なぜ、レゴが子どもの考える力を養うのに最適なのか

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育児・子供観察

東大生の中で、幼いころレゴで遊んでいた人が多い、というお話はいろいろな場所で見聞きします。
東大に入ることと相関関係があっても因果関係があるか分かりませんが、それでもレゴが子どもの考える力をつけるには、適していると僕は考えています。
レゴがなぜ、子どもの能力向上に役立つのか。
それは「抽象の蓄積、汎用能力の向上」です。

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レゴ(ブロック)とは

いまさら説明するまでもありませんが、レゴは一般的には子どものおもちゃコーナーで売られているブロックです。
本社はデンマークにあり、1934年に創立された、もう少しで100年になる会社です。

LEGOという社名は、創始者が選んだデンマーク語の「よく遊べ(LEg GOdt)」からきています。
子どもに、遊びの中でアイデアや思考力を育てること、学習意欲の向上を目指しています。
子どもの感性に力点を置いているレゴ社ですが、近年の経営数字を見てみました。


出典:年次報告書(LEGO)

売上単位は、僕には馴染みのない通貨単位のDKK(デンマーク・クローネ)。
2019年5月時点で、1 デンマーク・クローネ は16.46円。
2018年の年間売上げは、約6,000億円です。

グラフを見てわかる通り、売上(棒グラフ)が伸びています。
そして折れ線グラフの利益率も悪化しておらず、約30%ととても高い企業。
しっかりと稼ぐ力のある会社です。

僕が数字を見たかった理由は、最近、レゴ社が元気になっているかどうか(≒人気が高まっているのか)。
ここ10年くらい、レゴ関連情報を見る機会が増えていると感じていました。
もちろん、僕が子どもがいるという状況により、より接触が増えたのはあります。
結果、上のグラフ通り、レゴ社はここ10年、伸びていえます。

しっかり稼いで、次の投資をして、新たな顧客をつかんでいく。
僕の体感と同じ、やはりいまレゴ社は人気が高まっているようです。

レゴブロックの遊び方

レゴブロックの基本的な遊び方は、ブロックを組み立てて何かを作り上げて、遊ぶ。
ただし、いまの子育て世代が、子ども時代に遊んでいたレゴとの違いもあります。

いまのレゴは、リモコンで動いたり、プラレールのような列車と線路もあります。
値段では、10万円を超える商品も。
パーツも方形(ブロック型)やタイヤ(車輪)だけではなく、稼働したり、パラシュートのようなものも。
シリーズは、スターウォーズやアベンジャーズなどのキャラクターものや、忍者モチーフで実際のアニメがあったり。
レゴフレンズという女の子をターゲットにしたブロック群もあります。
さらに、レゴを使ってのプログラミング教室も開催されています。

さまざまな広がりを見せているレゴですが、今回は、ベーシックなブロックの組み立てについてです。

レゴブロックを大人になってから本気で遊んでみると

男性であれば、子どものころにレゴに触れた経験がある方も多いと思います。
しかし、大人になってからレゴに、じっくり触れた経験がある方は、それほど多くないのかもしれません。

僕は大人になってから本気でレゴをやってみて、子どもの頃と一味違う楽しさを知りました。
もっと言うと「大人になってからのレゴは、飽きるまでは相当楽しい」と思っています。

大型キットを説明書を見ながら、一から作り上げるのが最初の一歩。
やってみると、たいていの方は、いまのレゴの完成度にびっくりすると思います。
細部まで考えられた見栄えもそうですが、可動部分などリアルさを感じられると思います。
子どもの頃は細部には目がいきませんが、大人になると違った視点で見られる。

次のステップは、たくさんのパーツから、説明書を見ないで「何か」を組み上げる。
作成するものも決めて、作れるか分からないが、イロイロなパーツをくみ上げて作る。
そのステップを、その時に必要な能力を[]で記載しつつ、以下に並べてみます。

①何を作るか頭の中で考える[想像力、ひらめき、俯瞰]

②だいたいの設計図を思い浮かべる[客観、計画]

③実際に作り出す[計画遂行]

④悩ましい部位でいくつかのパターンを組んでみる[微修正、想像力、ひらめき]

⑤場合によって、当初の形と少し違うものになる[発見]

⑥完成[達成感]

どうしてレゴが子どもにとって良いのか

レゴブロックは、高さや長さに種類はありますが、基本は方形ブロック。
それ以外に、車の土台、屋根など大型パーツ、タイヤや翼などの方形ではないもの。
あとはジョイントやスライドを駆使した、稼働部分もあります。

これらに言えるのは、1つ1つのパーツは形が「シンプル」で「抽象的」。
四角いブロックを組み合わせてピラミッド、丸を固めて大きなボールなど、合体させて少し変化させる熱気球。
完全に写実的ではなく、デフォルメされた形(抽象)であり、その組み合わせの可能性は無限大。
言い換えると「何にでもなれる汎用性」です。

レゴは言葉にすると、単に「ブロックを組み上げる」で終わります。
しかし実際にやってみると、たくさんのことを考え、自由に変化できます。

レゴを触っていると、いくつかのパターンを身に着けます。
少し触ると、オーソドックスならこのパーツとこのパーツの組み合わせがわかるようなります。
あえて、そのパターンから外し、形の違うパーツを組み込むと、予想もしなかったおもしろい形になることもあります。
これはベースがシンプルで、汎用性が高い証です。

抽象性が高く汎用的なものは、実社会でも有用です。
実社会でも、生きていくうえで使えそうな発想(型)を蓄積し、それを組み合わせて新たなものを作り出す。
もう一歩踏み込んで、抽象的な事象を自分で分析して一般化・転化しておくとさらに効果は高い。
限定的なものは使う場所が限られ、思考の枠を狭めます。

土を耕すのにスコップではなくスコップのようなものという発想

以前、わが家の子どもが「トマトが好きで家庭菜園でトマトを作った」経験を書きました。
この一例から切り出して「子どもにトマトを食べさせるために土を耕す道具は何か」という目的があったとします。
考えるポイントは「掘るためにどんな道具を使うのか」。

限定的な思考としての一例として「スコップで土を掘り返す」とします。
スコップで掘り返す方法が一般的かどうかわかりませんが、多くの人が考えると思います。

クワを知っていればその方が効率的です。
土が硬いのであれば、つるはしを先に使うと楽。
水をまくと掘りやすいので水まいたり、雨上がりタイミングを狙う。
スコップしか考えが及ばないのであれば、力任せの根性論になるのかもしれません。

何かにとりかかる前に、少し離れて考えてみる。
「スコップ」ではなく、「スコップのようなもの」という抽象的な発想。

抽象的で使えそうな発想を自分の中にため込んでおくのは(モデル化)、生きていくうえでとても有用です。
また、限定しない考えは、変化に対応しやすく、変化を怖がらなくて済むことにもつながります。

変化の早い時代に、何かに固執していては取り残されます。
限定的なものではなく、抽象的な引出しをたくさん用意して、組み合わせて使う。
レゴを触っていると、こうした経験の土台ができます。

レゴで遊ぶデメリット

レゴの反対意見も考えてみました。
自分でデメリットを出しておいてなんですが、いちゃもんに近いと思っております。

・定型化されているので思考停止、思考(の枠組み)が限定化される
・子どもがレゴに集中しすぎる(遊びすぎる)
・材料の原価を良そうするとやや高価

どれも、却下できます。
ブロックが10個もあれば、その組み合わせは無限に近い。
子どもが集中できる何かをみつけたなら、そっと見守るのは現代では当たり前。
値段にしても、想像力やひらめきの経験を買う値段としては、破格に安い。

僕は触った経験はないですが、レゴ互換商品が世の中にはあります。
それらの商品のネットの口コミには「精度がイマイチ、パーツが外れる」などが書かれています。

これを読んでから、実際のレゴを触ってみると、精度の高さを意識します。
しっかりと組み上げたブロックは、強度もあり、少しくらいぶつけても崩れない。
そして大半のパーツも、1個1個しっかり作られており、何度組んでもカチッとはまる。

一部、壊れやすい「ツメ」のようなパーツもあり、実際、わが家もいくつか壊れたものがあります。
ただ、それは力の掛け方がうまくコントロールできない子どもが触ったためであり、大人であればそんな状況にはならない。

強度や精度を示す一例として、僕は児童館が思いつきます。
僕が良く行く児童館には、レゴの大型キットがあります。
その児童館では、だれかが遊んで返却したレゴキットは、児童館の人がすべてのブロックを崩します。
次に借りた人は、ほぼゼロの状態から、説明書を見ながらくみ上げる。
それを、何年も繰り返していても壊れていない実績が、レゴの精度と耐久性を物語っています。

さいごに

随分レゴ社の肩を持つ内容となってしまいました。
一応ですが、僕はレゴ社から一切、お金等もらっていません(関係者ではなく利害関係ゼロ)。
今回書いた内容は「単純にレゴで遊ぶのは子どもにとって良い影響がある」との思いからです。

子どもが将来人生を乗り越えていくうえで、大きな武器となる「抽象化」や「想像力」という力。
当然、これらの力を強化する方法はレゴ以外にもたくさんありますが、遊びながら(楽しみながら)能力強化できるレゴは凄いと僕は考えています。

僕は子どもが興味を持ったことで、社会ルールで大きく逸脱していなければ、できるだけやらせたい。
それとともに自戒として頭の隅に置いているのは、「自分が子どもに求めることをやっているか」。
「抽象化」が大事なのであれば、自分のその能力向上のために、学び続けているか。
子どもに「これは将来、役に立つ(らしい)から、やっておきなさい」は、通用しないと思っています。

レゴを集中して作っている時間は、物を作ることが好きな人は、単純に楽しいもの。
瞑想ではないですが、大人の頭の体操としても効果があると思っています。