コロナウィルス蔓延以前までは、中学高校ともに97%~98%の中学・高校で修学旅行が実施されていました。
それがコロナ過になって半数以下に減少し、2023年は徐々に戻っているようです。
修学旅行での班別自主行動率もコロナ過で落ち込みましたが、それ以前は大半の学校で実施していました。
全員が修学旅行を楽しめているとは言いませんが、仲の良い友達との修学旅行は一生の旅の想い出になり得ます。
中学高校の修学旅行はコロナ過以前97%~98%実施
日本の中学高校生の大半は修学旅行に行っていました。
これがコロナウィルス蔓延で、いったん落ち込みました。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
中学校の修学旅行実績、国内と海外の推移が上記です。
最大のトピックスはコロナウィルス蔓延で、2020年度は国内47.8%、海外0%。
半数強の中学で、修学旅行に行っていません。
コロナ過以前は、国内と海外を合わせると約98%が修学旅行を実施していました。
コロナ過以降に修学旅行を実施するか、学校側判断者は相当悩んだと想像できます。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
上記、高校の修学旅行実施状況も、流れは中学と変わりません。
コロナウィルス蔓延前は97%程度の実施、それがコロナ過で中学以上に未実施、2020年度の高校の修学旅行開催割合は、国内と海外を合わせて23.2%(海外は0%)。
2021年度は少し回復して、54.1%が遂行しています。
出典:子供の学習費調査(文部科学省)
文部科学省にあったデータに修学旅行が大半を占める「修学旅行・遠足・見学費」の金額情報がありました。
コロナ過以前まで、公立中学は金額の変化はなく、私立中学は増加傾向。
2018年度の公立中学は\26,217、私立中学は\82,578。
この差は年々開いており、2018年度は315%になっています。
出典:子供の学習費調査(文部科学省)
高校の「修学旅行・遠足・見学費」は中学とは少し違う推移です。
公立私立ともに、コロナ過前までは横ばい。
2018年度の公立高校は35,579円、私立高校は53,999円。
中学は公立私立の差は3倍強でしたが、高校は135.8%です。
修学旅行実施時期は秋から冬、京都と長崎が人気
修学旅行の実施時期をみてみると、気候が穏やかな時期に多く実施されています。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
中学の旅行実施時期は、10月と11月の秋が最多。
夏の暑さが和らいだ時期、本格的な冬になる前の最適な時期です。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
高校の修学旅行実施時期の1位は12月。
10月~12月がボリュームゾーンですが、3月が4番手にいます。
修学旅行と卒業旅行を兼ねてのイベントになっているのか。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
中学の修学旅行先、都道府県別Top10が上記です。
1位京都、2位奈良と昔からの馴染みのある都道府県ですが、1位の京都でも7.7%と圧倒的ではない。
あろは、日本全国の都道府県がまばらに並んでいます。
中学は遠距離ではなく一定範囲内の距離が多いことから、近県の歴史や体験が出来そうな場所に分散するのもうなずけます。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
高校の修学旅行行先の1位は、京都奈良ではなく長崎。
また2位は大阪と中学の行先と上位の顔触れが変わっています。
5位に沖縄が入っており、高校の修学旅行費は中学より高いため、飛行機での沖縄が入っています。
班別自主行動実施率はコロナ過以前までは徐々に上昇
数人の生徒同士で集まって、自分達で旅先での自由時間に目的地を決めて行動する。
高校生であれば生徒達だけでどこかに行くのは日常ですが、見知らぬ土地での生徒だけの行動は気持ちも興奮気味になります。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
修学旅行中に生徒だけで自主行動したかの中学の解答が上記です。
コロナ前までは約9割が自主行動あり、それがコロナ後に3割~4割となっています。
コロナ前までの推移を見てみると、少しずつ上昇しています。
2012年度は80.3%、2019年度は91.0%と約10%の上昇。
出典:教育旅行調査(公益財団法人日本修学旅行協会)
高校の修学旅行中の自主行動ですが、中学同様、コロナ前まで少しずつ上昇。
上昇率は中学より低いですが、2012年度81.6%、2019年度85.0%になっています。
また、中学との違いとして、コロナ蔓延後、中学は3割~4割になったのに対し、高校は5割を超えています。
高校生なので自主的に動けると判断されたと思えますが、それでもコロナ以前に比べると大きく減少しています。
ここまでをまとめます。
・コロナ過以前は国内と海外を合わせると中学では約98%、高校は約97が修学旅行を実施していた
・コロナ後は半数前後の実施率になった
・修学旅行費は私立中学が徐々に上昇していた
・修学旅行実施時期は秋から冬が最多
・人気の行先は京都、長崎
・班別自主行動率はコロナ過以前までは徐々に上昇していた
人によっては一生の記憶に残る
コロナウィルス蔓延で、半数以上の学校で修学旅行を取りやめました。
自分が校長の立場だったなら、2020年や2021年のコロナ自主警察がはびこっていた時、修学旅行を実行する重い判断だと想像します。
この気持ち、自分の中に修学旅行はできれば実施した方が良いの気持ちの裏返しでもあります。
ただ、クラスになじめなかったり、団体行動が苦手な生徒もいる。
現実がどうなっているのか分かりませんが、時代の流れも考えると、参加は任意で良い気もします。
旅費積み立ては全員行いつつ、修学旅行遂行日の3週間前に行く行かないの判断をし、行かない生徒の旅費は全額返金する。
以下、2023年に行われたZ世代に聞いた「修学旅行に行きたいか」の調査結果があります。
修学旅行に関するトレンド調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000095.000026876.html
この調査では修学旅行に行きたいと回答した人が93%と、大半が行きたいと言っています。
それとともに、7%はネガティブな意見で、この人達にどの程度配慮しているのか。
修学旅行中、基本は団体行動で、この環境が苦手な人にとっては厳しいイベントではあります。
とは言いつつ仮に嫌だったとしても、いまの中高生は昔の中高生より物事をスマートに処理しているのは間違いなく。
他人との距離の取り方や、自分の要求ばかりを出さないなど、大きく枠を外れることが少ない世代です。
こうした属性の生徒たちにとって、班別自主行動はどんな影響となるのか。
プラス影響なのは、旅先での非日常の中、いつもの安全地帯から一歩外に踏み出す経験。
友達との距離感も、日常では一歩踏み込めなかったのが、トラブルに際し距離が縮まるなどありそうです。
マイナス影響は意見の相違やケンカですが、そもそも意見が割れてもどちらかが折れてケンカにならないシナリオも多そう。
譲歩した側は、ただ時間が過ぎるのを待つ。
スマホを持っているのであれば、スマホに逃げ込める。
何にせよ、衝突が少なくなった現代において、トラブル自体も修学旅行の良い経験と考えてよいのではないか。
僕は子どもを持ち、より強く感じるようになった点として、経験はその人のその後の人生の財産になります。
失敗した記憶はよほどのインパクトがなければ忘れますし、残るのは楽しかったり印象深かった経験。
そのプラスの記憶がたくさん貯蓄されていると、その後の人生の寄る辺にもなり得ます。
日頃、スマホが身近にあるいまの生徒たちにとって、修学旅行で強制的に外に連れ出されるのは、本当に参加が嫌でなければ、だまされたと思って行った方が良い。
僕は高校での修学旅行の失敗経験が、いまは楽しい記憶として残っています。
さいごに
コロナ過で修学旅行が中止になった生徒たちは、機会損失ですが気持ちを切り替えるしかなく。
引きずってもどうしようもなく、先々、自分の若い時ネタの1つにするくらいしかないかもしれません。
今回の修学旅行についてのネットで見ていて興味深かったのは、島根の公立高校にはそもそも修学旅行が無いらしい。
島根の公立高校には「修学旅行が無い」ってマジ? 気になる噂の真相を県庁に聞いてみた
https://j-town.net/2022/12/02341415.html?p=all
そもそも修学旅行がなければ、コロナウィルスがどうのという次元ではありません。
そして、修学旅行に行かなくとも別に問題はないといえる事例です。