑念に結びつくものがない方が、環境が良いのは当たり前です。

他に、長年論争のようになっているのが、勉強しながらの音楽を聴くか。

音楽を聴きながらの勉強は良くない

最初に科学的結論を書くと「勉強中の音楽は妨げになる」です。

東北大大学院医工学研究科の川瀬哲明教授(聴覚・言語障害学)らのグループ。
被験者にヘッドホンを装着させ、左耳に聞き取るべき「テスト音」、右耳に無視すべき音として「ノイズ音」と「音楽」を流し、テスト音に対する脳の電気的な活動を計測する脳磁図で検証した。
川瀬教授は、音楽は選択的注意を強く引くため「音量によらず作業効率が下がる」と指摘。「『ながら勉強』だけでなく『ながら運転』も音楽の影響を受ける可能性がある」と話す。

出典:「ながら勉強」、音量小さくても集中力低下 東北大グループ発表(河北新報)

普段の学習時に音楽を聞きながら作業している「ながら作業」あり群と、していない「ながら作業」なし群という 2 条件、および BGM として意味の理解が容易な日本語の言語音を含む音楽(J-pop)、意味の理解ができない韓国語の言語音を含む音楽(K-pop)、言語音を含まない音楽(Instrumental)という 3 条件が、4 桁÷ 2 桁の計算作業量ややる気、疲労感、作業に対する印象、提示条件に対して、どのような影響があるのかについて検討した。その結果、「ながら作業」の 2 条件、および計算作業中の聴取音楽の 3 条件では計算作業量とやる気については影響を与えなかった。

出典:計算課題の遂行に及ぼすBGMの影響について(和歌山大学教育学部附属教育実践総合センター)

音楽を聴くことでリラックスする効果はあるが、勉強については気を散らす可能性があります。
特にボーカルを含む音楽があると、作業記憶が悪化することがかなり明らかです。

出典:Curious Kids: is it OK to listen to music while studying?(The Conversation)

音を聴きながらか静かな状態か、好きな音楽家嫌いな音楽音かで試験を実施。結果は、静かな状態と比較して、音楽を聴きながらは悪影響だった。また好きな音楽か嫌いな音楽の差はなかった。

出典:Can Preference for Background Music Mediate the Irrelevant Sound Effect?(Wiley Online Library)

音楽を聴きながら勉強する方が自分に向いている派には、否定的な結果です。
他にも異口同音のようですが以下の結果もあります。

日本語かどうかにかかわらずボーカルがある曲は作業領域である短期記憶を阻害する。無声音や自然音は、影響を受けない結果になっています。

音楽をかけることでリラックスできる人の意見を踏まえるなら、クラッシックや自然音に近い音楽までが許容。
そこに学習効果を求めるのではなく、心地よい環境を目指す、モチベーションを維持するために使う方針が良いようです。

音楽でも根性でもなく機械化

僕は学生時代、勉強する環境の1つとして図書室を利用していました。
狙いは、周囲も勉強している良い意味でのプレッシャーと気分転換。
自宅だけだとマンネリ化するので、身体を動かす意味でも別の場所として図書館に行っていました。

来週の水曜は図書館に行くと決めたとしても、雨が降ると図書館に行くのが億劫になる。
実際、僕は何度も天気に責任転嫁して、図書館に行きませんでした。
そんな気分屋さんらしく、代替として家で勉強できれば良いのですが、それもやらない。

ある時から、問題は気分のような不確定の物と考え、習慣化に力点を置きました。
図書館に行くと決めた日は、いかなる理由で合っても機械的に行く。

脳は何かをやり始めると、続けられる習性があります。
とっかかり部分さえ着手すれば、あとはいつのまにか進んでいる。
この「やり始める習慣化」が、遠くに行くための秘訣です。

社会人になって仕事でも同様、難易度が高い案件でもとにかく着手する。
あれこれ手を動かしているうちに、集中モードになり形になっていきます。
集中力が高い時間帯に、大事なことを進めておく。

習慣化以外には、できるだけ環境を整えておくのも僕は意識しています。
いま、僕の仕事部屋は、なるべく散らかさないように、気が散る要因は目につくところに置かない。

また、上記で音楽は勉強を妨げる結果通り、僕も音楽があると集中できないタイプ。
仕事中は無音です。

僕はいまはフルリモートワークですが、会社に出社してた頃はイヤホンで音楽を聴きながら仕事をしていた同僚が2割くらいはいました。
僕がIT業界に籍を置いているので、イヤホンを聞きながらの就業が許されている業界だと思っています。
僕は音楽を聴きませんが、同僚が音楽を聴くことでアウトプットが高まるのであれば、良いと思っています。

子どもにとって、勉強中の音楽は僕は避けた方が良い。
上記の科学的結果もそうですし、僕も自分の性質として同意であり、また子どもはまだ判断力が低いため、ある程度親が環境を整える必要がある。
失敗を経験する機会を奪ってもいますが、何度かやらせてみて、客観的に進捗を計測して子どもと一緒に考えるのは良いと思っています。

人間が低きに流れるのが常だったとして、失敗経験を次に生かすべく良い習慣化を身に着けられれば、生涯の財産になります。

さいごに

僕は静かな環境でないと集中力が続きませんが、通勤電車の中で本を読んでいました。
いまは在宅勤務なので電車に乗りませんが、以前はラッシュ時間帯に電車に揺られながら読書していました。
ノイズキャンセリングイヤホンは着けていません。

電車の車中は、騒音や車内アナウンス、周囲の人の話し声など聴覚刺激要素はたくさんあります。
その中で、本を読んでいられるのは、アンビバレントな結果です。

読書していても、自部にとっておもしろい本かどうかで、集中に差が出ていました。
つまらない本だと「次の駅は〇〇」がクリアに聞こえる。
本に入り込んでいるときは「もう、最寄り駅か」になる。

楽しい時間は光速です。