この文章のトピックスは以下です。
・海苔収穫量のピークは1994年
・2024年のり収穫量はピーク時の59.6%
・2024年都道府県別のり収穫量1位は兵庫県
・のり年間支出金額はここ11年で約133.2%と伸長
・政令指定都市別のり支出額1位は佐賀市
2024年のりの収穫量はピーク時の59.6%

出典:海面漁業生産統計調査(農林水産省)
上記はのり収獲量、1956年~2024年の情報です。
全体は山型で、最も収穫量が多かったのは1994年483,196t。
2024年195,048tで、1994年に比べると40.4%と約6割減少しています。

出典:海面漁業生産統計調査(農林水産省)
上記はのり収獲量、2000年~2024年の情報です。
2000年からをみると、右肩下がりです。
2000年391,681t、2024年195,048t、前後比-196,633t(-50.2%)です。
この期間は日本の人口減少期ではありますが、人口減少幅よりのり収穫量減少の方が大きい。
2024年の都道府県別のり収獲量

出典:海面漁業生産統計調査(農林水産省)
上記は2024年・都道府県別、のり収獲量上位からの順番です。
1位は兵庫49,368t、2位佐賀42,662t、3位福岡27,462t。
有明海に面する佐賀が少し前まで1位でしたが、2024年の1位は兵庫。
4位は熊本26,006tなので九州がのり主要産地ですが、兵庫はそこを上回っています。
のり年間支出金額はここ11年で約1.3倍

出典:家計収支編 二人以上の世帯(家計調査)
上記は2人以上世帯・家計調査による、のり年間支出金額です。
グラフでは一貫して金額が上がっています。
2015年¥2,599、2025年¥3,461、前後比+¥862(133.2%)。
この期間のり収穫量は下がっているので、単価が上がっている。
また物価高の期間でもあり、その流れに乗るようにのり支出金額も上がっています。

出典:家計収支編 二人以上の世帯(家計調査)
上記は2023~2025年政令指定都市の2人以上世帯、のり年間支出額です。
1位佐賀市¥5,653、2位徳島市¥4,291、3位浜松市¥3,957。
4位周辺は関東が固まっています。
最下位は九州の宮崎市ですが、全体傾向では内陸部や北側に位置する政令指定都市の支出金額が低い。
のりは環境影響や社会情勢で漸減
上のグラフで見てきた通り、のり収穫量・消費量とも2000年以降は減少を続けています。
収穫量が減少している理由としては以下。
・海水温の上昇(地球温暖化)
海苔の生育に適した水温(一般に15〜20度前後)よりも、秋から冬にかけての海水温が高止まり。
これにより養殖の開始が遅れたり、網から海苔が脱落・死滅。
・海中の「栄養塩」の不足
下水処理場の高度化や環境規制が進んだ結果、海へ流れ込む窒素やリンなどの栄養塩(プランクトンの栄養であり海苔の成長に不可欠)が減少。
海苔が色落ちしたり育たなくなったりしている。
・魚介類による食害(チヌなど)
クロダイ(チヌ)などの魚が、養殖網に育った美味しい海苔を食べてしまう。
・生産者の高齢化とコスト高原因
担い手不足。
養殖に使う資材費や燃料費が高騰。
生産体制そのものが縮小傾向にある。
・贈答文化の減少
お中元お歳暮などで贈られていたのりだがその文化が廃れている
1次産業の高齢化・後継者不足はどの業界でも深刻で、のりにおいても同じ。
また、環境変化の影響を受ける産業なので、地球温暖化がこの先も見えているので見通しが暗い。
また、供給側ではなく消費量も減少傾向にある。
・食の欧米化と米離れ
朝食のパン食が増えご飯と海苔を食べる習慣が減った
・価格の高騰(値上がり)
度重なる不作による供給不足から、スーパーなどで販売される海苔の価格が値上がりが続いている。
・食の簡便化
個食化の進行自分で手巻き寿司をしたり、おにぎりを握ったりする機会が減った。
外食や中食(コンビニ弁当など)の利用増加に伴い家庭用需要の先細り。
のりについて未来予測を考えると、総論は厳しい。
上記の流れがどこかで断ち切られるかというと難しく、不可逆とは言わなくともどれも反転させるには相当の何かが必要です。
もちろんのり業界も何もしていないわけではなく。
陸上養殖やテクノロジー活用で、気候変動の影響を受けにくい「陸上養殖」の技術開発。
AI・IoTを活用した水温・栄養塩のスマート管理などが出てきています。
他に、品種改良(高温耐性品種の導入)高水温や赤潮に強い新しい海苔の品種開発・普及も進められている。
僕は海苔が好きです。
一時は食べ物の好物を聞かれたときの解答は「のり」と答えていました。
スーパーで手に入る普段使いのりも、味付け海苔も、高級のりもどれもすき。
ホテルの朝食バイキングにのりがあれば必ず手にします。
これだけのり好きなので、大人になってからのりがメインの高級海苔レストランを訪れました。
結論、期待値が高かったのですが、期待値超え。
普段使いの10倍価格はそれだけの価値があるのか人によりますが、少なくとも僕にはその価値はありました。
のりはシンプルなので素材勝負。
ひとくちほおばった時の「得も言われぬ芳醇」さは、幸福と呼べる時間でした。
この先の日本の未来を考えた時、人口減少確定の中、各業界で生き残りを模索しています。
その解決策として「高級化」は、良く出てくるキーワード。
「高級のり」は、世界需要を見据えても妥当だと感じます。
さいごに
味付け海苔が嫌いな子どもは世の中にほぼいないと僕は思っています。
僕は子どもの頃、味付けのりがあると、おやつ代わりにパクパク食べていました。
辞め時が難しい食べ物で、かなりの量を消費していた記憶があります。
よく母親にたしなめられていました。
いま、わが家の子どもも僕の幼少期と同様、味付けのりがあると台所に足を踏み入れたタイミングで1枚食べています。
僕と違うのは1枚で終わっているので、自省できています。

