魚の消費量は四半世紀で約半減、サケは一番減少幅が低いがそれでも-11.5%

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・魚介類購入頻度はここ24年で67.7%に減少
・分類別では「生鮮魚介」の減少が一番大きい
・魚介類支出金額もここ24年で67.6%に減少
・中分類「生鮮魚介」の平均単価はここ24年で+44.8%
・世帯年収別の購入頻度・支出金額は大きな差はない
・世帯主年齢別でみると年齢が上がる毎に購入頻度・支出金額は増加

 

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魚介類はここ24年で約2/3に減少

魚介類 購入頻度 全体
出典:家計調査(総務省)

上記は24年間の魚介類の購入頻度です。
この購入頻度とは、調査世帯が当該項目を家計簿に何回記入したかを示すもので 1年間・100世帯当たりの回数です。

2000年25,686、2023年17,380、前後比-8,306(67.7%)と約2/3に減っています。
魚離れと言われていますが、たしかに魚を食べる機会が減っています。

この数字、100世帯当たりの1年間なので、1世帯でみると2023年は174回、魚介類が購入されています。
365日÷174回=2.09なので、2日に1回は魚介類を購入している。
魚離れが進んでいても、日本人にとって魚が身近な食材と言えます。

魚介類 購入頻度 「生鮮魚介」「塩干魚介」「魚肉練製品」
出典:家計調査(総務省)

上記は一番大きい単位の「魚介類」ではなく、その1つ下の分類「生鮮魚介」「塩干魚介」「魚肉練製品」の購入頻度推移です。
「生鮮魚介」は2000年13,033、2023年7,187、前後比-5,846(55.1%)。
「塩干魚介」は2000年4,622、2023年2,961、前後比-1,661(64.1%)。
「魚肉練製品」は2000年4,926、2023年4,513、前後比-413(91.6%)。
絶対数としては「生鮮魚介」が一番大きいが減少幅は一番大きい。
「魚肉練製品」の増減率を見ると91.6%と10%弱減少で、他の2つよりはその減少幅が小さいようです。

魚介類 購入数量
出典:家計調査(総務省)

上記は、魚介類の中分類別・購入数量です。
1つ上の購入頻度とほぼ同じ推移ですが、減少率はそれぞれに大きくなっています。
「生鮮魚介」は2000年44,188、2023年18,468、前後比-25,720(41.8%)。
「塩干魚介」は2000年11,184、2023年5,826、前後比-5,358(52.1%)。
「魚肉練製品」は2000年5,411、2023年3,297、前後比-2,114(60.9%)。
1つ上の購入頻度の増減率で「魚肉練製品」は91.6%でしたが、購入数量は60.9%と大きく減っています。
3分類とも購入数量は減っていますが、「魚肉練製品」は単価が高くなっているなどの要因が考えられます。

魚介類支出金額も約2/3に減少

魚介類 支出金額 全体
出典:家計調査(総務省)

上記は魚介類の支出金額推移です。
2000年110,868、2023年74,978、前後比-35,890(67.6%)。
支出金額の減少幅はこの文章の一番上のグラフ、「魚介類 購入頻度 全体(67.7%)」とほぼ同値です。

魚介類 支出金額 「生鮮魚介」「塩干魚介」「魚肉練製品」
出典:家計調査(総務省)

上記は魚介類の支出金額、中分類の推移です。
「生鮮魚介」は2000年67,847、2023年41,059、前後比-26,788(60.5%)。
「塩干魚介」は2000年19,876、2023年13,665、前後比-6,211(68.8%)。
「魚肉練製品」は2000年10,425、2023年9,115、前後比-1,310(87.4%)。
どれも減っていますが、「生鮮魚介」が一番大きく、生の魚介は食卓に登場する機会が減っています。

魚介類 平均価格
出典:家計調査(総務省)

上記は中分類の「魚介類」の平均価格推移です。
2000年153.54、2023年222.33、前後比+69(144.8%)と、約1.5倍になっています。
可処分所得が増えていないのであれば、購入価格が上がり消費が減るシナリオは自然の流れです。

年齢が高いほど魚介類をよく食べる

魚介類 購入頻度・支出金額 世帯年収別
出典:家計調査(総務省)

上記は世帯年収別、魚介類の購入頻度・支出金額です。
世帯年収が高かったり低かったりで、大きな傾向はありません。
購入頻度が一番高い層は「300~350万円」20,037、一番低い層は「700~750万円」15,308。
「支出金額」÷「購入頻度」で算出できる1回当たり金額で見てみると、1位は「1,500万円以上」5.23回、最下位は「200万円未満」3.83回で、当たり前と言われそうですが年収が高いほど1回当たりの購入金額は高い。

魚介類 購入頻度・支出金額 世帯主年齢別
出典:家計調査(総務省)

上記は世帯主年齢別、魚介類の購入頻度・支出金額です。
こちらはクリアに分かりやすく、「支出金額」も「購入頻度」も年齢が高いほど数値が高い。
歳を取るとお魚を食べる頻度が増えます。

サケの減少幅はここ23年で約1割減少

この文章を書こうと思ったきっかけは以下の「サケ」が最近中国で需要が伸びているニュースを読んだためです。

中国の養殖サーモンの需要は前例のないペースで伸びている。2023年の輸入量は前年比46%増加し、特に生鮮および冷蔵のアトランティックサーモンの輸入量は63%増加した。

出典:How China’s appetite for salmon could reshape global seafood markets(The Conversation)

「サケ」と言えば回転ずしの1番人気のネタです。
わが家の子どもも回転ずしに行くと必ず何皿か取っていますし、自宅でサーモンの刺身があると喜んで箸を伸ばします。

にもかかわらず、今回上記で見たここ四半世紀の日本国内の魚介類需要は減少していました。
とはいえ、その中で一番減少幅が小さい種類は以下の通りサケでした。

魚介類 購入頻度 小分類 2000年vs2023年
出典:家計調査(総務省)

上記グラフ内、すべての種類の魚の購入頻度が減少しています。
全体平均では-49.9%と、約半数。
その中で一番減っていないのは「サケ」で、ここ四半世紀で-11.5%です。

この期間、日本の総人口は2000年1.268億人、2023年1.245億で-20万人とほとんど変わっていません。
人口は変わらず、魚消費全体は半分とすると、サケは生き残っている種類です。

考えると、スーパーで刺身コーナーに行くとサケはたいていある。
お店側も売れる商品を取り扱うが基本のため、この時点でサケは人気食材です。

刺身として一口大の切り身になっているものは、皿に移し替えればすぐに食卓に出せます。
ブロックで販売されているもは、ひと手間加えてカルパッチョや、軽く火を通してステーキ、サケ茶漬けもある。
そして、たいていの日本人がサケの味に慣れており、養殖が成功した品種なので安定供給されている食材です。

僕はサーモンのお寿司が好きです。
甘味と脂が、サーモンの味の特徴だと思っており、普通にネタとしてお寿司になっているものも、ノリで巻いた海苔巻きも良い。
一番好きなのは炙りサーモンで、養殖ならではの脂がのっているサケを炙ったお寿司は、回転ずしでは必ず注文します。
口の中に入れたときに、じゅわっとあふれるサーモンのうま味は、安価な回転ずしのお値段としても大満足です。

今回見た上記のデータで、年齢が上がる毎に魚を食べる頻度が高くなっていました。
自分が歳を取り、いまは脂身の多い肉より魚を欲する体になりつつあり、いまリアルに実体験しています。

家計に不安を感じる人が増えている現代、消費者に購入されるものは値段のウェイトが高くなっています。
肉に比べ高価になりがちな魚。
意識して魚を食べないと(習慣)、魚離れは進行していくと思っています。

さいごに

肉に比べお魚はデメリットとして骨があったり、調理に手間がかかります。
お肉は安定供給されており、金額的には安価なものも選べるため、いまは魚派より肉派が多いのはうなづけます。
魚もブランド品種がありますが、ブランドとなった商品数で比較するなら肉に軍配が上がる。
そして、ブランド名がついて一般流通しているものは、ほぼ間違いなくおいしい。
美味しくない食材が減ったというのが正しいのかもしれませんが、いまは魚でも肉でもおいしいものが多いと感じます。