若いご夫婦ほど意思決定時は協調型、事前共有とバランス配慮はお互いへの敬意

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・高価なもの購入と親戚付き合い夫婦で意思決定しているご家庭が多い
・家計の管理と育児や子どもの教育は妻が意思決定しているご家庭が多い
・妻の年齢別にみると、若年層ほど夫婦で一緒に意思決定している割合が高い
・国際比較すると日本を含むアジア圏の国は妻が家計管理の決定者割合が高い
・その他の国は夫婦で決定しているご家庭が最多

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高価なもの購入と親戚付き合いは夫婦で、それ以外は妻の意思決定割合が高い

調査年別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布 車や耐久消費財など高価なものの購入
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は「車や耐久消費財など高価なものの購入するとき」の夫婦の意思決定者情報です。
14年間の推移では、ほとんど変化はありません。
一番多いのは「一緒に」で2008年52.3%、2022年50.3%、前後比-2.0%です。
14年で増加しているのは「夫」で2008年35.8%、2022年38.2%、前後比+2.4%です。

調査年別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布 家計の分配や管理・運営
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は「家計の分配や管理・運営」の夫婦の意思決定者情報です。
一番多いのは「妻」で2008年66.6%、2022年62.3%、前後比-4.3%と少し減少していますが全体の約2/3は妻が意思決定者です。
「夫」は2008年13.1%、2022年14.9%、前後比+1.8%と微増です。

調査年別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布 親や親族とのつきあい
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は「親や親族とのつきあい」についての夫婦の意思決定者情報です。
14年間で減少しているのは「夫」で2008年8.9%、2022年6.2%、前後比-2.7%です。
14年間で増加しているのは「妻」で2008年35.3%、2022年37.8%、前後比+2.5%です。
親や親族との関係性については、妻側に決定権が傾きつつあります。

調査年別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布 育児や子どもの教育
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は「育児や子どもの教育」についての夫婦の意思決定者情報です。
14年間で増加しているのは「妻」で2008年49.8%、2022年58.0%、前後比+8.2%です。
この文章ブロックの中で一番、全体変化が大きい。
一番減っているのは「一緒に」で2008年47.5%、2022年40.3%、前後比-7.2%です。

若年層ほど夫婦で意思決定している

妻の年齢別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布(2022年調査)車や耐久消費財など高価なものの購入
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は妻の年齢別「車や耐久消費財など高価なものの購入するとき」の夫婦の意思決定者情報です。
特徴としては、若年層ほど「一緒に」の数値が高い。
29歳以下は「一緒に」は65.4%と、大きな買い物をするとき夫婦で一緒に考えるご家族は約2/3です。

妻の年齢別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布(2022年調査)家計の分配や管理・運営
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は妻の年齢別「家計の分配や管理・運営」の夫婦の意思決定者情報です。
年齢が上がる毎に「妻」の管理割合が増えています。
29歳以下は「一緒に」の数値が、全区分内で一番高くなっています。

妻の年齢別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布(2022年調査) 親や親族とのつきあい
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は妻の年齢別「親や親族とのつきあい」の夫婦の意思決定者情報です。
29歳以下のみ「一緒に」の数値が72.9%と高いですが、それ以外の区分はほぼ同値です。

妻の年齢別にみた妻と夫の間での主たる意思決定者の分布(2022年調査)育児や子どもの教育
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)

上記は妻の年齢別「育児や子どもの教育」の夫婦の意思決定者情報です。
妻の年齢が高くなるにつれ「妻」が意思決定している割合が高くなっています。
これまでのグラフ情報と同じく、若年層が「一緒に」の割合が高い。
他の特徴として、このアンケート結果では「夫」の割合が極端に低くなっています。

国際比較するとアジア圏は妻が家計管理最終決定者

国際比較 家計費管理における最終決定者
出典:平成15年版男女共同参画白書(男女共同参画局)

上記は、家計費管理の最終決定者がだれかの国際比較情報です。
地域ブロックで分けると、日本・韓国・フィリピンは「妻」が最多、そのほかの国は「夫婦」が最多になっています。
そのほか全体的に言えるのは「夫」の割合は低く、一番高い国「イギリス」で22.3%です。
「家族全員」の回答が一番多い国はスウェーデンで7.8%。
アジア圏は家計管理を妻がするご家庭が多く、それ以外の国は「夫婦」一緒にその次は「妻」という結果です。

意思決定時に納得しているか

あるご家庭で洗濯機が壊れ、買い換えするケースについて夫婦や家族でどうやって購入決定しているのかシミュレーションしてみます。

洗濯機を一番使うのは奥様。
妻以外の洗濯機を使う家族メンバーとして、子どもはまだその対象とならないとして、夫が洗濯機を回すのは年数回とするなら、奥様専用機器と言って良いものです。
この洗濯機を買い換えるにあたって、どう意思決定するか。
仮にこの家庭のご主人は電化製品に詳しく、情報収集や比較が好きな性質だったなら選択時の戦力になり得ます。

夫の情報収集能力を生かして世の中一般の動向、最新機器について各メーカーがどんな技術を投入しているのか。
各メーカーの差や昨年モデルとの比較をネットで調べたり、家電量販店の店員さんに相談してパンフレットを集めてくる。
その情報を妻に「このメーカーはここが特徴でわが家にあっている」と説明(プレゼン)する。
奥様はそれを聞いて、自分の目的(日頃使ったときどうなるのか)想像して、候補を絞る。
最終決定は奥様の好みかもしれませんし、その時、たまたま安くなっていた製品かもしれません。

上記であれば、夫婦で協力して洗濯機を選んだといえます。
使ってみて微妙な機能があったとしても、この洗濯機この点がイマイチだったのよね、くらいの夫婦間の愚痴で終わりそうです。

逆にどちらか一方が相手に相談せずに決めたとして、奥様がメインユーザーで奥様が一人で決定するのは波風は立たないかもしれません。
しかし、夫が勝手に代替洗濯機を奥様に相談せずに購入するのは炎上可能性の高い対応です。

これは洗濯機に限ったお話ではなく、夫婦で意思疎通の努力しているのかとも言えます。
洗濯機は大型家電で一度買うと10年は使うと考えるなら、毎日不平を思い出させるような状態は避けるべく、納得度が高い方が良い。
さらに大きな買い物として、たとえば家を買うなら夫婦以外、子どもの意思をどこかまで尊重する必要も出てきます。
今の時代、子どもを全無視の親は少なくなっていると思いますが、家を買うなら初期段階から意見を聞いておかないと、厄介なことにもなり得る。
もちろん、意見が多くなるほど、収拾がつかなくなるデメリットもあります。
家族であっても意見は違うのが当たり前で、全意見をクリアできる妙案は蜃気楼のようなもの。

意思決定時のキーポイントは一定の納得度です。
その前提としてコミュニケーションがあり、日ごろから協力体制が築けているかなのかもしれません。

人間は他人から強制されるのを嫌います。
相容れない意見であってもどこか落としどころを見つけなければいけない現実課題に対し、どれだけ調整・説明に時間を使ったのか。

家族を一定以上の状態に保っていくには、しこりが残った状態をなるべく作らない方が良いのは言うまでもありません。
仮に今回は自分の意見を通したのなら、次回は相手の意見を尊重するなども一案です。
そして、相手の話を聞く姿勢、信頼の貯蓄を家族全員が気を付け、それが当たり前の風土を醸成しておく。

バランスの取れた意見調整は、家族の最大幸福化に役立ちます。

さいごに

家族の誰かに何かお願いする時、「指示型」と「担当型」に分類します。

「指示型」は、「あれ買ってきて」と相手に判断を必要としないやり方。
「担当型」は、事前にこれはあなた/これは私で、基本は担当者が自分で蹴ってする方式として、役割を事前調整しておく。

現代の若いご夫婦を見ていると、夫婦で調整されている割合が高くなっていると感じるので、「担当型」が増えているのかもしれません。
対し「指示型」の未来は「指示待ち型」人間が作り出され、良いことはありません。