この文章のトピックスは以下です。
・結婚して夫姓を名乗っている人95%
・夫婦別姓の人は1%
・名前に対する意識は「先祖から受け継がれてきた名称」が最上位
・結婚で名前が変わることで不便・不利益を感じる人は半数強
・近年になるにつれ不便・不利益になると考える人が増えている
・結婚で名前がかわることで新たな人生が始まるような喜びを感じる人は約4割
・選択的夫婦別姓に賛成する人は全体では約3/4
現在名乗っている姓の95%は夫の姓
出典:全国家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)
上記は、現在名乗っている姓についての推移情報です。
「夫の姓」を名乗っている人は2008年94.3%、2022年95.2%、前後比+0.9%です。
「妻の姓」を名乗っている人は2008年4.5%、2022年3.8%、前後比-0.7%です。
「夫・妻別々の姓」は2008年1.2%、2022年1.0%、前後比-0.2%です。
推移で見ると「夫の姓」を名乗っている人がわずかに増え、それ以外がわずかに減っています。
結婚して姓が変わって不便・不利益と感じる人は半数強
出典:家族の法制に関する世論調査(内閣府)
上記は家族と名字・姓に対する意識の推移情報です。
最も意識されているのは「②先祖から受け継がれてきた名称」で半数弱。
2番目は「③夫婦を中心にした家族の名称」ですが、2017年は14%と1位「②先祖から受け継がれてきた名称」回答の43.4%と比べ差があります。
「③夫婦を中心にした家族の名称」実数値は2008年19.4%、2022年13.5%、前後比-6.0%と減っています。
出典:家族の法制に関する世論調査(内閣府)
結婚して、名前が変わることによって不便・不利益があるかの解答が上記です。
全体では、わずかに「何らかの不便・不利益がある」が強いですが、ほぼ半々。
男女別で見ると女性が不便不利益があるが高く、年齢別では若い年代ほど不便不利益があるが高い。
出典:家族の法制に関する世論調査(内閣府)
結婚で名前が変わることによる不便・不利益回答の推移情報が上記です。
「何らかの不便・不利益がある」は1996年41.1%、2017年46.6%、前後比+5.5%です。
「何らの不便・不利益もない」は1996年53.9%、2017年50.9%、前後比-3.0%です。
約20年で不便・不利益があると考える人が増えています。
出典:家族の法制に関する世論調査(内閣府)
上記は結婚して名前が変わるのをどう思うかの解答推移です。
最も意識されているのは「名字が変わり新たな人生が始まるような喜びを感じる」で、1996年43.4%、2017年41.8%、前後比-1.6%です
2番目は「相手と一体となったような喜びを感じる」で1996年25.1%、2017年30.9%、前後比+5.8%です。
選択的夫婦別姓を導入して良いと考える人は2/3~3/4
以下、法務省の「選択的夫婦別氏制度」についても文章です。
「選択的夫婦別氏制度」とは?
選択的夫婦別べつ氏うじ制度とは、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。なお、この制度は一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれることがありますが、民法等の法律では、「姓」や「名字」のことを「氏うじ」と呼んでいることから、法務省では「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいます。出典:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(法務省)
出典:選択的夫婦別姓「賛成」7割 自民支持層64%が「賛成」(朝日世論調査)
上記は「選択的夫婦別姓」導入に「賛成」か「反対」の世論調査、2024年7月の情報です。
全体では73%の人が「賛成」、21%の人が「反対」で、約3/4が賛成派です。
自民支持層は64%の人が「賛成」、30%の人が「反対」で、全体よりも反対派が多い結果です。
些事に臆病だと取り残される
日本史の中で「やってみたら意外と簡単だった」事例はいくつかあります。
徳川家康は、日本で初めて天ぷらを食べた人物。
ポルトガル伝来の天ぷらを食してみたところ、その美味しさに驚き、以後天ぷらは日本料理の一部として定着しました。
日本で初めて新婚旅行に行った坂本龍馬。
寺田屋事件でケガをした龍馬は妻のお龍とともに療養の旅で、霧島温泉へ新婚旅行に出かけました。
当時、結婚時に旅行に行く風習はなく、周囲から止められましたがやってみたら無問題で実現できました。
織田軍と武田軍で争われた長篠の戦で、織田軍が行った鉄砲三段撃ち。
玉込めに時間がかかるため鉄砲がまだ戦場で軽んじられていたころ、射手を3人交代させることで、間断なく鉄砲を発射し武田騎馬軍団を圧倒しました。
これらの日本史事例に共通するのは、柔軟な発想と新しいことへの受容です。
人間は変化を嫌う生き物ですが、適応し続けなければ老害へ突き進みます。
現代でも、ドイツは1993年に選択的夫婦別姓を導入しました。
ジェンダー平等視点で言うなら別姓を受け入れるかどうか子どもでも分かる判断ですが、これはジェンダーギャップ指数で日本が低い数値である理由の1つとも言えます。
異文化を理解し受け入れると、異なる背景を持つ人々が共存しやすくなります。
いまはコンビニやレストランで身近に日本人以外の人があふれており、この先も移民受け入れ以外人口減少を止められない日本では、外国籍の方々が増えていくと思われます。
彼らと協調するか、分断の道を選ぶのか。
すべてを無条件に受け入れるのは現実的ではありませんが、違う視点を取り入れないと滅びるのは、進化論で見ても当たり前のお話。
今回みてきたデータでは「夫婦別姓で良いと考える人は過半数以上」ですが、日本の法制度ではそれを認めておらず少なくとも今の段階でいつ頃、夫婦別姓に切り替わるか分かりません。
ただ、個人的には夫婦別姓に変わるのは時間の問題だと思っています。
今の日本は「巧遅は拙速に如かず」であり、100年後の日本人から「え、昔って夫婦同姓だったの」と笑われる未来が予測できます。
さいごに
2024年4月にCNNニュースで、人口減少社会の日本で夫婦同姓を続けると1つの苗字に収束する以下のニュースがありました。
500年後の日本人、全員「佐藤さん」に? 研究者が推定、結婚率激減なら別の結果も
夫婦別姓は反対派の意見では、夫婦は同じ苗字でないと一体感がなくなると聞きますが、彼らはこのニュースをどう見るのか。
みんな同じ佐藤姓になれば全員で一体感を持てる、と笑えないジョークを真顔で言うのであればうすら寒いです。