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育児・子供観察

夫は家事・育児をやっているつもりだが、妻の評価は低い。
女性の就業率上昇に伴い、求めるレベルが変わってきているのもその理由の1つです。
認識ギャップが正しいとするなら、夫側の意識に問題があるのか、そもそも課題が何か分かっていないのか。
上昇志向ばかりは息苦しいですが、いまがどんな状況なのか把握しないと、人生が見渡せません。

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夫の家事育児参加は低調、妻の育児は増加

5年に1度、定期的に総務省が調査している、社会生活基本調査の中に、夫婦の家事・育児時間があります。
6歳未満の子どもを持つ夫婦の、家事・育児時間の情報で、1週間あたりの該当時間のアンケート結果です。


出典:平成 28 年社会生活基本調査(総務省)

この中で、唯一減っているのが[妻・家事]の時間で、週に1時間減っています。
調理器具の発達、宅配や総菜販売の充実、人々の効率化意識の浸透。
理由は何にせよ、時間短縮に僕は賛成派です。

そのほかの時間は、すべて増加しています。
増加率1位は[夫・家事]が340%(3.4倍)ですが、週に0.05時間が0.17時間になっただけなので誤差レベル。

[夫・育児]も272.2%(約2.7倍)ですが、こちらも週に0.18時間が0.49時間になっただけ。
女性が家事全般にかかわる時間、上のグラフの線の位置からも分かる通り、低レベルなお話です。

最後の1つ、[妻・育児]時間は142%と、約1.5倍になっています。
理由として、核家族化が思い当たりますが、それ以外に子どもとの時間を持つ意識が高まったというのもある。
子どもと向き合う時間を大事にすると言い換えられますが、僕の周りを見ると、子どもファーストのママさんは多い。
たまたま、そういう人たちが集まっているだけかもしれませんが、それでも総論としていまの子育てママさんは、子どもと過ごす時間を捻出する努力しているのはある。

補足情報としてこの期間、共働き率は高まりましたが、仕事時間の増減がどうだったのか。


出典:平成 28 年社会生活基本調査(総務省)

同じ情報元のデータで、回答対象が同じなので、関連付けとして適切。
結果、男性は102.1%、女性は97.6%で、仕事の時間はほぼ変わっていません。

ここまでをまとめると、仕事の時間はほぼかわっていないが、男性の家事・育児参加は微増。
女性は1時間家事時間が減り、1時間育児時間が増えた。
たまたま増減時間が一致しているだけなので、減った家事時間すべてが育児時間ではありませんが、かなりの割合が置き換わったとみても良い気がします。

いつの時代もある家事認識ギャップ

家事に夫が参加しているか。
夫側は比較的自分は参加していると認識(誤認?)しているが、妻側評価が低いのは、Twitterにあふれています。


出典:データで見る家事ギャップ(LION)

夫は自分は家事をやっていると思っている割合が34%。
その夫を見ている妻の家事貢献評価は21%と、約40%の認識の相違があります。

1つの理想論として、たいていのことはお互いができ、時にヘルプしあいながら、日常モードではお互いの得意分野で家事貢献する。
そのために、否定形の言葉ではなく、率先してやってくれるような促しをする。
夫婦の両方でそうあれば理想かもしれませんが、現実、奥様側の家事負担が高く、夫側をより戦力化するために、奥様側が意識するとなってしまう時点で、日本での家事負担は奥様側に寄っています。

同じ情報元に妻向けのアンケート結果で「また同じ相手と結婚したいか」がありました。


出典:データで見る家事ギャップ(LION)

夫が家事をほとんどしない夫婦の妻は、50%がまた同じ相手を選び、50%が違う人を選ぶ。
妻側の求めるレベルが低いのか、夫が家事以外で何か貢献しているのか、意外なほど高い数字です。

家事をうまく分担している夫婦の妻は、63%がまた同じ相手を選ぶ。
2つのグラフの差が13%で大きな差がない、イコール家事分担担当者として、夫はあまりカウントされていないともとれてしまう結果です。

見て見ぬ振りではなく見ていない

次は夫が、家事・育児で困っていることについてのアンケート結果です。


出典:「家事・育児」に関する調査結果(株式会社ドゥ・ハウス)

このアンケートを回答しているのは、日本全国に住む20歳以上の既婚男性。
小学校低学年以下の子どもがいる夫が、家事・育児で困っている・悩んでいることはないかについて、複数回答の結果です。

グラフ内1番目の[子どもとの時間が持てない]は納得ですが、16.7%の数字は微妙な数字。
現実、子どもといると大人目線で考えるとたいくつで、同じ繰り返しも多いですが、たとえば絵本読み聞かせなど、しっかり読み込むと「へぇ」と感じることもあります。
グラフ内2番目~5番目は、成人の解答として、幼稚なので割愛します。

今回、一番気になったのが、グラフ内最下段の「特に困っている・悩んでいることはない」の40.8%。
10人中4人が「問題なし」と回答しています。

僕は、子どもがわが家に参加して、家事や育児で課題がない状態を一時も感じた記憶はありません。
いま〇〇がうまくいってないけど、全体からみるといったん放置しておこうか。
優先順位の高い課題が片付いたら着手として、どんな方法が考えるかくらいは、頭の隅に残しておこう。

そんなことを考えているうちにも新たな課題は発生するので、都度、短期的なハードモードでクリアしたり、優先順位の見直しをしたり。
現状の満足度点数が50点だったとして、100点はあり得ないが70点くらいにはならないかと、あたふたする。

現実は、ちょっと数字が上がっても、また次の何かで逆戻り。
どこかで、達観してそれらも含めて楽しもうとなるのが、うまい子どもとの向き合い方なのでは、と考えています。

期待値ー現実=不満

期待値が低ければ、そもそも不満にはなりません。

部屋に子どものオモチャが散乱していても死ぬわけではない、と片付けしない。
片付けるために、どこに何をしまうかの全体見直しや、子どもに片付けさせない。
期待値を下げれば、現実とのギャップは少なくなるので、改善アクションは少なくて済みます。

いつも部屋が100%きれいな状況は、子育て中は目指してはいけない目標だと、僕は考えています。
時と場合と、親側の精神エネルギーの残量をみて、ほぼきれいな状態をゴールとする。

いまの若者が多くを望まない世代という評価があり、身の回りの新卒社員と話していても、おおむねうなずける内容です。
スマホがあり、他にも手近に入手できる娯楽があり、大きな不満はなく比較的幸せ。
お金はあったら嬉しいが、大金持ちになるために多大な精神的コストをかけるならいらない。

生き方なので、それが悪いわけではなく。
昭和時代のように、働いてモノを買うことが一般的かつ自分の幸せと考えられる人たちに比べれば、自分の頭で考えて、人生を選択している分、自分の人生を生きています。
一応ですが、量産型が悪いのではなく、大半の人は時代に名を遺すようなことはありません。

何かに精通するとき、漫然としていては上達しない。
解像度の高い状況認識を行い、改善点を見つけクリアしていく。
じっと見て、考えてみると、課題はそこら中にあります。

一時、見て見ぬ振りする知恵と、暫定的であってもゴールを目指す姿勢は、人生に張りが出ます。

さいごに

2020年から全世界のコロナ過で、リモートワークになった会社が増えました。
その中の1つ米国マイクロソフト社から、2021年9月にうまくいかなかった点の研究論文が発表されました。

2020年にマイクロソフト社は全社でリモートワークへ移行、その後の追跡調査を実施
マイクロソフト社の米国従業員約6万人のリモートワークに関しての内容
結果、異なるチーム間でのコミュニケーションやコラボレーションが損なわれている可能性がある
グループのサイロ化(同一チーム内のみ関係性は向上、横のつながりが減る)が進んでいる
従業員がネットワーク全体で新しい情報を取得・共有が難しくなる可能性がある
従業員が新しい情報を取得してグループ間で共有できるよう積極的な対策を講じる必要がある

The effects of remote work on collaboration among information workers(Microsoft)

現実を見て、アクションする。
組織でも個人でも変わらない、単なる生存戦略です。