この文章のトピックスは以下です。
・子ども新聞を読む小学生は24.3%
・ほぼ毎日読んでいる小学生は3.8%
・子ども新聞を読む頻度が高い子どもの成績は高い
・男女比では男子が女子より子ども新聞を読む人が多い
・子ども新聞を読む子は人口密集地域に約3/4住んでいる
・子ども新聞を読む小学生は読まない小学生の3倍中学受験している
・子ども新聞を読む小学生の世帯年収は500~1000万円が多い
新聞を読む子は約3/4、毎日読む子は3.8%
出典:全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)
上記は小学6年生、約100万人を対象にした新聞を読むか読まないかの情報です。
「ほとんど、または、全く読まない」が圧倒的で、人数では714,756人、割合では75.7%です。
「ほぼ毎日読んでいる」と回答したのは35,975人(3.8%)で、新聞閲覧が習慣化された小学生は約4%います。
出典:全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)
上記が新聞を読むか読まないかの成績、2023年の情報です。
たいていの人が想像するように、新聞を読んでいる子どもの方が成績は高い。
「ほぼ毎日読んでいる」子どもの国語の正答率は76.7%、「ほとんど、または、全く読まない」66.5%、その差10.2ポイント。
「ほぼ毎日読んでいる」子どもの算数の正答率は75.0%、「ほとんど、または、全く読まない」62.0%、その差13.0ポイント。
新聞は文字情報なので国語能力の差が大きくなりそうですが、実際は算数の乖離の方が大きい。
もちろん算数の問題を読み解く能力で、国語能力はベースになります。
出典:全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)
上記は単年ではなく推移情報です。
いずれの年も新聞を読んでいる子ども方が成績は高い。
算数で新聞を読む読まないの差は2013年6.6%ポイント、2023年13.0%ポイントと徐々に差が大きくなっています。
男女比では男子、学年別では小学3年生が新聞を読んでいる
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は2022年の読売新聞社にあった、子ども新聞に関するデータです。
小学生向け新聞3紙の合計数字は381,726。
大人向け新聞の部数は誰もが認識している通り減少し続けていますが、子ども向け新聞はその波とは異なっています。
一般的に新聞の発行部数は年々低下傾向にあるが、子供向け新聞については比較的減少の傾向は少ない。小学生向けの新聞で日本トップシェアをもつ読売新聞が発行する読売KODOMO新聞は、15年上半期平均の発行部数が、19万2468部(日本ABC協会報告)である一方、20年下半期平均は20万0194部となっている。
出典:子供向け新聞(NIKKEI COMPASS)
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は読売KODOMO新聞を読む年齢情報です。
一番読む割合が多い学年、男子は小学3年14.2%、女子は小学6年10.8%で違いがあります。
男女差で見ると、男子の方が女子より読む割合が高い。
他に特徴的なのは、男子は小学1年で11%と、一気に割合が増えていますが、その後の2年生時に下がっている理由は分かりません。
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は読売KODOMO新聞を読む人の居住エリア情報です。
1位は関東の1都3県44.8%で、半数弱がこの地域在住の子どもです。
2位は関西2府4県17.2%、3位は東海4県10.2%。
1位~3位で72.2%と人口密集地域で読売KODOMO新聞を読む人は全体の約3/4です。
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は読売KODOMO新聞を読む子どもの閲覧時間です。
1位「20分以下」36.8%、2位「30分程度」37.4%、この2つで74.2%です。
読売KODOMO新聞のサイズはタブロイド判で、ページ数は 20ページ(オールカラー)。
読みやすい誌面の工夫、さまざまな話題があり、大人であっても30分はかからない内容です。
子どもが全部に目を通しているのか不明ですが、やや興味がない記事を読み飛ばしている可能性を感じます。
新聞を読む子の中学受験割合は読まない子の3倍
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は子ども向け新聞を読む読まない別、中学受験するかの情報です。
中学受験する割合について、「新聞読者」48.6%、「新聞非読者」16.2%、その差ちょうど3倍です。
子ども向け新聞の売り文句に「受験に強くなる」がありますが、現実的に受験対策の意味はあります。
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は読売中高生新聞を読んでいるかいないか別、保護者の教育問題への関心割合です。
子どもに関心があるかについて、「新聞読者(の親)」65.8%、「新聞非読者(の親)」30.7%。
これもたいていの人が認識している通り、子どもに新聞を読ませようと考える時点で、学びに対する情熱が高い保護者と言えます。
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は読売KODOMO新聞読者の世帯年収です。
新聞を読む子どもが高所得世帯になるほど増えれば分かりやすいですが、そうではなく。
1位「500~800万円未満」30.2%、2位「800~1000万円未満」23.8%、これより高年収世帯は下がっています。
出典:読売新聞の次世代メディア「読売KODOMO新聞」「読売中高生新聞」メディアデータ最新版を発行(読売子ども新聞)
上記は読売KODOMO新聞を読んで変わったことです。
1位「子どもがニュースに興味を持つようになった」65.2%ですが、これはもともとニュースに関心があった子どもが新聞を読んでより知るようになったが因果だと感じます。
2位「親子でニュースや時事問題について話題にすることが増えた」28.2%について、たとえば車に乗っていてラジオのニュースが流れてきた時事ネタについて親子で雑談するシナリオを思いつきます。
新聞閲覧メリットとして言われる、親子コミュニケーションの増加です。
(物語)新聞は世界の扉の1つ
小学5年生の正彦は、小さなころから絵本に親しんで育ちました。
家の近くに大きな図書館があり、文字が読めない頃から図書館に通う習慣が正彦にはありました。
図書館では絵本以外にも紙芝居などもあり、靴を脱いで上がる部屋でそれを両親から読み聞かせてもらうのも大好きでした。
彼の家には書斎と呼んでよい部屋が1つあります。
壁一面が本棚になっており、そこに父母が好きな本が並んでいました。
正彦がこの家族のチームの一員になって、やがてその書架の一部は正彦用の本棚になりました。
正彦が小学生になってからも、週に1回の図書館通いは続きます。
自分で自転車に乗れるようになり、両親どちらかと土曜日曜のどちらかに図書館に行って本を物色する。
文字数が少ない絵本から、だんだん絵がほとんどないフリガナ付きの本、漢字が分かるようになってからは小説も読むようになりました。
ある日、図書館で児童用の本が置いてあるエリアの横に、子ども新聞が置いてあるのに気付きました。
何気なく、子ども新聞を手に取ってみる正彦。
新聞は本に比べ大きな紙面で、カラーの誌面をぱらぱらとめくってみる。
新聞の中ほどに、自分の好きなアニメのキャラクターが描かれていました。
正彦の興味は一気にそこにくぎ付けになります。
キャラクターコーナーの内容は大したものではありませんでしたが、キャラクターの個性を生かしてニュースの解説をしている。
へぇ、こんな工夫もあるんだ。
キャラクターコーナーのボリュームはわずかなのですぐに読み終わりましたが、がぜん新聞に対しての興味が高まる正彦。
再度ぱらぱら眺めただけの新聞の1面から、内容を1歩踏み込んで読み直してみました。
そこには、自分が知らなかったいま起こっている世界の出来事が記されていました。
国内国外あるいは宇宙や過去、選挙や環境、時事問題。
大人でも海外に1年以上行ったあと国内に戻ると、「いま日本はこんなことになっているんだ」と新鮮味があります。
同様、これまで新聞やニューを見ていなかった人が、初めてそれに触れた時、知らない世界だらけに出会います。
正彦にとって子ども新聞はそれに当たり、まるで乾いたスポンジが水を吸い込むように情報摂取しました。
図書館から帰宅後、正彦は両親に子ども新聞の話をして、定期購読できないか相談しました。
正彦の両親は承諾、すぐにその手配しました。
翌週から届く子ども新聞。
正彦は朝、起きるとすぐにポストに行って、朝ごはんまでの時間、新聞をめくっている。
子ども新聞はホットな時事ネタも取り扱っており、やがて正彦は自分が読んだ知識を両親に話すようになりました。
両親は正彦に「新聞って楽しい?」と聞くと、即答で「うん」と答える。
考えてみると学校の先生は本や新聞を勧めていたが、その理由はいまは分かる。
人間は知らないことを知る、できないことができるようになるのは楽しい。
正彦は子どもらしく、自分の知識を両親に自慢げに語るようにもなりました。
両親はそれを受けて、その問題、どうしたらよいと思うと投げ返してくる。
そうしたやり取りが、正彦一家の日常風景の1つになっていました。
そんな中、両親は正彦に今の大人向け新聞の発行部数減少の話をしました。
正彦もその流れは知っていました。
両親は正彦に語り掛けます。
ネットの普及や世の中の流れで、いろいろなものが移ろっていく。
いまは多様化した社会で、個人が好きなものもばらばらになっている。
新聞を読まない人が悪いのではなく、新聞も1つの情報源や楽しみと考えるのが妥当。
正彦が新聞を好きなのはとても良いと思うし、他の人は他のものが好きなだけ。
新聞を読んでいるから自分が偉い、のような考え方は間違っていると思うよ。
正彦はそれを聞いて、その通りだと納得しました。
ただ、自分は新聞の楽しさを知っている。
正彦にとってはそれだけで十分でした。
さいごに
実際に子ども向け新聞を読んでみた僕の感想は、「よくできているな」でした。
池上彰さんが語るような分かりやすい文章で、時事ネタなどが書かれています。
紙面がカラーになっているのも良いですし、飽きやすい子どもの興味を引く工夫が盛りだくさん。
子ども新聞はよく中学受験に結び付けられて語られます。
新聞を読むことが中学受験にプラスになるのは同意です。
ただ、新聞を読む意味のは中学受験だけではありません。
新聞は「事実」から「なぜ」とか「どうする」などを考えるきっかけになります。
文章自体が洗練されているのも、自分の表現の幅を広げてくれる見本になる。
そして言うまでもなく「言語化」があります。
辞書のトップメーカーである株式会社三省堂(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:瀧本多加志)は、2024年12月3日(火)に「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2024』選考発表会」を実施し、2024年を代表・象徴する新語ベスト10を発表いたしました。
今回大賞に選ばれたのは、「言語化」でした。出典:今後の辞書に載るかもしれない新語を三省堂が発表! 「言語化」「横転」「インプレ」などがランクイン!(株式会社 三省堂)
自分が言葉にできないものは、存在しないと同じ。
言語化は社会で生きていくうえで必須スキルです。