プロは成功を喜ばない

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育児・子供観察

嬉しそうなオッサンだらけ。
これが、はやぶさ2のプロジェクト成功画像を見ていて、僕が思ったことです。
嬉しそうなのですが、爆発的な喜びと言うより、達成したなぁという感じの人が多かったと見受けられました。
本物のプロフェッショナルは、成功に対して爆発的に喜ばないと、僕は考えています。
真逆ですが、子どもは大きく喜ぶ経験を積んでほしいとも思っています。

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はやぶさ2のプロジェクトメンバーのプロ集団

2019年7月にはやぶさ2の、物質回収が成功したニュースが世界に流れました。
これまでのはやぶさ2の軌跡を簡単にまとめます。

はやぶさ2は、小惑星探査用の実験機。
小惑星「リュウグウ」への行って、サンプルを採取して戻るのがミッション。
2014年12月に打ち上げ、2018年6月に小惑星「リュウグウ」の上空20kmに到着。
2019年7月に初代はやぶさはができなかった物質採取のための弾丸発射して物質回収に成功。
2020年に地球帰還予定。

ここまでもたくさんの困難を乗り越えているので、世界中のニュースになっています。
僕も興味があって、ぱらぱらニュースサイトなどを眺めていました。

プロジェクト解説サイトを読んで知ったのですが、本プロジェクトは約300人の科学者・工学研究者・技術者。
そのメンバーは専任ではなく兼任、それぞれ別の仕事を抱えての、プロジェクト参加とのこと。
まず、この点に興味を持ちました。

そしてもう1点、気になったのが、「メンバーがオッサンだらけ」。
白髪のオッサン
はげたオッサン
眼鏡をかけたオッサン
白髪で前頭部がはげていて眼鏡をかけたオッサン
わずかに女性

みごとにオッサンばかりの、理系メンバーの集まったプロジェクト。
画像を見ると、そのオッサン達が、言葉にすると小さなガッツポーズをしているイメージ。
日本人ぽくもあり、科学者っぽくもあり、プロフェッショナルぽくもあり。

プロは安定した結果を出すのが当たり前ということを、見ていてしみじみ感じました。

プロは成功を喜ばない

そもそも日本人は感情を表に出すのが苦手だと、生粋の日本人の僕は考えています。
中でも、オッサンはその最たる種族。
いつもムスっとして笑顔を見せることがあるのだろうか、というオッサンも高齢者にはいます。

こうした笑顔が苦手とは別に、理詰めで考えるような理系に属する人は、あまり喜ばないと考えています。
「自分の頭で計算した内容が、予想通りの結果になっただけ」

例えるなら、自分が乗っている自転車が動かなくなったとして、原因を探って乗れるようにする。
動かなくなっている部分はどこか、タイヤなのか、ブレーキが邪魔しているのか、ギアなのか原因特定。
正常に動くところを除外して原因切り分けしつつ、故障か所を特定。
その故障か所が動くようになるには、部品交換が必要なのか、別の対策が必要なのか。

この程度の事であれば、たいていの科学者やエンジニアは何の感情も抱かず、淡々とやると思います。
やや強引ですが、今回のはやぶさ2を上記の車の故障か所分析の「難易度が高くなっただけ」と捉えたら。
自分の担当部分について、「計算や実験を踏まえ結果うまくいっただけ」と考えれば、感情が大きく振れないかもしれません。

ただ、今回のはやぶさプロジェクトは、一発勝負の要素もかなりあったようです。
この辺りが、プロジェクト成功画像を見ていて、理系のオッサンが結構な笑顔でよろこんでいるな、と思った点です。

日本の理系大学の男女比率は周知の事実通り

理系のオッサンは感情の起伏がないのか。
そうではない、僕は経験上からも思っています。

大枠では、文系に属する人(何を持って文系なのか知りませんが)感情を表に出している人が多いと思います。
そして理系の人は、比較的感情は控えめ。
その理由を考えると、大前提として「論理性」が求められるためかと思います。

うまくいったときも失敗した時も「ん?待てよ、これはどうしてこうなったんだ?」と自問自答。
こんな思考パターンの人が、理系に集まっている。
好きだから集まるのか、集まった人がその色に染まるのか、鶏と卵のような気もします。

また、脳科学で女性の方が脳梁(右脳と左脳をつなぐ神経)が太く、感情的になりやすい説も以前はありました。
しかしいまの科学の定説は、この説も間違っていないが、これが決して女性が感情優位の原因ではなく、男女差よりも個人差が重要といなっています。

一応、2018年の日本の大学生の理系の男女比は以下の通り、男子学生が圧倒的。


出典:学校基本調査-平成30年度結果の概要-(文部科学省)

今回のはやぶさ2プロジェクトは、大半が科学者やエンジニア。
上のグラフ以上に、このプロジェクトは男性(数)優位、オッサンだらけだったというわけです。
画像から勝手に男女比を推測すると、10対1で男性優位だったと思っています。

そのオッサン科学者やエンジニアが、子どものころ感情の起伏が激しかったのかわかりません。
たいていは、一人で考えることが好きな子どもだったと予想はできます。
それでも、文系理系問わず、特に幼少期は、感情を爆発させる経験は、子どもにとって良いのではと僕は考えています。

子どもは感情ファーストで良い

大人になったらある程度、未来予測(計画)を立てて、何かに取り組む姿勢が生きていくうえで必要になります。
たとえば、乳児の子育てなどは典型的で、1秒の睡眠時間を捻出するために、どれだけ先読みシミュレーションをするか。

対して子ども、特に幼児など計画性はゼロ。
当たり前ですし、それで良いというより、それが正しいと僕は思っています。

大人が気を付けることは1点のみ。
邪魔をしない(一緒に遊ぶこともふくめ)。

子どもは「遊びたい」その一心。
遊ぶ行為に論理性ばかりを求めては、多分楽しくないです。
「遊び」が、手段と目的が一致していると言われるのもうなずけます。

これやりたい(遊びたい)。
無我夢中になる。
いつのまにか夕暮れになっている。

子どもは「好き」「楽しい」「嬉しい」の感情で、まっしぐらで良いと思っています。
そこから学ぶことは多く、自分のやりたいことや、苦手分野を知る良い機会でもあります。
論理的ではないですが、その経験が、将来、その子の人生を支える背骨になることも多いはず。

計画性・着地点を見据えるのは、早くて小学校のどこか、人によって10代になってからでも良い気がします。
ただどこかで、プロフェッショナル的な視点、計画性・実行能力の引き出しを持つのは必要。
船出はしたが、どこに行くのかわからないような、人生難破船はいただけません。

さいごに

僕は男で、オッサンです。
この属性だからかもしれませんが、今回のはやぶさ2ミッションは、僕の目にはとても魅力的に映りました。

一流の科学者・技術者が集まって、前人未到の領域に挑む。
どうなるか分からない状況が多いのも、闘争心をあおられます。
「火消し」は僕を含む一部の人を高揚させます。

そんな状況で、このプロジェクトマネージャーが今回のミッションに「100点」をつけています。
技術者が100点をつけるのは、とても意味が深い。

それは良い歳をしたオッサンたちが集まって、宝島に到着して宝箱を見つけたようなものかもしれません。

それとともに、いつも自省を含め思うこともあります。
それは、支えてくれている家族がいる点。
プロジェクトメンバーの全員が妻帯者ではないと思いますが、既婚者であれば妻子の存在。

こんな一級のプロジェクト、しかも本業を持ったうえでの掛け持ちであれば、まずメンバーは家庭を顧みる時間はないでしょう。
そうすると、奥様が家庭内を一手に担って、日常を切り盛りされている姿が、容易に想像できます。
子どもが小さければ、奥様のワンオペ確定です。

男のロマンという単語があります。
裏を返すと、妻子がいるのであれば、それは妻子の支えがあってのことだと、僕は子どもを持って心底、理解できるようになりました。