自分で考えなさい

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育児・子供観察

自分の子どもに成功体験をさせたい。
口で言うほど簡単なことではないかもしれません。
しかしできるだけその環境に近づけたい。
そこにはたくさんの失敗という土台があるはずです。

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あえて失敗する機会をつくる

失敗を体験する環境を作る。
コレを昔からうまくできないだろうか、と考えていました。

この失敗体験をある程度、ある程度僕がイメージした通りなったことがあります。
それはある新卒メンバーが僕のチームに配属された時のことです。

その新卒は地頭は普通くらい、要領も普通くらい、特別ダメな点も見当たらないという人でした。
性格的にはやや受身で、少し自分で抱え込むことがあるタイプ。
手を抜くことも一定できており、コレは個人的には重要かつ良いことだと思っています。

後日談ですがそのメンバーは、定期異動で別チームに異動後、ウツになりました。
原因は異動後チーム上長からの強い言葉による叱責、平たく言うとガッツリしかられたとそうです。

僕はその上長とも面識があり、ウツ問題の時に両者から話を聞きました。
当事者ではないので推論になってしまいますが、僕の意見としては、上長の方が割合的には正しいと感じました。

叱責の言葉はそれほど悪くはなく、どちらかと言うと新卒側が受け取るキャパがなかった。
といっても、上長側も人を見ながら言葉を選ぶということができなかったという点は失点です。

話を元に戻します。
新卒メンバーは言われたことはそれなりにこなすことができるタイプ。
しかし自分から前へ前へ出るようなことはありませんでした。

そこで2年目の最後に本人が過去経験したことがない中規模プロジェクトを任せました。
肌感覚ですが、そのメンバーの能力の130%くらいの難易度くらいだと思っていました。

狙いは以下の3点。

  • 失敗を経験する(何が失敗なのかも含め)
  • リカバリを学ぶ(いつまでのだれに何を戻すのか)
  • 成功体験を積む

 

そのプロジェクトで新卒は、予想通り何箇所かでつまずきました。
僕は見てないふりをして、常にプロジェクトの進捗に目を配っていました。
また週2回、1on1(二者面談)の時間も確保していました。

1on1では、現在の状況や問題点、解決策、この先の展望を本人に語らせる。
そこでダメそうな点があれば指摘、その場で再考させました。

本人はアップアップだったのかもしれません。
毎日朝早くから出社、夜も残業していました。
正直、無駄な事が多いのですが、何が無駄なのかも学ばせる機会と考えていました。

 

結果はプロジェクトは予定日にキッチリと完了。
プロジェクト最終日は1日真剣な顔つきでした。
夕方に無事、細かな残タスクの除いて、作業終了。
ぼーっとしているような、抜け殻のような、脱力的雰囲気。

完了日翌日の総振り返り1ono1では「最終日はトイレも行くのも忘れていた」とのこと。
ただその振り返り時を通して、少し照れくさそうで、ややうつむきながらも笑顔あふれる報告が印象的でした。

担当者のキャパを超えるタスクを、まったく手を出さずに全部任せる。
全部任せる状況を日常から作り出せる人はスゴイですが、現実的には難しいのではと思っています。
調和点としては「一部は任せるが一部は口を出す」というトコロでしょうか。
自分が手を出したほうが早いとか、緊急で売上を作る必要があるとか、イロイロあります。

それでも「急がば回れ」ではないですが、1人で完遂した経験が人を育てる1つの方法はないか、と思っています。
特に失敗したときにどうするのか、この点は生きるうえでも重要です。

もちろん単に言葉通りの放置も、タイプによってNGです。
未熟な状態であれば、何かあったら相談できるという環境も必要でしょう。
安心だけがすべてではないですが、一定の安心があれば一歩踏み出せる人には効果的です。

 

子どもにとっての機会損失

ある児童館でのお父さんとお子さんがパズルをやっていました。

子どもはまだ小さく、パズルのピースも多分50ピースくらい。
それでもその子どもには難しかったらしく、最初の端っこの何ピースかをはめて手が止まりました。
その子のお父さんは初めは見ているだけでした。
やがて「ほらこのピースの色、この辺のどこかじゃない?」と言い、子どもにパズルのピースを渡していました。

子どもは受け取ったパズルのピースを該当箇所周辺で上にしたり下にしたり。
やがてうまくはめ込めたようで、また自分で悩んで何ピースかパズルを埋めました。
また手が止まる。

今度はお父さんが「このピースココじゃない」と子どもにピースを渡す。
子どもは受け取って該当箇所にはめ込みました。
その後の大半はそんな感じで、ほぼお父さんがパズルを完成させたような状況でした。

 

その様子を、傍目で僕は見ていました。
そして思っていたのが「イロイロ機会損失してそうだなぁ」ということ。

たとえうまくできなかったとしても、うまくできないことをまず学ぶ。
そのうえで何が原因なのか一緒に考える。
失敗経験を積むことは、幼少期には特に重要だと思っています。

何がうまくいかないのか、どうしてうまくいかないのか。
忘れてならないのが「そもそも何が分からないか分からない」ということもあります。
ケースによって見本を見せたり、考え方の基本を教えたりする方法もあると思います。

親側がうまく子どもに質問することで、どうすればうまくいくのか本人の口から話させる。
難易度が高ければ一緒に考える、できるだけ手を出さない。

 

実際、僕も自分の子どもに対してできるだけ手を出さないと意識しているつもりです
が僕の奥様からは「手を出している」という指摘される未熟者です。

成功でも失敗でも、子ども自身で自分でやらせること。
コレが子どもの未来につながると思っているので、忍耐強く待ちたいと常に思っています

 

最近流行の「非認知能力」

そもそも失敗とはどういう状況なのでしょうか。
漫画『スラムダンク』の安西監督の有名すぎる言葉が個人的にはあてはまると思っています。

「あきらめたらそこで試合終了ですよ」

 

このあきらめない・やり抜く力というのは最近話題のワードです。
GRITという言葉、耳にしたことがある方も多いと思います。

そしてこのやり抜く力で流行なのが「非認知能力」。
非認知能力」とは以下です。

  • 自制心・意志力
  • 忍耐力・根気
  • やる気
  • 自信・やり抜く力(GRIT)
  • 理解・状況把握力(メタ認知能力)
  • 創造性
  • リーダーシップや強調性(社会的適性)

どれも親なら自分の子どもに、持って欲しいと思うものばかりです。
非認知能力」は数値化できない能力です。
「認知能力」が数値化できるもので、典型例としては「IQ」があります。

 

就学前教育の研究で有名なノーベル経済学賞を受賞しているシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授。
この教授が「非認知能力」について研究結果を発表しています。

高校に通学して卒業した人と認定試験で同等の学力があると認められた人を調査
通学して卒業した人のほうが年収や就業率が高かったと言う結果

 

当たり前と思われるかもしれませんが、学校生活で人と過ごす。
それが社会に出てからプラスに働いていると言えます。

またヘックマン教授は「非認知能力」と年齢経過の結果も発表しています。

非認知能力を伸ばす年齢限界として成人後まで成長する可能性がある
非認知能力は認知能力を向上させるが、認知能力が非認知能力を向上させない

 

非認知能力」を成長させる方法は、現時点ではコレだ!と確定していえる結果はないそうです。
その中でも最近の研究結果で関連性が強いと言われているのが「身近にいる人の影響」です。
親の自制心が高いと子どももその影響を受けて自制心が高くなる、という事。

コレも言われてみると当たり前かもしれませんし、言われるまでもないかもしれません。
子どもに対する言葉もそうですし、周りの人に対する言葉遣いを正しくするのは当たり前です。
自分が汚い言葉を使っているのに、子どもに「汚い言葉を使うな」はおかしいです。

 

そしてこの「非認知能力」、実現可能かどうか分かりませんが今の子ども達は身近になりそうです。
2020年~大学入試で「非認知能力」が評価の対象になる、とのこと。

 

以下の本は大人向けですが、2016年に世界的ベストセラーになった本です。

 

成功するには「IQ」より「グリット」 やり抜く力の大切さを伝えて28万部
大きな成果を出した人の多くは、必ずしも才能に恵まれていたわけではない。
成功するために大切なのは、優れた資質よりも「情熱」と「粘り強さ」――
すなわち「グリット(GRIT)」=「やり抜く力」なのだ。
そんなシンプルで力強い命題を、心理学のさまざまな理論を元に、多角的に検証した本。

出典:前田 久(週刊文春 2017.04.20号掲載)

 

さいごに

僕自身、一定の歳をかさね遅まきながらハラオチしていることが以下です。

  • 成功者と呼ばれる人は打率が高いのではなく、打席数が多い(挑戦する回数が多い)
  • 1つでも大きな結果が出れば、あとはその流れを切らずにどんどん加速していく
  • その1本を打つために、人とは違う何かを、人とは違うレベルの力を入れてやっている

成功者は死ぬほど失敗している、当たり前です。
メゲない、これも当たり前です。
今風の言葉でいうとレジリエンス(復元力)です。

ほっておいても自分でしっかり考えて挑戦し続ける子は裏方に徹することが良いでしょう。
メンタルが細い子は、安全基地的な環境を整えるのが効果的かもしれません。
その子にあった対応・環境を親が作る。

サラリと書いていますが、簡単なことではありません。
それでも僕が考える子どもにアドバイスを求められたときの究極の返答が以下。

自分で考えなさい

ではでは

◆今回のまとめ◆

自分の行動が子どもの機会を奪う可能性
成功と失敗をうまく経験する
「自分で考えなさい」と言える環境を作る