カルガモ親子の自転車行進

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育児・子供観察

日本では自転車利用者は増え、事故は減っています。
人口減少期でも、この状況なのは、1つに健康志向とコロナ過が挙げられる。
子どもは、自分で自転車に乗れるようになると、世界が広がる。
親子それぞれの自転車移動姿は、カルガモ親子の行進をイメージします。

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自転車販売台数は12.1%増加

コロナ過で運動不足解消のために、自転車に乗るようになった。
僕はフルリモート(在宅勤務)へ就業環境が変わったため、会社内でもかなりの数で、自転車に乗った話を聞いています。

実際の自転車販売台数は、ここ10年で微増でした。


出典:自転車生産動態(一般財団法人 自転車産業振興協会)

11年間の推移ですが、2020年は2009年に比べ、12.1%の増加。
日本の総人口のピークは2008年でその後減少に転じ、この期間は人口減少時期ですが、自転車販売台数は微増で、人口当たりで見るとより増えています。

自転車販売台数ピークは、このグラフ内では2015年で、その後下がってまた上がって。
なぜ2015年に売り上げが伸びたのか不明です。
仮説ですが、2013年が最低売上なので、反動があったのは間違いなさそう。
ただ、2013年に売り上げが減少する理由が分からず。

自転車タイプ別にみると、販売数が伸びているのがスポーツ車で105.5%の増加(約2倍)。
これは、世の中を見渡してみても、たいていの人はうなずける内容です。
健康志向の高まりも含め、高価なロードレーサーに乗る人を、ずいぶん見かけるようになりました。

その他のタイプ別で伸びている電動アシスト車が、74.2%増加。
わが家も電動アシスト車を購入しているので、そこに目が行くようになったのはありますが、いまでは街でかなり見かけます。
東京で車を持たずに子育てするのであれば、かなりの割合で電動アシスト車を日常の足にしているはず。

幼児・子供車も伸長しており、37.4%の増加。
子どもの数は総人口より減っている時期にもかかわらず、10年で4割弱の増加。
小児数減少が逆に、親や祖父母の財力が集中し、子どもの自転車購入に至った仮説はうなずけます。
自分が祖父母で、孫が自転車に乗れるようになったと聞いたなら、たしかに「自転車買ってあげましょうか」という気になります。

自転車を乗るようになって、まず思い浮かぶのが事故リスク。
それでも、自転車の楽しさや健康への影響など考えると、ポジティブ要因が多い。
プレゼントする側として、現金をあげるより、気持ちよく贈り物できそうです。

自転車事故は減少の一途

以下の3つのグラフは、全国ではなく東京・警視庁の情報です。


出典:都内自転車の交通事故発生状況(警視庁)

青色棒線の自転車事故件数は、ほぼ右肩下がり。
2011年と2020年を比べると、44.1%減少しています。

オレンジの折れ線は、全事故中の自転車事故の割合ですが増えています。
事故全体から見ると、自転車事故が多く発生しています。


出典:都内自転車の交通事故発生状況(警視庁)

次のグラフは、負傷者人数の情報。
全体の流れは、1つ目の自転車事故件数と同じで、違うのは全負傷者に占める割合が、事故件数より約10%少ない点です。

 


出典:都内自転車の交通事故発生状況(警視庁)

最後が、自転車事故での死者数と、総事故件数あたりの割合です。
全事故中、死に至る事故割合は約0.2%~約0.3%。
どんなに割合が低くとも、身近な人が当事者になったら割合は意味はなく、フラットに考えると、1,000件の事故で2人~3人が死亡というのは、個人的には少ないと感じました。

自動車の安全装備が充実したり、自転車乗車側の安全意識が高まった。
他にも事故を起こさないよう、事故発生箇所の再発防止策的な標識や信号設置なども想像できる。
複合要因でしょうが、自転車事故全体として、安全に向かっています。

2020年4月から、一部地域は、自転車保険が義務化されました。
東京はその中に含まれており、1年経過時の保険加入率は60.4%。
罰則がないので強制力は低いですが、自転車事故損害賠償で数千万円の判例から考えると、まさしく保険らしいものだと感じます。

自転車事故総数は減少の一途

ここからは、東京都だけでなく、全国の自転車事故関連のグラフです。


出典:令和2年における交通事故の発生状況等について(警察庁)

東京のみのデータと違い、きれいに右肩下がり。
2017年のみ2016年より、わずかに増加していますが、角度の整った下がり幅です。
東京都のデータと同様、日本では自転車事故が減っています。

グラフ内の一番割合が高いのは「対自動車」で、その減少幅は42%。
この11年で、自転車と車の事故が、ほぼ半分になっています。

減少割合が一番小さいのが、自転車相互でマイナス14.6%。
全体が半分近く減少の中、自転車同士のみはほとんど減っていません。


出典:令和2年における交通事故の発生状況等について(警察庁)

最後が子どもの自転車事故、死者・重症者数のグラフです。
大人も含めた全年齢グラフとまったく同じくで、右肩下がり。
ですが、違うのは同期間の減少割合で、全年齢は42.6%減少、子どもは65%減少。
この期間の少子化割合は10%なので、少子化進行率以上に事故は減っています。

たしかに自分も含め、周囲を見ていても子どもの安全に気を配る時代です。

過保護と思いつつ見守れない

身の回り観測なので、いまの子育てのスタンダードとは言いませんが、少なくとも僕が住んでいる東京では子どもが自転車に乗る時は、ヘルメット着用がほぼ100%。
一人で乗っている子どもも、ママの自転車の専用座席に座っていても同じく全員ヘルメット着用。

ママの自転車専用座席自体、そうとうな硬さと頭まで守る高さがあり、シェルとしての役割も担っている。
自動車に突っ込まれたらひとたまりもありませんが、自転車同士が出合い頭にぶつかって転んだくらいであれば、傷はほぼなさそうな出来です。
実際にそうした経験はないので、これはユーザー側の希望的観測ではあります。

子どもが一人で自転車に乗れるようになると、親子それぞれ自転車移動が始まります。
電動ママチャリのママと、小さな子どもがヘルメットをかぶって大人について言っている姿は日常。
子ども達だけの自転車乗り姿は、小学校中学年以降で、それ以下はたいていは大人がそばにいます。

そうすると、信号無視はもちろん、ヘルメットをかぶらない子もいない。
僕も親として、ヘルメット着用や安全意識の植え付けにやっきになっている。
さまざまな要因で、事故に合いにくい時代だと感じます。

全員がそうだとは言いませんが、子どもに何かあったらと、リスク回避行動が増えているのは、昔に比べて増えている。
軽い事故くらいで人は死なない、と思いたいですが過保護な自分を感じつつ、黙っていられない。

僕は子どもの頃、知らない地域まで子どもだけで自転車で行って、パトカーで連れ戻されました。
いま同様のことは、あったとしても多分レアケース。

実際、いまの子どもは、自転車で転んだ経験(回数)が少ないと、どこを見ても感じます。

 

さいごに

東京はその交通網の発達で、自動車不要なのは住んでみると分かります。
駐車場代が高いのも要因の1つで、仮に月3万円として、車の置き場所で年間36万円と考えて「問題ない」とする人は、日本全体の平均所得からは少数派に当たります。

車を持たず、移動の足として自転車に乗る。
親子で自転車移動している姿を見ると、自分の経験がリフレインされる。

自転車にやっと乗れるようになった子どもは、最初はフラフラで、ブレーキが甘かったり。
それを心配そうに見ている親の姿は、好意的な意味でカルガモ親子の行進のようだと感じます。