ボタン電池の乳幼児誤飲5年で930件・ボタン電池の危険性

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育児・子供観察

「ボタン電池」を飲み込むと、どの程度危険なのかご存知でしょうか。
大人は誤飲することは基本的にありませんが、赤ちゃんは何でも口に入れます。
2017年12月に「ボタン電池誤飲が5年で930件」というレポートが発表されました。
別レポートでは「重症化することを知らない保護者が6割」とのこと。誤飲の危険性と緊急時対応をまとめました。

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ボタン電池・乳幼児誤飲は5年で930件

東京慈恵医大と一般社団法人「電池工業会」よって以下の実態調査が発表されました。

2011年~15年の5年間に全国調査結果
調査方法は日本小児外科学会などを通じて202カ所の医療機関に質問116カ所(57.4%)から回答
調査結果によると誤飲により小児外科や小児救急を受診したのは計939件
食道や胃、十二指腸などにとどまり、食道が傷つくといった健康被害が15件(うちコイン形は14件)

出典:ボタン電池誤飲レポート(東京慈恵医大と電池工業会)

2011年~15年の出生数が512万人で割ってみると、939件は0.018%。
この数字が多いのか別として、以下記載の「どうしてボタン電池が危険なのか」読むと危険性が理解できると思います。

年齢別誤飲件数

2014年に消費者庁より発表されたレポートの中の年齢別情報が以下。


出典:乳幼児(特に1歳以下)のボタン電池の誤飲に注意!(消費者庁 国民生活センター)

1歳児が誤飲年齢では突出しています。2位が0歳児、3位が2歳児。

確かに1歳前後の赤ちゃんは本当に何でも口に入れます。
口に入れてイロイロ検証しているのですが、危険かどうかは関係なし。

どうしてボタン電池が危険なのか

ボタン電池が消化管に接触し電池から電流が流れると、電気分解でアルカリ性の液体が作られます。
このアルカリ性の液体はタンパク質を溶かす性質をもっており、短時間に消化管の壁に損傷を起こす可能性があります。

一言で表すと「ボタン電池を飲むと内蔵に穴が開く」恐れがあるということです。「最悪の場合、死に至る恐れがあります」という強い表現も、日本電池協会パンフレットに記載されています。

 


出典:ボタン電池を使用した商品に注意(消費者庁 国民生活センター)

 

上記が鶏肉での試験画像です。20分で穴が開いていることがわかります。

 

2007年1月~2014年5月までに当院で経験したボタン型電池誤飲症例は18例
いずれも,縦隔炎,食道気管瘻などの重篤な合併症を認めた
コイン型リチウム電池は直径が大きいため食道に停滞しやすく
起電力が高いため通電による組織障害を短時間で起こしやすい
などの小児にとって危険な特性がある。
可能な限り早期の除去と除去後の内視鏡を含めた慎重な経過観察が必要である
またその危険性について社会への啓発が重要である

出典:当院で経験したボタン電池誤飲症例の検討(日本腹部救急医学会雑誌)

実際、海外では30件以上の死亡事故が報告されています。
米国で2015年末、2歳の女児がボタン電池を飲み込み数日後に死亡しています。

実際の日本国内の事故事例

<事例1>タイマーの蓋を取って遊んでいて電池を誤飲しカテーテルで摘出
タイマーの蓋を取って遊んでいるのを母親が発見。
中にあるはずのボタン電池が見当たらず受診。
腹部レントゲンで胃にボタン電池を確認したため、マグネットカテーテルにて摘出。
ボタン電池は黒色に変色していた。
(事故発生年月 平成 25 年8月、1歳・男児・軽症)

<事例2>おもちゃが壊れ、中のボタン電池を誤飲しカテーテルで摘出
おもちゃが壊れ、中のボタン電池を誤飲。最初に受診した病院で腹部に電池があることは確認できたが、
マグネットカテーテルがなく、別の病院へ搬送、摘出。
(事故発生年月 平成 25 年 12 月、0歳・女児・軽症)

<事例3>電池保管のケースの蓋を開けて誤飲、摘出手術後 ICU 収容
電池を入れておくケースの蓋が開いていた。丸い電池が1個見当たらず受診。
レントゲンにて電池を確認、摘出手術。手術後 ICU 収容。組織破壊が進んでいたため、
食道に穴が開きかねない予断を許さない状態にて、約1か月間入院。
電池は起電力3Vの新品のコイン形のリチウム電池。
(事故発生年月 平成 26 年1月、2歳・男児・中等症)

<事例4>LEDライト付き耳かきの電池を誤飲し気管と食道に穴が開いた
引き出しの中に収納しているLEDライト付き耳かきが放り出してあり、
子どもがコイン形のリチウム電池を誤飲したことがすぐに分かった。
病院にて9時間かけて取り出したが、放電の影響で気管と食道に穴が開き、2か月入院した。
しばらくは食事が取れず、固形物を受け付けなかった。
(事故発生年月:平成 25 年8月・1歳・男児)

出典:乳幼児(特に1歳以下)のボタン電池の誤飲に注意!(消費者庁 国民生活センター)

 

ボタン電池が使われている機器の例

・おもちゃ
・リモコン
・小型LEDライト
・車の鍵
・時計
・体温計
・補聴器
・保管しているボタン電池そのもの

小型の電子機器はボタン電池か単4電池です。

誤飲の可能性があったら

誤飲しているか確証がなくても「すぐに病院」です。可能性があったら迷わず以下に連絡です。

▼救急安心センター
電話番号:#7119
対応時間:24時間年中無休
対象地域:東京・北海道・愛知・奈良・大阪

▼小児救急電話相談
電話番号:#8000
対応時間:自治体により対応時間が異なる
対象地域:全国

▼救急
電話番号:119

誤飲しないようにするには(誤飲対策)

ここまで読んで、誤飲の危険性はご理解いただけたかと思います。
大人側が赤ちゃんを守るべく、対策が以下です。

①ボタン電池製品を子どもの手の届かない場所におく
②ボタン電池を使用している製品をなるべく使わない
③ボタン電池使用製品を使う場合はテープを張るなど対策しておく
④電池交換を子どもの目の前で行わない
⑤ボタン電池自体の保管に注意

個人的意見

育児は本当に大変で「ふっ」と気が抜けるときがあります。
と言うよりうまく気を抜く時間も重要です。
しかしそんなちょっとしたスキに事故が発生するのも事実。

実際、僕の家でも子どもがリモコンのフタを外して、乾電池を口に含んだことがあります。
あわてて取り上げましたが、子どもはキョトン。
確かに悪意やイタズラではなく、あくまで興味・検証からの行動。

電池業界側も少しでも事故を減らそうとパッケージを変えたりしています。
最近のボタン電池は、取り出しにくいパッケージになっているのはこういう理由だそうです。

事故率が低いということは、この場合まったく意味がありません。
ご自分のお子さんに・・・想像もしたくないことは世界共通です。