20数年間理美容価格は大きく変わらず、施設数や従業員は理容は減少、美容は大幅増加

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統計データ

この文章のトピックスは以下です。
・理容価格は23年で-7.7%
・美容価格は23年で+1.1%
・理容所は26年で-22.8%、美容所は+36.1%
・理容師は26年で-20.8%、美容所は+73.1%
・理容師免許取得者は27年で約7割減
・理容師免許取得者は27年で約1割増
・理容師と美容師2024年合算の免許取得者はピーク比で約4割減

 

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23年理容と美容の1回当たりの価格はほぼ変わっていない

理容・美容 1回当たりの価格
出典:家計調査(総務省統計局)

上記は理容と美容、1回当たりの価格推移です。
理容は2002年\3,027、2024年\2,794、前後比\-233(92.3%)です。
美容は2002年\3,122、2024年\3,165、前後比+\43(101.4%)です。

理美容価格に大きく影響した1つに1000円カットがあります。
ただ1000円カットの代名詞的存在QBハウスの1号店オープンは1996年です。
1990年代後半、すでに1000円カットは普及しており、この情報の最初の年は2002年で、1000円カットは存在していました。
この前提で考えたとき、ここ23年で理容価格は少し下がり、美容価格はほぼ横ばい。
2020年以降の物価上昇を踏まえるなら、理容・美容の価格は据え置き(上昇がわずか)です。

施設数と従業員数は理容は減少、美容は増加

理容所・美容所 施設数
出典:衛生行政報告例(厚生労働省)

上記は理容所・美容所の施設数です。
理容は1998年142,786、2023年110,297、前後比-32,489(77.2%)です。
美容は1998年201,379、2023年274,070、前後比+72,691(136.1%)です。
26年で理容所は減少、美容所は増加しています。
街を歩いていても特徴的な赤白青のサインポールを、いまは見かけなくなりました。

理容師・美容師 従業員数
出典:衛生行政報告例(厚生労働省)

上記は、理容師・美容師の従業員数です。
理容は1998年251,859人、2023年199,467人、前後比-52,392人(79.2%)です。
美容は1998年201,379人、2023年579,768人、前後比+244,836人(173.1%)です。
施設数同様理容所は減少、美容所は大幅増加です。
特に美容は26年で施設数1.36倍なのに対し、美容師数は1.73倍になっています。

理容師と美容師の新規免許登録件数はピーク比4割減

理容師・美容師 新規免許登録件数
出典:新規免許登録件数(公益財団法人理容師美容師試験研修センター)

上記は、理容師・美容師の新規免許登録件数です。
理容は1998年度4,711人、2023年1,394人、前後比-3,317人(29.6%)です。
美容は1998年度16,451人、2023年18,361人、前後比+1,910人(111.6%)です。
理容師の免許取得者ピークは、1999年度の6,092人。
美容師の免許取得者ピークは、2005年度の29,452人。
理容師と美容師を足した数のピークは、1999年度の33,986人。
ピークから考えると2024年度の新規免許登録件数は58.1%と、約4割減です。

整髪は必要でもありそれ以上の意味にもなる

この文章の一番上のグラフである理美容の価格推移では、2002年から2020年まで価格がほぼ横ばいでした。
さすがに2020年以降の物価上昇以降は増加していますが、それでもお米の価格がこの期間に1.5倍~2倍の増加率に比べれば微々たるもの。
現場で働いている人たちが、どういった想いなのかと考えてしまうところです。

このブログで何度か書いていますが、プロの技術に適正なお金を支払うのは社会循環として正しい。
それとともに、現実的には可処分所得が減少しているので、生活防衛視点で回数を減らす選択する世情はあります。
仮に理美容院に行く回数を減らすとしても、それなりの金額を支払うのは妥当です。

今回のデータ内では美容院施設数は増加の一途なので、この業界は生存競争が厳しいと言わざるを得ません。
また、理美容は典型的なエッセンシャルワークで、コロナウイルス渦の時は大変なマイナスダメージを受けた業界です。
当時、美容院の前を通った時、いつもはお客様でにぎわっているお店の中に店員さんしかいない光景は、当事者ではないので無責任ですが「カットを控えるのはしょうがないご時世だからなぁ」と思っていました。

この先、理美容院がどうなっていくのか。
一部ではオーガニック素材を使っていたり、完全個室型の高付加価値サロンも出てきており、高価格帯サービスもある。
反面、コスパ重視の街のカット屋さんを普段使いする人は、どこの駅でもそのお店を見かけることからニーズがある。
髪は自然に伸びるので、セルフカットや家族に切ってもらうような状況でなければ、われわれは理美容院に行く必要はあります。

こうした必要に迫られて、現実的に髪を整える視点もありますが、そうではない観点もある。
僕が一定の年齢まで理解していなかっただけなのですが、老人ホームへ出張ヘアカットに行くお話が、あるとき腹落ちしました。
外出頻度が高いわけではない老人が、出張ヘアカットサービスを受ける。
その目的について、以下は一部の感想ですが、このコメントを読むと女性にとっては特に身だしなみを整える意味は大きいと理解できました。

鏡の中の私に久しぶりに会えた気がする。ありがとう。
おしゃれして孫に会えるのが楽しみ。
髪を切っただけで心まで軽くなった。

自分の技術によって、目の前のお客様が喜んでくれる。
「やりがい搾取」と言われることがある業界なので、部外者が無責任に発言するのは憚られますが、上記のような感想は気持ちを高ぶらせるものがあります。

さいごに

日本の理美容院の価格は世界に比べ安いと言われます。
イギリスでコスパが良いとして多店舗展開しているSupercutsの価格表をみると、カットのみは24ポンド、1ポンド200円として4,800円。
日本のQB HOUSEの値段は、2025年9月時点でカットのみで1,400円です。

円安状態の2025年ですが、理美容価格もその1つとして世界と日本の差を感じます。