周囲に人がいない在宅勤務(リモートワーク)。
チャットツールなどで、同僚との接点はありますが、自宅という環境は出社時と違います。
一人の環境でも、仕事で結果を出す。
これは在宅ワークで再確認されただけで、昔も今もこれからも、普通に求められる内容です。
企業のリモートワーク実施率は2割弱
いま、どのくらいの人が、在宅ワークなのか。
コロナ過になってから、4回調査した結果情報が以下です。
出典:第4回「働く人の意識調査」(公益財団法人 日本生産性本部)
第1回目の調査(2020年5月)が最も高い数字というのは、個人的には意外でした。
在宅ワークと言っても、組織側がリモート環境やルール整備を整えるのに時間がかかります。
よって、徐々に増えていると予想していたのですが違っていました。
最新の情報(第4回調査、2021年1月)では、2割弱の人が在宅勤務です。
補足ですが、これはフルタイム(全日)在宅勤務ではありません。
出典:第4回「働く人の意識調査」(公益財団法人 日本生産性本部)
最新の情報(第4回調査、2021年1月)では、「効率が上がった」と「やや上がった」を足すと54.5%と約半数。
会社に出社しているより、自宅業務の方が効率的と回答しています。
このグラフでは、徐々に効率が上がっているので、慣れてきたとも言えます。
出典:第4回「働く人の意識調査」(公益財団法人 日本生産性本部)
最後に、満足度です。
最新の情報(第4回調査、2021年1月)では、「満足している」と「どちらかと言えば満足している」を足すと、69.8%。
2つ目のグラフの「効率が上がった」と回答より高い数値です。
言い換えると、効率は置いておいたとしても、在宅勤務の満足度は高い結果です。
リモートは雑談が減る
僕の身近に、全日出社していた状況から、フルタイムでリモートワークの会社に転職した人が2人います。
2名とも20代後半で、1名はリモート最高、もう1名は仕事に問題はないが慣れていない、と言っていました。
リモート最高の人は、さばさばした性格で、ひとりで淡々と仕事を進める。
自分の手が空くと、自分のタスク以外も手を出して、一人でドライブしていく。
「リモートをやってみた実感として、自分には本当に合っている」と言っています。
はたから見ていても、この人は一人作業に強いと感じさせます。
もう1名は、業務は普通にこなせているが、顔が見えない状況にまだ慣れていない。
知り合いゼロで、右も左も分からない状況なので、組織に馴染むとっかかりがないことを気にしているようです。
早く戦力になりたい表れかもしれません。
お二人とも、新天地なので周りに知り合いがいません。
共通課題として挙がったのが、主に雑談のようなフワッとしてコミュニケーション不足。
現代は、チーム内の心理的安全性は有名、チーム内の何でも話せる雰囲気は仕事に好影響を与えます。
さらには以下の「ユーモアはグループの生産性に重要な貢献をしている」という、ニューハンプシャー大学の研究結果などもあります。
出典:Humor and group effectiveness(SAGE Journals)
これらのお話をベースに雑談の必要性を感じているのか分かりませんが、会社に出社していたころは、緩やかにつながりが深まっていき、その人の特徴を掴む機会があった。
それが、あの仕事ならこの人など、仕事がスムーズにいく方法の1つなのは、経験則です。
雑談は意識して入れるリモート環境
リモート環境だと、打合せや個別チャットは行いますが、粛々と進めてすぐに終了というものが多い。
意識しないと横道に逸れず、音声だけの通話であったり、顔出しであっても相手の全身表情が読み取れず、雑談してよいものか躊躇して止めてしまう。
セクハラ、パワハラなどの時代要因もありますが、相手との軽めのキャッチボール、気軽に雑談ボールを投げにくいというのは、在宅ワーク全般のあるあるです。
雑談がないと、人となりが分からない。
言い得て妙だと思ったのは「雑談がないと、同じチーム内でも外注先に発注している気分」でした。
なるほど、業務連絡だけで淡々と進めたら、たしかに外注依頼と同じです。
僕は昨年の春から、フルリモートになって、リモートワークがどんなものか自分なりに体験しました。
そこで再確認したのですが、在宅ワークに有用な素養として、「一人で効率的に進められる」があります。
これは1人で完結という面もありますが、人にうまいタイミングで相談するも含まれます。
ただこれは、出社していても普通に必要な素養です。
リアル環境だと目に見えるのでサボることができず、自宅だと仕事をしているかわからない。
それに対し、ガチガチ管理の方法として、常時画面を移しておくとか逐次連絡を行う企業のお話を聞きますが、それは大人の信頼関係とは遠く、未来志向とは思えません。
自分で采配するのは、長期視点では必須レベルなのは言わずもがなです。
外部遮断する時間が持ちやすい
一人で部屋にこもって、仕事を進める。
やることがあれば、やらないわけにはいかないので、心配はありません。
問題は、管理職や企画職など、定量化が難しい業務です。
ちなみに、定量化はできますが、一般論として難しいという意味です。
僕が会社に出社していたころ、自分がフルリモートを選択できたとして選ぶか想像したことがありました。
その時点での僕の解答は「積極的選択はしない」でした。
自宅で周囲に目がないと、自分がだらけそうで効率が落ちる。
自分に自信が持てていませんでした。
実際、フルリモートになってどうだったか。
僕は、リモート環境の方が、自分のアウトプットには良いと感じてます。
成果をあげるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。大きくまとまった時間が必要なこと、小さな時間は役に立たないことを認識しなければならない。たとえ1日の4分の1であっても、まとまった時間であれば重要なことをするには十分である。逆にたとえ1日の4分の3であってもその多くが細切れではあまり役に立たない。
会社にいると、周辺からの質問・相談や外線・内線など、たくさんの横入りがあります。
それが自宅だと、それを意図的にシャットアウトできる。
自分が1日の業務配分を考える時、ある時間を考える時間と決めれば、だいたいその通りにできます。
自宅環境での業務阻害要因は子どもですが、程度をわきまえれば僕はプラスだと思っています。
「自分で考えて仕事を進める」
文字にすると陳腐ですが、AI時代の人間が担う役割の筆頭です。
子どもの頃から一人で積み上げる
一人で何かに集中する時間を決めて、計画的に積み上げる。
これは、大人の仕事で有用というお話だけではなく、子どもがそうした習慣を身に着けられれば、大きな武器になります。
典型例として、受験勉強です。
受験の善悪のお話ではなく、受験でなくとも自分がやりたいことの練習でも良いです。
ゴールを目指し、自分のいまいる位置を客観的に見て、目的地までの差を出す。
いつまでに目的地にだとりつくか計画する(どのくらいの時間を要するのか)。
あとは、決めたルールで、歩き続ける。
難しいのは2点で、「計画の妥当性」と「実行」です。
計画の妥当性は一定の経験や外部サポートを使うことで補い、個人で注力するのは実行フェーズ。
怠けてしまわないための、習慣化です。
学校から帰ってきたら、CD1枚(数十分)、机に向かう。
他にも、夜8時からは一切のデジタルツールをオフにして、9時まで勉強するなど。
社会人であれば、最寄り駅のファミレスや喫茶店に1時間、必ず立ち寄って勉強するなども効果的ですが、子どもは難しい。
放課後、学校の図書館や家の近くに図書館あれば、実現できそうです。
こうした一人での積み上げを、ずっと歩み続けられた人が、どうなるかは大人なら知っています。
自己管理が、子どもの頃から身についたと想像すると。
本当の意味の自立でもあり、何より人生を楽しめます。
さいごに
ワンルームマンションで、リモートワークに従事すると、息が詰まるというニュースを聞きます。
この文章の冒頭2名のうち、1名がこの状況で、聞くとやはりいつも同じ場所にいるのは、閉塞感があると話していました。
寝る、ご飯を食べる、仕事する、余暇を楽しむの部屋が一緒。
話す人も、仕事で打合せが無ければ、1日、だれともしゃべらない。
想像でしかありませんが、閉塞感は理解できます。
フルリモートワークの単身者にとって、その人にあった気分転換できる環境を整えるのは、家族持ちよりも重要度が高いのかもしれません。
家族構成にかかわらず、フルリモートの就業環境であれば、住む場所の条件として「駅近物件」を選ぶ意味は随分へりました。