野菜摂取量はここ20年で-15.6%、いまの野菜はおいしい

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・日本人は特に近年、野菜摂取量が減っている
・男女とも減少傾向は変わらず
・年齢別では高齢者ほど野菜摂取量は多い
・野菜摂取に関心がない男性は14.1%で女性の2倍以上
・野菜摂取量が多い層は食生活改善に前向き

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近年は野菜摂取量が減っている

野菜摂取量 単位=グラム
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は2003年~2023年の野菜摂取量推移です。
大きな変化はありませんが、全体的にはわずかに減少傾向。
最高値は2006年303.4グラム、最低値は2023年の256グラム、前後比-47.4グラム(-15.6%)です。

野菜摂取量 男女別 単位=グラム
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は野菜摂取量、男女別の情報です。
男性の最高値は2014年300.8グラム、最低値は2023年262.2グラム、前後比-8%。
女性の最高値は2015年288.7グラム、最低値は2023年250.6グラム、前後比-7.5%。
食べる総量の要因もあり、男性が女性をわずかに上回っていますが推移は同じです。

高齢者ほど野菜摂取量は多い

野菜摂取量 年齢別 単位=グラム
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は、「緑黄色野菜」と「その他の野菜」の野菜摂取量、年齢別情報です。
20歳以上でみると高齢者ほど野菜摂取量は多く、20-29歳が最低値です。
20-29歳で独身なら、野菜摂取は意識して摂取しないと縁遠く、自分の体験からは最低値なのは納得です。

野菜ジュース 漬物摂取量 年齢別 単位=グラム 2019年
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は野菜ジュースと漬物摂取量、年齢別情報です。
こちらも「緑黄色野菜」「その他の野菜」の傾向と同じく、高齢者の摂取量が多い。
30-39歳が最低値ですが、働き盛りで栄養も必要だと思いますがゆっくり食事の時間を取れないのか。

厚生労働省に野菜摂取量目安があります。

野菜摂取量の目標値 350g

出典:健康日本21(第三次)について(厚生労働省)

野菜摂取量 350g以上の割合 男女別・年齢別
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は男女別・年齢別の野菜摂取量、350g以上の割合です。
350gを超えている男性は30.1%、女性26.5%です。
年齢別にみると350gを超えている割合は、高齢者ほど多い。

野菜摂取量が少ない層は野菜取得関心が低い

食習慣改善の意思 野菜を十分に食べる
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は食習慣改善の意思として、野菜を十分に食べることについての回答結果です。
男性は「改善することに関心がない(14.1%)」「関心はあるが改善するつもりはない(16.9%)」を足すと31.0%と約3割は改善意思がなく、女性よりも改善意思が低い。
また「食習慣に問題はないため改善する必要はない」は男女とも約3割で、この回答者は野菜を十分にとれていると考えています。

食習慣改善の意思 「野菜を十分に食べる」 男性・野菜摂取量別
食習慣改善の意思 「野菜を十分に食べる」 女性・野菜摂取量別
出典:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

上記は男女別の、いま野菜をどの程度食べているか分類の、食習慣改善の意思「野菜を十分に食べる」です。
男女共、いまの野菜摂取量が少ない人は、野菜を取得する(改善する)意思は低い。
鶏と卵の話に似ていると感じますが、野菜多めの食事をしている人はそこに意識が行っており野菜摂取しています。

野菜はおいしい

野菜も技術革新で進化し続けています。
以下はその一例ですが、ハウス食品が開発した辛み成分が少ないタマネギです。
このタマネギ、切るときに涙が出にくく、食べても辛い味が少ない商品です。

スマイルボールについて

一般的なタマネギは本来の甘みを引き出すために、生食では水さらしして辛みを抜いたり、炒める・煮込むなど調理して食べたりすることがほとんどです。これに対してハウス食品グループが10数年に渡る研究によって作り出したスマイルボールは、生でそのまま丸かじりしても辛みがないためおいしく食べることができる新定番のタマネギです。

出典:スマイルボールについて(ハウス食品)

わが家は子どもがおり、たいていのご家庭のご両親が同じだと思いますが、もう少し野菜を食べてほしい。
野菜を食べなくはないが好んでは食べず、バランスよい食生活視点で見ると野菜以外の割合が多い。
野菜の味が苦手なのか、そもそも子どもとはそういう生き物と考えるのか。

僕は大人になって一般的なスーパーで売られているトマトを食べたとき、しみじみ美味しいと思いました。
「あれ、昔、自分が子ども時代に食べたトマトは、もっと酸っぱくて青い味だったような」と脳内会話をしました。

いまの野菜はたいていのものは、自分が幼少期に食べていたものよりおいしいと感じています。
野菜に限らず特に果物について、糖度(甘さ)を意識した商品がいま多いとは思っていますが、それがおいしいと感じるのであれば正義でもある。

そんな昔に比べおいしくなった野菜であっても、今の子どもは積極的に野菜に箸を伸ばさない。
そこには他の食材もおいしくなっているという視点もあり、やはり野菜は子どもたちにとって日陰者のようです。

旅行に行ってホテルでバイキング(ビュッフェ)は、その人の食事嗜好が如実に現れます。
よくある光景として、揚げ物やステーキ、焼きそばやカレーばかりを持ってくる人に対し「お前の皿、茶色いな」と言われるのは若い男性のあるあるです。
それに比べると、女性はたくさんの種類を少量ずつ皿に盛っていて、まさにバランスの良い食事です。

また、今回見てきたデータでは、高齢者ほど野菜摂取量は多い結果でした。
僕も年を重ねるにつれ、油が多い食事から少しずつ遠ざかりつつあります。
肉の代替として、昔ながらの和食や粗食が好きになっており、そこに野菜の割合は多い。
若いときに比べ食べる量も減っており、そのうえ肉摂取割合が低くなっているので、野菜の割合は明らかに増えています。

知り合いの農家の方と話をしていると、いまの野菜は昔に比べて明らかに品種が良くなっていると言います。
病害虫に強く収穫量も見込める品種が増え、逆に農薬をたくさん使った野菜はいまの消費者から受け入れられない。
総じて、野菜がおいしくなっているようです。

さらにはECと物流が日本の大半の地域に張り巡らされた結果、一昔前には入手困難な地域の特産物も手に入る。
あるいは、SDGsも含め、これまでは一般流通・スーパーなどでは並ばなかった、型崩れしたような食品も少しお値段を安くして受け入れられる土壌ができている。

おいしいものはおいしい。
野菜もそのご多分に漏れず、おいしいものが増えている。

少し前にこのブログの「味噌」の文章に記載しましたが、年を取るにつれて汁物が良いと感じるようになりました。
少しのお肉や魚介が入った具たくさん野菜スープは、栄養が逃げない点でも理想的な料理です。

さいごに

19世紀に化学肥料が登場し、特に窒素肥料の普及により、作物収穫量が大幅増加しました。
第二次世界大戦後、日本を含む多くの国々で深刻な食糧不足に対し、化学肥料の利用により農業生産が劇的に回復、食糧危機を乗り越えるました。

一方で、化学肥料の使用による環境や環境汚染のお話も、世界各国で発生しています。
少し前にも世界中で話題となった、ある農薬でミツバチが大幅減少し、農業や生態系に影響を与えました。
環境や生態系に悪影響を与えたり、今だけ良ければ何でもよしの考え方はすでに時代遅れです。

地球全体のバランスを考えるのと同じく、人間の食べ物もバランスが求められます。