子育て家族の引っ越し熱量は低い

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育児・子供観察

いま、子育てしている世帯が引っ越し希望があるのか、持ち家に住みたいのか。
僕の身近の子育て世帯では移住希望が低いので、全体の流れを調べました。
結果、近年に限った特徴的な何かはなく、一定の割合の人が移住希望し、引っ越ししている。
平均値のデータなのでよく言われる中央値との乖離があるのかもしれず、一部の人々が引っ越しするしているだけなのかもしれません。

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2019年児童のいる世帯は21.7%

まずは基本情報として、児童のいる世帯数と児童数の情報です。


出典:2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

1986年に比べると2019年は、児童のいる世帯数がマイナス614万世帯で減少率は35.4%。
1986年に児童がいる世帯は46.2%と全世帯の中で最多でしたが、2019年は21.7%で5世帯中1世帯しか児童がいなくなっています。
少子化は耳タコなので目新しさはなく、この先もこの数字が減少していくのは既定路線です。


出典:2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

児童がいる世帯の中でも、一番人数が減っているのが3人以上世帯(グラフ中水色)。
1986年と2019年を比べると49.7%減少で、約半数になっています。
児童数が2人世帯(グラフ中灰色)の減少幅もあまり変わらず、1986年と2019年比では46%減少です。
唯一、児童数が1人世帯(グラフ中青色)のみ減少幅が少なく、1986年と2019年比で14%減少。

平均児童数(折れ線グラフ・右軸)を見ると、1986年が1.83人で2019年が1.68人とマイナス8.2%。
棒グラフ合計の子どもがいる世帯も減っていますが、子どもの数はそれ以上に減っています。

児童がいる世帯所得は増加だが負債も最大

育児にお金がかかるのは、現代の常識です。
児童がいる世帯や、その他の世帯の2009年からの推移が以下です。


出典:2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

グラフ内で児童がいる世帯(グラフ中一番上の濃い青色)で、所得が一番伸びています。
2009年と2018年を比べると、48.6万円増加で増加率はプラス7%。
増加率2位が高齢者世帯以外の世帯(現役世帯)で36万円増加、プラス5.8%です。

引っ越しには、引っ越し代金の他、引っ越し先での新たな物品購入などお金がかかります。
また、移住イベントの最大の出費は、持ち家購入があります。
以下、児童がいる世帯およびその他の世帯の、貯蓄額と借入額です。


出典:2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)

グラフ内で児童がいる世帯は、最も貯蓄額が低く、最も借入額が高い結果です。
補足としてこの元情報では、この分類の他に母子世帯がありましたが、それを含めるなら貯蓄額のワースト1は母子世帯です。
この辺り、普通に考えて妥当な結果です。

子どもを持つと分かりますが、育児・教育に相当のお金が必要です。
また、育児環境も悩みどころになり、それがきっかけで持ち家を検討する機会になります。
子どもが生まれて少し落ち着いた後や進学がそれに当たり、子どもが新たな環境になじむことを優先するなら、移動する目途となるタイミングです。

独身者や夫婦のみであれば、引っ越すきっかけは民間賃貸に住んでいる場合、2年毎の更新時が思いつきますが、強制的な引っ越しに遭遇する人はあまりいないのではないか。
もう1つ引っ越しきっかけとして思いつくのが、転勤や社宅を出ていくイベントがありますが、そうでなければ10年以上、同じ場所にいても何ら問題ではありません。

年齢が上がるほど持ち家率が上がるが近年住み替え意向は低下

育児世帯を25歳~49歳として、その年代の持ち家率の情報が以下です。
注意点として、これは子どもがいるかいないかは関係のない、年齢別の持ち家率の情報です。


出典:平成30年住宅・土地統計調査(総務省)

年齢が高くなるほど持ち家率が高くなっている点は、違和感がありません。
45~49歳で持ち家率が78.6%と言われると、そんなに高い数値なのか。
僕が東京在住で、日本の都道府県の中で持ち家率が一番低いのが東京の45.8%で、それが疑問を持っている理由です。


出典:子育て世帯の安心な住まいの確保等(国土交通省)

このグラフは、子どもがいる世帯に限ったものです。
どの区分も持ち家希望が高く、ほぼ8割弱です。
戸建希望を一番望んでいるのは「末子年齢が0~3歳未満」で、子どもの騒音が気になる点で納得。

このグラフでは子育て世帯の8割が持ち家希望、1つ上のグラフでは最多持ち家率の40~44歳でも73.6%。
持ち家を希望しているが実現しておらず、若年層ほどその乖離は大きくなっています。


出典:平成30年住生活総合調査結果 (国土交通省)

最後に、今後5年の住み替え希望意向の情報が上記です。
最近に近づくほど、住み替えたい希望が減少しています。
その理由が思いつきませんが、あえて出すなら、移住にはお金がかかるため、お金がかかる子育て優先であれば、説明にはなります。

僕の身近では引っ越し意向は低い

ここからは、僕の身近にいる子育てご家族、数家族のお話です。
補足情報として、場所は東京で駅が近く、ご主人の役職は一部取締役もいますが、大半は一般職から中間管理職です(ママ友情報は怖い)。
駅近の分譲マンションに住んでいる人々が多く、マイカー保有割合は半数程度。

子どもは複数の習い事をしており、着ている服は超一流ブランドではありませんが一般に知られているアウトドアブランドなど。
出すところには出し、節約する意識も常に持っている。
スマートな彼らが引っ越しできないかと言うと、外野意見としてはまったくそうは思えず。
一番の課題点となる金銭的に難しいかでは、大丈夫だろうと感じ取れる人々です。

そんな彼らの引っ越し意向は、ほぼゼロ。
引っ越しを簡単にする人は少ないですし、そもそも引っ越しには膨大なエネルギーが必要なので、安易に行動に移す人は少ないのは基本にあります。

唯一、不満点として、集合住宅に住んでいる人々が口をそろえるのが「家が狭い」。
子どもの出産人数は未来予測が立てにくく、家を買う時は夫婦だけだったが、その後何人かの子どもに恵まれる人などがその典型です。

都内の3LDKは、たいてい1部屋が狭く、子どもが3人いたら窮屈です。
もっと小さな部屋数で生活しているご家族もいるのは確かですが、戸建てなら庭に物置を置いて、子どものオモチャを非難させる手段が使えても、マンションではそれもかなわず。

それでも移住しないのは、手狭でもやっていけないこともない点と、全体満足度が上回っているからだと僕は認識しています。
日常生活、子どもの教育状況、治安、利便性など、大きな不満を耳にすることがない。
結果、引っ越す能力・財力があっても、引っ越しを選ばないが、彼らの選択です。

「住めば都」は人間の惰性感情からもうなずけますが、一度生活基盤を築いた場所から移住するには、やはりそれなりの理由が必要なのだと、ありきたりな結論になりました。

さいごに

僕は、社会人になってからの独身時代に、何回か引っ越しをしました。
物理的にも精神的にも身軽だったと、振り返ってみると理解できます。
もし子どもがいるいま移住するなら、引っ越し後がいまの生活と比較してどの程度プラスなのか、かなりの時間をかけて天秤にかけます。

僕は、(独身であれば)引っ越し自体は好きで、移住時は知らない土地に一時、間借りする感覚がありました。
引っ越し先の土地の特色を住んでみてその違いが理解でき、楽しかった記憶の方が多い。

浮世絵師・葛飾北斎の引っ越し回数は93回。
88歳で亡くなっているので、単純計算では1年に1回以上の引っ越しをしています。

僕は93回、引っ越ししたくありませんが、少なくとも精神的には身軽でいたいと思っています。