愛国心に積極的な人は高齢者で目立つ

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統計データ

2023年初頭、国を愛する気持ち(愛国心)を持つと回答する人は51.2%です。
年齢層で見ると、高齢者ほど愛国心が高く若者ほど低いのは一般認知と同じ。
アメリカのように独立記念日を盛大に祝う習慣のない日本で、そもそも愛国心を抱くシチュエーションがいまはほとんどありません。
個人主義が進んでいる時代に、愛国心育成を目指すのであれば難題です。

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国を愛する気持ちを持つ人は約半数

国を愛する気持ちに付いて、内閣府が行った調査結果がこの文章の主題です。
回答者は、日本全国18歳以上日本国籍を有する3,000人。
調査時期は、2022年12月1日~2023年1月8日です。

国を愛する気持ちの程度 総数・性別・年齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

国を愛する気持ち全体意見ですが「非常に強い」と「どちらかといえば強い」を足すと51.2%、「どちらかといえば弱い」と「非常に弱い」を足すと10.3%。
愛国心を持っている回答者が約半数です。
単独選択肢の1位は「どちらかといえば強い」の42.4%ですが、次点が「どちらともいえない」の37.5%です。

男女別にみると、男性の方が国を愛する割合が高い。
女性の単独選択肢の1位は「どちらともいえない」の43.3%と半数弱です。

年齢別にみると、高齢世代ほど愛国心が強く全体平均51.2%のところ、70歳以上は66.6%。
逆に愛国心最低値の年齢層は30~39歳の36.3%。
18歳から49歳までは、「非常に強い」と「どちらかといえば強い」を足しても4割前後です。

国を愛する気持ちの程度 男女年齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

男女年齢別では、男女とも年齢が高いほど愛国心が高く、男女とも70歳以上はそれ以下の年齢に比べ10%以上の差をつけています。
18歳~29歳は男女とも最低値ではなく、愛国心最低値改装は30歳~39歳です。

国を愛する気持ちの程度 都市規模別・地方ブロック別国を愛する気持ちの程度 都市規模別・地方ブロック別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

都市規模別でみると、都心部の方が愛国心がわずかに低い。
一番低い分類が「東京都区部」、一番高い分類は「町村」。
地方ブロック別で見ると、大きな差はありませんが、最下位は「東北」、近畿以西が高いブロックです。

国を愛する気持ちの程度 家族構成員別・世帯累計別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

家族の人数でみると、大きな差はありません。
家族2人がこの中では愛国心がわずかに高いですが、大きな差ではありません。

世帯累計も同様、差はわずか。
「夫婦だけの1世代世帯」と「親と子と孫の3世代世帯」がやや高いくらいです。

国を愛する気持ちの程度 子どもの有無・子どもの学齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

子どもの有無分類では、「子どもがいる」が「子どもがいない」より高い。
子どもに聞いた愛国心があるかでは、最下位は「小学生」ですがそれほど大きな差はなく。
中学生以降、愛国心が少しずつ高くなっています。

国を愛する気持ちを育てる必要があると考える人は約8割

このブロックは、愛国心を育てる必要性についての回答結果です。

国を愛する気持ちを育てる必要性 総数・性別・年齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

愛国心を育てた方が良いと思う回答の「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を足すと82.2%。
1つ上のブロック、最初のグラフの愛国心を持っているかの回答51.2%なので、愛国心を持っていないが愛国心は育てた方が良いと考える人との差は約3割です。

男女別にみると、やや男性が高い結果ですが大きな差はありません。
1つ上の段落1つ目のグラフ、愛国心を持っているか回答で女性は44.6%、愛国心を持った方が良いと考える女性は80.9%。
女性は男性に比べ、愛国心を持ちたいが育てられていないとも言えます。
年齢別にみると、高齢世代がその割合が高く再若年の18~29歳が最下位です。

国を愛する気持ちを育てる必要性 男女年齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

男女年齢別の傾向は男性と女性で同じく、高年齢者ほど愛国心を育てる必要性を感じています。
「男性70歳以上」層は、一番愛国心を持つべき選択肢である「そう思う」を50.0%が選択しています。

国を愛する気持ちを育てる必要性 都市規模別・地方ブロック別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

都市規模別では都市部が低く、地方部が高い。
地方ブロック別では「北陸」と「中国」が高いですが、総じて高いとも言えます。

国を愛する気持ちを育てる必要性 既婚未婚・子どもの有無・子どもの学齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

既婚・未婚分類では、「未婚者」が愛国心を育てる必要性を低いと回答。
「既婚で離別または死別」が、愛国心を育てる必要の1位です。
子どもがいる・いないでは「子どもがいる」がやや高い。

子どもに聞いた愛国心を育てる必要は、総じて高い結果。
若年層ほど一番愛国心を育てる必要があると思う選択を選んでおり、年齢が上がる毎に2番目の選択肢「どちらかと言えばそう思う」が増えています。

社会志向は6割、個人志向は4割

「国や社会に目を向けるべき」か「個人生活の充実を重視するのか」の解答結果が以下です。

社会志向か個人志向か 総数・男女別・年齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

総数では、「国や社会に目を向けるべき」と考える人が58.4%、「個人生活の充実を重視するのか」が39.8%です。
男女別ではほぼ、差はありません。
年齢別にみると、高齢者ほど国や社会を重視、若年層ほど個人重視です。
この辺りは、たいていの人の体感値と近い気がします。

社会志向か個人志向か 男女年齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

男女年齢別では、高齢者ほど社会指向。
「女性18~29歳」は女性の中で最下位ではなく、女性最下位層は「40~49歳」です。

社会志向か個人志向か 都市規模別・地方ブロック別 
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

都市規模別にみると、「小都市」が一番社会指向が低い。
そのほかは、同じような割合です。
地方ブロック別では、「東北」が社会指向が低い。
そのほか、大差はありません。

社会志向か個人志向か 既婚未婚・子どもの有無・子どもの学齢別
出典:社会意識に関する世論調査(令和4年12月調査)(内閣府)

既婚・未婚の差はほとんどありませんが、やや「未婚」回答者は個人志向が強い結果です。
子どもの有無も同様大差はなく、「子どもがいる」層がやや社会指向が強い。

子ども達の解答では、年齢が上がるほど社会指向が高くなっています。
社会人に近づくにつれ、個人志向から社会指向になっているようです。

ここまでをまとめます。
・愛国心を持っていると考える人は日本全体で51.2%
・男女比較では男性の方が、年齢比較では高齢者ほどその割合が高い
・愛国心を育てる必要があると考える人は約8割
・男性や高齢者ほどそう考える人が多い
・社会指向が重要と考える人が58.4%、個人志向が39.8%
・男女比で差はなく、高齢者ほど社会指向が高い

現代日本下で愛国心増進は難しい

育児でも、会社組織で部下と接する時でも「内発的動機付け」と「外発的動機付け」は、耳にする言葉です。
「内発的動機付け」は自分の内側からやりたいと思える状態、子どもにとって勉強が楽しいと思って続けてくれるのが理想ですが「外発的動機づけ」に比べ難易度が高い。
「外発的動機付け」は、例として「報酬」が分かりやすく、これやったらコレが貰える、仕事と給料の関係です。

愛国心、祖国愛(そこくあい)は、自分の国家や共同体に対し、愛着や忠誠を抱く心情。愛国主義は、自国のために尽くそうとする思想や運動。

出典:愛国心(wiki)

自国に愛着や忠誠心、自国のために尽くすとき、「外発的動機付け」の極端な例として第二次世界大戦の日本軍を思い出します。
第2次世界大戦中、愛国心に関するアンケートを取ったら、とてつもなく高いポジティブ回答になると予測できます。
もちろんそれは本心ではなく、人間が人間扱いされなかった日本の黒歴史の1つです。

その後、戦後の高度経済成長期、物質的に豊かになり、自信を持つ人が増えました。
大半の人が同じ方向を向いて、みんなで日本を盛り上げていこう。
高度経済成長期の日本は、人口ボーナスが最大要因ですが社会全体が活力にあふれていました。

令和の現代、同じ方向を向く概念自体、絵に書いた餅と言うか、大半の人が同じ方向を向く状況をイメージできません。
ネットの発達で個人へのパワーシフトが起こり、嫌だと思う事を拒否や発言し、世論が同調するケースもある。
選択できる自由度が高いと、愛国心にはマイナス要素になります。

日本国内の治安は相変わらず良く、経済衰退期ですが基本は平和で、他国の悪いニュースを見ると日本はまだましと考える人は多い。
他国へ移住できる人は多くはなく、日本に住む選択は積極的選択と言うより、他国比較して消去法的に選んでいるのではないか。
そこに愛国心は、感じられません。

平成以降生まれの人々にとって、愛国心を問われてリアルな肌感覚で感じる人がどの程度いるのか。
そもそも日本を意識するタイミングが稀有です。
思いつくのは、オリンピックやサッカーのワールドカップ、野球のWBCあたりで日本代表を応援する人がいます。
ただ視聴者層を見ても若者たちの興味は薄く、親身にテレビにかじりついている大半は中年以降の世代。
テレビを保有しない若者も増え続けています。

若い人ほど、個人志向が強く、それは愛国心とマッチしない。
ただ、自分の若いころを考えてみても、若い時は自分のことで精いっぱい、世界が狭く自分以外に尽くす発想や能力がまだ育っていない時期ではあります。
ただ、そんないまの若者が中年期以降、愛国心が高まるかと言うと、それもイメージしにくい。
日本において、愛国心はエキセントリックな情勢にならないと、この先も上がらないのではないか。

愛国心があったほうが良いか無くても良いかと聞かれたら、僕はあったほうが良いに投票します。
ただ、それは二択しかない選択の場合で、かつ表層的な回答でしかありません。
育児をしていると、社会のため発想が思考内に存在しますが、国のためにと考えるかというと心許ない。
こんな時代に愛国心向上施策を提案してください課題を受けたなら、なかなかに無理ゲーです。

人は他人からの押し付けが苦手です。
令和時代の空気感としても、多様性重視が基本で強制は嫌われます。

日本の未来に明るい展望を描けない人が増え、若者たちは内向きになるお話は、ニュースだけではなく自分の体感値として同意です。
この状況で、愛国心を持ったり国に忠誠を求められても順番がおかしい。
自分のいまの生活や未来の不安が、現実の課題です。

さいごに

無政府主義者などでなければ、たいていの人は自分の国を誇りたいと思っていると僕は考えています。
しかし現実、日本を誇っている人を身の回りでほぼ聞いたことがなく。

そんな中、日本礼賛のテレビ番組やYouTUBEは存在しており、日本スゴイを声高に叫んでいる場面を目にします。
YouTUBEコメント欄を見ると「知らない日本の一面をご紹介してくれてありがとうございます」的な賛意が大半です。
こういうところにネガティブ意見を書く人はほとんどいないので当たり前ですが。

良い面を認識し、謙虚に受け入れる姿勢は大事です。
反面、直近で話題になった「ジェンダーギャップ指数」評価で、日本の順位が落ち続けている現実などもあります。

人と向き合う時、自分最高と(心の中で)連呼する人と一緒にいたいか。
悪い評価も受け入れ、中庸を目指すのは大人の対応です。