お年玉は漸減中、その苦い経験は人生の財産

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育児・子供観察

以前、お年玉を渡す大人側の金額情報について調べましたが、今回はもらう側・小学生の情報です。
2022年、小学生のお年玉平均は20,047円で、年次推移でみると下がってきています。
その中にはお年玉ゼロの子も10%程度いる。
もらったお年玉の使い道として貯金が1位ですが、お金を使う経験としてもお年玉は大事です。

 

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小学生のお年玉金額は一昔前から下がっている

2022年の小学生のお年玉金額の情報が、学研教育総合研究所にありました。

小学生 お年玉の平均金額 2022年
出典:小学生白書 2022年9月調査(学研)

全体平均は20,047円、男子は19,182円、女子は20,912円と女子の方が少し高額です。
傾向として小学校の年次が上がる毎に、金額が増加しています。

小学生 お年玉の支給率と平均金額 推移
出典:小学生の学習・日常生活の30年の振り返り(学研)

同じ学研教育総合研究所にあった、1992年からのお年玉の支給率と平均金額の情報が上記です。
一番古いデータが1992年で、この年が平均金額・支給率とも最高値。
1992年の平均金額は23,562円、支給率は99.7%。

その後、少しづつ下がっていき、2011年にいったん上昇。
次の2015年は一気に下がり、2019年はまた少し持ち直し。

1992年と2022年を比べると、平均金額で-3,515円(85.1%)、支給率で-10.0%です。
いまはお年玉が貰えない子が10人に1人います。

小学生・お年玉の支給額は10,000円~25,000円がボリュームゾーン

小学生 お年玉の金額 2022年
出典:小学生白書 2022年9月調査(学研)

上記は男女別、学年別の小学生のお年玉の金額です。
ボリュームゾーンは10,000円~25,000円。
年次が上がる毎に、少しずつ高額者が増えています。

小学6年で50,000円以上のお年玉をもらっている子の割合は12.5%。
お年玉をくれる大人のうちだれか1人が50,000円を渡しているのか、両家の祖父母がそれぞれ例えば30,00円を子どもに渡しているのか。
昔から小学生のお年玉で50,000円もらえている子が1割強いたのか分かりませんが、お金持ちと呼ばれる階層が一定いると言えます。

小学生 お年玉がなし 2022年
出典:小学生白書 2022年9月調査(学研)

上記はお年玉が「なし」の子の、男女別・学年別の情報です。
全体平均は10.3%、男女比では女子が高い。
年代別では、低学年ほどお年玉が「なし」の子が多い。

お年玉が「なし」の理由はこの情報元では不明、その理由はわかりません。
お金がないわけではなく、教育方針としてお年玉を渡さない保護者はいるとは理解できます。
あるいは、経済的に厳しいご家庭であったり、施設で暮らしている子どもはお年玉なしというのも想像できます。

小学生のお年玉の使い道の約半数は貯金

小学生 お年玉の使い道(複数回答) 2022年
出典:小学生白書 2022年9月調査(学研)

上記がお年玉の使い道の情報です。
複数回答形式のものを100%割合グラフで作成しています。

一番使い道で多いのは「貯金」で約半分。
僕の子どもの頃は、親が勝手にお年玉を貯金していましたが、いまは果たして本人意思なのか。

その次に「オモチャ」「ゲーム機・ソフト」と続きます。
男女比で見ると「ゲーム機・ソフト」を購入するのは女子より男子。
女子は「キャラクターグッズ」「洋服・衣類」「アクセサリー」と、女性らしい使い道が男子より多い。

「CD・DVD」を購入する小学生の全体平均は1.2%ですが、小6に限っては3.8%。
メディアが売れなくなった現代、小6の一部の子どもは、CD・DVDをわずかな割合ですが購入しています。
好きなアーティストやアイドルグループを応援している可能性もありますが、他に好きなアニメ番組などのメディアを購入している人もいると予想します。

ここまでをまとめます。
・2022年の小学生のお年玉平均は20,047円
・男女比では女子、年次が上がる毎に金額が高くなっている
・1992年と2022年のお年玉金額を比べると-3,515円、-10.0%
・小学生のお年玉は10,000円~25,000円がボリュームゾーン
・お年玉がなしの子は約10%
・お年玉の使い道の約半数は貯金

お年玉は失敗経験の種

僕は小学生の頃、お年玉で「良くない買い物」をした記憶がいまでも残っています。

小学生時代の僕にとって、お年玉は年に1回の特別収入でした。
お年玉自体は複数の親族からもらえていましたが、親同士で金額協定が結ばれており、体感ですがそれは平均より低かったように記憶しています。

ある年、欲しいゲーム機本体があり、買える金額のお年玉が貰えたら購入できるかもと年末からソワソワしていました。
結果、お年玉だけではゲーム機本体の金額に足りなかったのですが、毎月のお小遣いでギリギリ定価金額に届きました。

正月明け、意を決して一人で自宅から一番近いおもちゃ屋さんに行きました。
いまならその意味が身に染みて分かりますが「虎の子」とはこの時のお金を指しており、大げさに言うと命を抱えるくらい大事なお金をポケットに握りしめての出陣。

当時、僕が住んでいた地域は地方のベッドタウン、おもちゃ屋さんと言えば昭和時代の個人経営のオモチャ屋さん1件しかありませんでした。
いまのようにネットもなく、ショッピングモール内の大きなおもちゃ屋さんがあるわけでもなく、おもちゃを買うと言ったら同級生みんな同じ店。

その時の僕にとって、高額商品を一人で買うのは生まれて初めての行為。
心理ハードルは高く、お店に入る時、異様に緊張していました。
それでも欲しい商品があり、いまの所持金なら買える。
恐る恐るカウンターに行って、お店のオジサンに欲しい商品を告げました。

お店のオジサンからの解答は「その商品は在庫切れです」。

今も昔も、人気商品は売り切れる。
お年玉を受け取った後のオモチャ屋さんは、人気商品から売れていくのも当たり前です。
勇気を振り絞って声をかけたのですが、在庫切れまで頭が回っておらず、僕はがっくりと肩を落としました。
そこで話が終われば、後日、在庫入荷時にお目当ての商品購入となったかもしれませんが、ここからが「良くない買い物」に繋がります。

お店のオジサンは「こっちの商品なら、まだ在庫はあるよ」と、お目当ての商品とは違う、不人気メーカーのゲーム機本体をオススメしてきました。
僕は「そっちで良いか」と不人気メーカーの商品を購入して、買ってから数日は楽しめたのですが、やがて電源を入れなくなりました。
人気商品であれば人気ソフトが続々出て長期間楽しめたのですが、不人気商品はそうではなく。
もちろん自分の決断なので誰の責任でもなく、自分の決断の結果です。

この経験はいまでも、僕のお金を使う時の指針の1つになっており、教訓として「安易に第1希望を妥協すべきではない」となっています。
第2希望以降の商品を買った後、第1希望商品を見聞きすると「やっぱり、あっちの方が良かったのでは」と微妙な後悔をし続ける。
意図的に100均で購入するなどは一つの理想的な買い物ですが、大事なものや長く使うものなどは、良いものを買わないと精神的に尾を引きます。

すべてが第1希望が叶うわけではなく、時にはそれ以外の選択肢から何かを得ることはあっても、基本姿勢は第1希望を目指す。
少し高額であっても、期待値で考えるなら第1希望入手を目指した方が最終的には満足感が高いのは、大抵の人は経験しています。

子どもにとって、お年玉は1つの失敗経験のチャンスです。
もちろん良い買い物や体験をして、成功経験となるシナリオもある。

僕は子どもを持つ親として注意しているのは、大人目線で無駄だと思うものであっても口出ししないこと。
子どもが欲しいものは、大人から見ると?となるのは当たり前。
自分はいままで、たくさんの無駄なものを買ってきているのに、子どもがダメな理由がみつかりません。
子どもがその時それが欲しい気持ちを尊重する。

お金を使う経験値が低い状態で、高額なお金の使って失敗したならそのインパクトは大きいことは、容易に想像がつきます。
子どもが失敗した買い物をした後「コレで良い」とやせ我慢のような発言だったとしても、自分がうまくないお金の使い方をしたと理解しています。
これは対人関係と同じく、小さな擦り傷をたくさん抱えて、自分なりの距離感を獲得する通過点です。

子どものうちからうまく失敗経験を積むのは、のちの人生の財産になります。
まとまった退職金が入って株で溶かすネタはネットに良く転がっていますが、あれは作り話だと僕は考えていますが、実際にそうなったなら暗い老後です。

大人になってから、子どもの頃買った大半のオモチャは、コレクター的なモノを除けば無駄なモノです。
その無駄が大事な経験であり、楽しく遊ぶ時間を買うのも含め、子どもにはお年玉をうまく使ってほしいと思います。

さいごに

2020年より少し前から、お賽銭を電子マネー対応した神社が出始めました。
興味深い試みだったので、当時、ニュースで良く取り上げられていました。

お年玉も、いずれ電子マネーになっていくと僕は予想しています。
物理的なお金のやり取りがこの先減っていく流れの中、淘汰されるものの1つがお年玉です。

物理的に「はい、お年玉」と、大人が子どもに手渡すのがいまの一般。
近未来の電子マネーお年玉は、渡す相手の子のご両親アカウントにお年玉送金になるのかと思っています。