太陽光発電量は年々増加、個人宅への太陽光発電設置費用は年々減少

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・日本国内の太陽光発電量は年々伸び続けている
・年毎に見ると、近年、新規の発電量は減っている
・全電源に占める太陽光発電量は増え続けている
・世界で見ると日本の太陽光発電量は3位
・個人宅への太陽光発電設置費用は下がり続けている
・個人宅で発電した電気を売る売電価格は下がり続けている
・1世帯当たりの電力消費量は2010年以降減少傾向

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太陽光発電量は伸び続けている

日本の太陽光発電導入量(出力)の推移
出典:日本の太陽光発電導入量の推移(日本原子力文化財団)

上記は日本の太陽光発電の出力量推移です。
近年、伸び率こそ鈍化していますが、それでも増加の一途をたどっています。
前年比で一番伸び率が大きかったのが2013年の193.9%です。

太陽光発電 運転を開始したもの
出典:再生可能エネルギーの導入状況(資源エネルギー庁)

上記は年別、運用を開始した太陽光発電量、住宅と非住宅の情報です。
まず、住宅の太陽光発電開始量はグラフ内青色線で、全体から見ると相当小さい。
2022年でも住宅用太陽光発電の全体に占める割合は23.0%です。
グラフ内灰色の発電の大半を占める非住宅の太陽光発電開始量は減ってきています。

全電源に占める太陽光発電の割合
出典:国内の2022年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(環境エネルギー政策研究所)

上記は日本国内で全電源に占める太陽光発電の割合推移で、このグラフ2030年は予測値です。
1つ上のグラフでは太陽光発電の開始量が減っていますが、全電源全体に占める太陽光発電量は伸び続けています。
予測値ですが2030年は太陽光発電の全電源に占める割合は増えており、15%になっています。

世界でも太陽光発電は伸び続けており中国が圧倒的

2022年世界の太陽光発電出力量
出典:日本の太陽光発電導入量の推移(日本原子力文化財団)

上記は2022年の世界の太陽光発電出力量です。
1位中国が圧倒的で、全世界の太陽光発電出力のうち35.0%が中国です。
2位アメリカ12.0%、3位が日本で7.2と日本は太陽光発電上位の国です。

各国の電源構成 再エネの割合
出典:再生可能エネルギーの導入状況(資源エネルギー庁)

上記は各国の電源構成のうち再生可能エネルギーの割合です。
1位ドイツ40.7%、僅差の2位イギリス40.2%、3位はやや下がってEU全体で28.8%。
EUは再エネに注力している国が多い結果です。
太陽光エネルギー発電量では圧倒的であった中国の再エネ割合は15.5%で6位です。
日本は14.1%で8位です。

家庭で太陽光発電設置費用は下がり続けている

太陽光発電の設置費用の平均の推移
出典:【2024年】太陽光発電の設置費用の相場は?機器の価格や売電収入との関係についても解説(東京電力)

上記は東京電力の情報で、太陽光発電の設置費用の平均推移です
総論は右肩下がり、全体では2012年は1KWあたり46.5万円でしたが、2023年は28.4万円と約39%下がっています。
技術の進歩や製品普及効果で、太陽光発電自体の費用が下がっているのはよく聞きます。

太陽光発電の買取価格
出典:買取価格・期間等(経済産業省)

上記は太陽光発電の買取価格推移です。
10KW以上、10KW未満とも右肩下がりで、売電価格は下がり続けています。

一世帯当たりの月の電力消費量
出典:日本の電力消費(電気事業連合会)

上記は1世帯当たりの月の電力消費量推移です。
データは2015年までですが、このあとも省エネ家電の普及により下がっています。

新築個人宅への太陽光発電設置にはいまは良いタイミング

再生エネルギー拡大は社会全体の流れだと感じます。
以下、東京都の施策ですが、太陽光発電自体の寿命が経過したパネルの廃棄など課題はありつつも、太陽光発電は拡大していきそうです。

都はエネルギー大消費地の責務として、2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減する「カーボンハーフ」の実現に向け、再生可能エネルギーの利用拡大を推進しています。
こうした背景のもと、新築住宅等への太陽光発電設備の設置、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度を創設しました。

出典:太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります(東京都)

上記ページによると、4キロワットの太陽光パネルを新築住宅に設置した場合、売電収入により6年で初期投資が回収できるとなっています。
一般家庭で発電した売電価格は年々下がっていますが、東京都からの補助金40万円を加味すると、6年という短い期間でそれ以降はプラスになるのは、一般家庭にとって大きなメリットです。
僕の記憶内の情報ですが、一昔前は10年が個人宅への太陽光発電の採算分岐時期と言われていました。

この先の電気料金を予想すると、上がることはあっても下がる要素は少ない。
エネルギーコストや輸送費、人件費などは上昇、円安もどうなるのか見通せない。
原油の全世界の消費量は、近年で頭打ちになると予想されていますが、それが価格に転嫁されるのは先です。
2025年4月から都内で新築住宅を建てるなら、よほどの理由がなければ太陽光設置する「一択」です。
ただリスクとしては以下のように売電できない可能性はあります。

秋の昼間の電力の「タイムセール」が広がっている。太陽光発電が拡大する中、春や秋にはエアコンなどの電力需要が減り、晴れた日に発電を一時的に止める事態が頻発しているためだ

広がる秋の電力「タイムセール」 背景に相次ぐ太陽光発電の一時停止

太陽光発電は日中ピークで、供給が需要を上回ってしまい電力会社から買い取ってもらえない。
自宅で太陽光発電して、自宅使用量を超える部分を売電できなければロスとなってしまう。
個人ができることはありませんが、海外で導入されている重力発電(重力蓄電)は、1つの解決策だと僕は考えています。

夜間等の安い電気で「ブロック」を持ち上げておき、電気が必要な時にそれを落として発電するという重力式エネルギー貯蔵システム。ソフトバンクグループやサウジアラビア国営石油会社が出資するスイスのエナジー・ボールドが開発している。水力発電の揚水発電に似ており、揚水発電が夜間電力で「水」を上池に貯めて電気を蓄える代わりに、重力式エネルギー貯蔵システムではクレーンで「ブロック」を持ち上げ、高い位置に積み上げることで電気を蓄えるもの。

出典:「ブロック」を使った低コストに蓄電する技術(重力式エネルギー貯蔵システム)(一般財団法人 新エネルギー財団)

ダムを作るのはハードルが高く、ダムではなくどこかの土地で重力発電を設置できるのは大きなメリットです。
都心部に近いそれなりの大きさ土地が確保できるなら、送電ロスも抑えられます。
また、日本の地理特性である山を傾斜を利用してロープウェー方式で実現する案も考えられます。

何にせよ、環境負荷を考えるのが標準な時代になってきました。
SDGsの言葉が出たころは、本当に世界全体で環境配慮思想が広がるか僕は懐疑的に見ていましたが、現実では企業はもちろん、子どももSDGsを知るようになりました。

子どもが標準知識として知っていて、その子どもたちがそれを当たり前と考える大人になればそれは社会標準です。
これだけ夏が暑くなるといま、地球温暖化も社会問題として全員が知っています。

真夏が太陽光発電に最適な時期ではありませんが、暑い日差しを浴びると太陽光発電で電力が作られるのは連想できます。
その太陽光発電設置は、個人の懐にプラスとなる環境が整っています。

さいごに

東京電力のサイトに「でんき予報」という、発電量(供給量)と消費量の情報があります。

これを見ると、2024年8月の1か月間で95%を超えた日は2024/08/05の1日だけです。
他の日は95%未満で、90%未満日数は21日と東日本大震災後の原子力発電停止時期にくらべると電力に余裕があります。

この先、太陽光発電割合がいま以上に高くなるなら、電力会社側で発電する必要性が減ります
電力需要が減れば化石燃料を燃やす発電量を減らすだけなので、この割合が大きく減ることはないと思っています。

化石燃料を燃やして電力を作り出すのが昭和から令和だとして、未来人はどんな発電源でエネルギーを賄っているのか。
良く言われますが、いつか人類が何らかの方法でエネルギー問題を解消したとき、争いのネタは1つ減ります。