非正規雇用は微増を続けているが、直近の若者の非正規雇用は減っている

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・ここ23年で非正規雇用の増減率は+7.4%
・女性の非正規割合は半数を超えている
・非正規の約半数はパート
・年齢別では65歳以上が非正規雇用割合が最多
・宿泊業や飲食サービス業の約3/4は非正規
・非正規雇用を選ぶ理由の1位は「自分の都合のよい時間に働きたいから」
・「正規の職員・従業員の仕事がないから」を理由に非正規を選ぶ人は減っている

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非正規雇用割合は増加を続けていたが直近は減少している

職員・従業員の雇用形態 正規か非正規割合
出典:労働力調査(総務省)

上記は職員・従業員の雇用形態について、正規か非正規割合推移です。
ここ23年で少しずつ非正規割合が増えました。
非正規割合は2002年29.4%、2024年36.8%、前後比+7.4%です。
非正規割合のピークは2019年の38.3%で、2020年以降微減傾向です。

 

男女別 非正規割合 推移
出典:労働力調査(総務省)

上記は男女別の非正規割合推移です。
男性・非正規は2002年15.0%、2024年22.5%、前後比+7.5%。
女性・非正規は2002年49.3%、2024年52.7%、前後比+3.4%。
非正規雇用にはパートやアルバイト含まれているので、女性の割合は高いと言えます。

非正規の中の約半数はパート

年齢別 非正規割合 推移
出典:労働力調査(総務省)

上記は年齢別の非正規割合推移です。
この期間、割合・増加率ともに1位は「65歳以上」で、2024年非正規割合は76.9%です。
2位は「55~64歳」2024年43.1%で、2002年37.5%、前後比+5.6%です。
年齢別で唯一減少しているのは「15~24歳」2002年29.7%、2024年23.7%、前後比-6.0%です。
日本は労働人口減少時代に入っており、いまの就活生にとっては売り手市況です。

非正規の中での就業形態別割合
出典:労働力調査(総務省)

上記は非正規の中での就業形態別割合です。
非正規の中で最大ボリュームは「パート」で、2024年48.4%と半数弱
「パート」の2002年は49.5%なので、この期間ほぼ変化はありません。
他に2002年と2024年を比べると、「派遣社員」+4.3%、「契約社員」-2.8%です。

業種別 非正規従業員・職員の割合
出典:労働力調査(総務省)

上記は業種別の非正規割合です。
この中の1位は「宿泊業,飲食サービス業」76.1%と約3/4が非正規です。
2位は「農業」56.0%で、繁閑があるからなのか半数以上が非正規です。
下の方に位置付けている「建設業」15.6%、「情報通信業」14.0%は正規従業員が多い業種です。

非正規雇用を選ぶ理由の1位は「自分の都合のよい時間に働きたいから」

非正規 現職の雇用形態についた主な理由 2025年 男女別
出典:労働力調査(詳細集計)2024年(令和6年)10~12月期平均(総務省)

上記は、非正規雇用者が現職の雇用形態についた主な理由、2025年の男女別情報です。
男女とも1位は「自分の都合のよい時間に働きたいから」で、全体に占める割合は34.9%。
女性の2位は「家計の補助・学費等を得たいから」21.1%、男性の2位は「その他」21.8%です。

非正規 現職の雇用形態についた主な理由 推移
出典:労働力調査(詳細集計)2024年(令和6年)10~12月期平均(総務省)

上記はここ5年の非正規者、現職の雇用形態についた主な理由です。
増加しているのは「自分の都合のよい時間に働きたいから(前後比110.1%)」と「家事・育児・介護等と両立しやすいから(前後比108.6%)」の2つす。
核家族化と介護は、いまの社会で良く出てくる事象です。
唯一減少しているのは「正規の職員・従業員の仕事がないから(前後比80.4%)」で、人手不足がここからも見て取れます。

(物語)非正規であっても自分の道を選ぶ

正社員として日本の企業で働く敦司は、30歳過ぎのプログラマー。
仕事にも慣れ、大きな不満はない環境ですが、それが退屈にも感じていました。
彼の毎日は、まるで同じ風景を繰り返す映画のようでもありました。

エンジニアなので技術進歩が速い世界、ついていくために技術勉強は続けています。
社外セミナーに顔を出すのは初対面の人とかかわりが苦手なのであまり参加しませんが、社内技術交流会などは参加する。
出席すれば、これががあの技術でできるんだ、と刺激を受けることもしばしばでした。
それは、変化の少ない自分の日常に対し、危機感を持たないといけないと突き付けられるようでもありました。

このままで良いのかもやもやしていたところ、シリコンバレーで活躍している日本人の方の本を読み、そういう世界があることに気づきました。
類似書籍を何冊か読み、著者のブログやSNSを読んでいると、まずは米国の就業の厳しさが想像できます。
退職勧告(クビ)は日常、スタートアップ企業なら非正規雇用どころか給料ゼロの話も出てきます。
まずは実績作りが必要で、下働きで粛々と働き自分を売り込む。
非正規ポジションですが、実績がなければだれからも相手にしてもらえない世界。
孤独ですが一人でいるのが苦にならない哲也にとって、挑戦権はありそうだと考えていました。

哲也は昔から一匹狼的な立ち位置が多く、学生時代の友人からは「変な奴」扱いされていました。
やや達観したような人生観を持っており、チームプレーも嫌いではありませんがそれは処世術のように感じてもいる。
どちらかというと一人でいる時間が好きで、自宅でよくロックをヘッドホンで聞いていました。

哲也は大学を卒業してすぐにいまの組織に就職しました。
20台後半で少しだけ仕事の勘所が分かってきたころ、に大きなプロジェクトが終わったタイミングで2週間の休暇を取得して、一人で海外にでかけました。
海外では新たな気づきがたくさんあり、世界の広さを知り、海外旅行にはまりました。
1年に1度はできる限り長期の休みを取って出かけるようになりましたが、日本の会社で長期休暇を取得する同僚はほとんどいません。
休暇取得の根回しをするのも面倒くさく、この辺りも小さな不満として積みあがっていました。

ニュースを見ていても、世界できな臭いトラブルは各所で発生しています。
日本国内に目を向けると、人口減少で市場縮小に向かっており、人々はより保守的になっているようにもとれる。
自分の仕事は幸いIT関係で、パソコンがあればどこでもでき、かつ世界的に需要はある。
自分がいま乗っている船が、この先も安泰とは思っておらず、会社にしがみつくのではなく自分の技術でどこでもやっていけるような人になりたい。

渡米してそれなりの給与を得られるまで苦難100%どころか1000%だろう。
ただ、振り返ってみるといままでのプロジェクトでも随分難題を乗り越えてきました。
それは哲也にとって自信につながっており、根拠はありませんがなんとかなる気もする。
最初は非正規雇用から始まるのは当たり前として、またゼロから積み上げる覚悟を持てばたいしたことはない。
最悪、日本に戻ってフリーランスや契約社員で生きていける逃げ道もある。

大事なのは雇用形態ではなく、どんな状況でも生きていけるスキルとメンタルを持つこと。
それを自分が望んだ将来像だと覚悟を決め、哲也は動き出しました。

さいごに

なんのために働くか考える時、大きなインパクトを残した事象として、東日本大震災とコロナウイルス渦があります。
東日本大震災では、失われるときは一瞬で人生観や死生観を考える事象でした。
コロナウイルス渦ではリモート業務が普及し、会社と距離感を考えるきっかけになりなりました。
会社に朝早くから夜遅くまでいるのが幸せなのか、リモート業務で夜ご飯を家族で食べるようになった人は思うところが多いと僕は考えています。

働く大半に理由は「お金を稼ぐ」です。
ただ、お金だけではない何かも、いままで見て見ぬ振りしていなかったか。

お金は大切ですし、近年の物価上昇や可処分所得減少で、その重要度は上がっています。
お金のために働く必要があるとして、望まない非正規は良くありませんが、意図的に選択した非正規雇用も存在します。