日本の大学進学率5割超えておりこの先も変わらない予測

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統計データ

日本の少子化は続いていますが、2021年の大学進学率は55.5%と半数強です。
都道府県別に見ると、都心部で進学者が多く1位は東京の76.8%。
大学を含む高等教育進学率を世界で見てみると、日本は1位です。
大学に行く意味が問われる時代ですが、この先も進学率は横ばい予想になっています。

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大学進学率 2021年は55.5%

2022年の出生数は77万747人と、80万人を割っており、日本では少子化が続いています。
1971年から1974年の第2次ベビーブーム以降、日本の子どもは減り続けていますが、大学進学率は上がり続けています。

18歳人口と大学入学者数の推移
出典:科学技術指標2022、調査資料-318、2022年8月(文部科学省 科学技術・学術政策研究所)

18歳人口(グラフ内青色)は下がっていて、大学入学者数(グラフ内オレンジ色)は増加しています。
よって、進学率(灰色折れ線)は増加しています。
大学進学率について、1981年は25.2%が、2021年は55.5%と半数を超えています。

1984年が18歳人口(グラフ内青色)が下がっていますが、これは1966年がひのえうまの年の特殊事情、出生数がこの年だけ低いためです。
結果、1984年は近年に比べ、大学進学率が高くなっています。

折れ線グラフを見ると分かる通り、日本の大学進学率はいまも増え続けています。

大学 学部別 入学者数
出典:科学技術指標2022、調査資料-318、2022年8月(文部科学省 科学技術・学術政策研究所)

学部別の入学者数推移が上記です。

1位の「社会科学(グラフ内オレンジ線)」のみ、数値が大きいので右軸にしています。
「社会科学」について1981年は165,958人、2021年は201,320人と121.3%と伸びていますが、グラフ推移は山型です。

1981年と2021年を比べて、増加率1位は「その他」の548.4%、2位は「保健」の346.9%。
この2つのグラフ推移を見てみると現在も伸びています。

1981年と2021年を比べるとすべての学部が増加になり、全体平均は207.9%。
その中で一番増加が少なかったのは「工学」112.0%、次点は「社会科学」121.3%です。
他に理系に分類される「理学」は140.4%と、理系は全体平均から見て低い伸び率です。

大学進学者率の将来推計
出典:大学への進学者数の将来推計について(文部科学省)

上記、文部科学省にあった大学進学率の将来推計です。
2040年、全体は57.4%、男性58.4%、女性56.3%とこの先大きく伸びない予測になっています。

 

2022年 都道府県別大学進学率平均は50.6%

日本の都道府県別に見た情報がこのブロックです。

都道府県別 大学進学率 2022年
出典:学校基本調査 令和4年度(文部科学省)

上記は、2022年時点の都道府県別の大学進学率です。
全国平均は50.6%、グラフ内に赤線を引いています。

都心部が比較的強いですが、山梨や京都、奈良、兵庫も高い。
1位は東京の76.8%、全体平均比26.2%高くなっています。

地域ブロック別に見ると、北海道東北、九州が低い。
沖縄は50.0%で、ほぼ平均値と同値です。

都道府県別 大学進学率 2040年推計
出典:学校基本調査 令和4年度(文部科学省)

文部科学省情報、2040年の都道府県別、大学進学率予測が上記です。

全体傾向は1つ上の2022年グラフと変わりませんが、トピックスは東京が下がっています。
東京は2040年推測では72.8%と2022時点と比べ4%減少、1位は京都の73.8%になっています。

他に伸びている県の代表として北海道が54.4%と、2022年48.9%とくらべ伸長、平均を超えています。
沖縄は大きく減っており2040年推測は38.6%と、2022年の50.0%から-11.4%です。

日本の高等教育進学率は1位

世界的に見て、日本の高等教育進学率はどうなのか。
G7うち、情報があった各国の高等教育の進学率が上記です。
大学ではなく高等教育なので、短大や専門学校等も含まれている数字です。

各国 高等教育への進学率
出典:データブック国際労働比較(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

日本は2013年~2016年の情報はありませんが、この中で2020年は74.1%で1位。
2020年時点での最下位はアメリカ44.9%です。
アメリカは2013年48.1%なので、この期間-3.2%下がっています。
グラフ内灰色線のイギリスは伸び続けており、2020年は69.3%と1位の日本に近づいています。

この先、日本は少子化で子どもの数が減っていきます。
大学入学は社会人でも可能ですが、日本では社会人学生が少ない。
2023年、リスキリングのワードが良くも悪くもホットワードになりましが、社会人学生をやれる気力と財力、精神的エネルギーを持っている人はそれほど多くないと周囲を見ていて感じます。
そうなると大学進学率は変わらなくとも、少子化で学生数は減少していきます。

大学の充足率(定員割れ割合)
出典:令和5(2023)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)

直近5年の、大学の規模別充足率(定員通りなら100%)の情報が上記です。
規模別分類の説明は以下です。
小規模大学(収容定員4,000人未満)
中規模大学(収容定員4,000人以上8,000人未満)
大規模大学(収容定員8,000人以上)

2023年の充足率は、全体で99.4%とわずかに100%を割っています。
(1,000人の枠があって、994人が大学生になった)

2023年の充足率を大学規模別にみると、以下です。
大規模大学=103.6%
中規模大学=102.0%
小規模大学=92.6%
グラフからは、小規模大学は下がり続けており、大規模大学が少し増えています。

2023年 大学 志願倍率
出典:令和5(2023)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)

入学志望者数がどのくらいかの志願倍率情報が上記です。
充足率は100%を割っているので1倍付近というわけではなく、全分類とも下がってはいますがそれなりの倍率です。

大規模大学=10.47倍
中規模大学=7.31倍
小規模大学=3.48倍

ここ5年の減少率はどの分類も8割前後。
とは言え、大規模大学は2023年時点でも倍率10倍を超えています。

ここまでをまとめます。
・日本の2021年・大学進学率は55.5%
・学部でずっと1位は「社会科学」
・この先2040年までの推計では、ほぼ横ばい
・2022年の都道府県別平均は50.6%
・世界で見ると高等教育進学率は日本は1位
・2023年の大学充足率(定員割れ割合)は99.4%
・2023年の大学倍率平均は7.08倍

大学進学決断を10歳でするドイツ

Fラン大学に行って意味があるのか論争は、いまも続いています。
大学に行く目的は、学ぶ場が基本として社会を学ぶ場(端的に言うと遊ぶ)、「大卒パスポート」を得るためという考え方もあります。

大学に何を見いだすのか考えるとき、僕はドイツの学校進学システムを思い出します。
以下、文部科学省からのドイツの学校系統図です。

ドイツの学校系統図
出典:4.ドイツの学校系統図(文部科学省)

ドイツでは子どもの時点で大きく2つの道、高等教育と専門職に進む人を分けます。
具体的には、小学4年(10歳)時点で大学(高等教育)を目指しギムナジウムに入るかの判定を本人含め周囲の大人が行う。
大学を目指さない人は手に職をつけるようなルートとなる。

大抵の日本人は、10歳で大学に入るか判定するのは早いと感じるのではないか。
日本は中学校まで義務教育で公立私立の選択はありますが、文部科学省通達の教科を基本、全員が学びます。
ただ、これも日本の標準に毒されている発想で、ドイツの環境で育ったドイツ人からみると日本はそんなに緩くて大丈夫かと考える人も多いのではないか。
大きな差があるものは、学べるものが多い一例です。

日本では大きな節目として、小学校受験、中学校受験、高校受験、大学受験と所属が変わるタイミングで一定の判断が発生します。
それでも、どんなルートを通っても、大学受験への道が極端に狭くはほぼありません。
ちなみのその先の大学卒業後の就職時も、企業による大学フィルターは裏では存在しますが、自分の好きな業種・好きな会社に就職活動として参戦できる。
ドイツの子どもと言える年齢の時、大学を目指すか職人になるかの「決断」から比べるなら、日本はフワッとしています。

日本は島国かつ言わなくても分かるだろ、あるいは横並びで努力が重視されている。
ドイツでは、才能を含む10歳の段階でシビアに見極めをする。
一概にどちらかが良い悪いではないですが、僕は日本も苦手なことをあきらめる方が良いと感じています。

企業に入って、数十年働いてリストラされて恨み節を吐く人がいます。
流動性が高い時代、自分の能力を自分や他人がシビアに判定することを、若い年齢から徐々に学ぶ、受け入れるのは人生を生き抜く力になります。

親は子どもに、大学生になったのだから自分のことは自分でやりなさいと言う。
ただ、当の本人たちは大学生になったからと言って、いきなりきちっとできるわけもなく。

それでも現代日本の若者たちのスマートさを見ていると、親世代よりは間違いなくきっちりやっている。
やらされているのかもしれませんが、それをやれるだけの素養と言うか、社会から求められる一昔前に比べ高いくなった平均レベルを超えてきた人ばかりです。

最近の若い人たちは、ドライで分をわきまえている。
この評に近い人たちは、ある意味、現実的なドイツ志向に近づいているとも言えます。

高校時代のどこかで、大学に行くと自分で考えた決めた時、だいたいの学部と家から通えるかあたりで決めるのではないか。
地方在住者であれば家からいける大学は限られていたり、あるいは家から早く出たいひとがあえて遠方大学を選ぶ。

大学に入るかどうか、どこの大学にするかは、自分の人生の方向性を決める最初の一歩となる人もいる。
人によって、家庭環境や経済制約でハードルがあるかもしれませんが、18歳は失敗経験するにも良いタイミングです。

僕はわが家の子どもの親として、いろいろな選択肢を知った上で自分の道を決めてほしいと思っています。

さいごに

ある知り合いの高齢者が、いまの日本の状況を「船頭多くして船山に上る」と評していました。
この方の言い分は、大学を出ているリーダーをたくさんを養成して、手を動かす現場の人が少ない環境に対しての警鐘です。


指図する人間が多いために統一がとれず、見当違いの方向に物事が進んでしまうたとえ。
出典:船頭多くして船山に上る(コトバンク デジタル大辞泉)
https://kotobank.jp/word/%E8%88%B9%E9%A0%AD%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E8%88%B9%E5%B1%B1%E3%81%AB%E4%B8%8A%E3%82%8B-550808

この先の時代、どんなポジションであっても、自分で考え決断する人が求められている。
そうではないものはロボットやAIなどに、置き換わっていきます。

大学1年時の一般教養科目選択も、小さいですが自分の決断。
友達と一緒の選択をすると試験や単位取得対策として有効ですが、自分がやりたいことを優先するのも大事。
空気を読む特徴がある日本ですが、社会のルールはドライな決断する風が強まっています。