【成長喪失】子どもの背中のスイッチが見つからない

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育児・子供観察

言葉が話せない時期のわが子と、パパの2人だけの時間。
子どもが泣いて母親を求めても、ママが不在の時のパパのドキドキ。
孤立無援で兵糧僅か、援軍(ママ)の到着(帰宅)を待ち望むパパは、籠城戦を覚悟した戦国武士の気分です。
ママからみると「なんちゅう甘ったれな事を・・・」なのですが、現場のパパに余裕はありません。
子育てにどれだけ参加しているかにかかわらず、ほぼ全パパが一度は経験した心象だと思っています。

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子どもがやらなくなったことではなく

この成長喪失シリーズは、子どもが成長するにつれて「子どもがやらなくなること」を取り上げていました。
これまでの主人公は子どもですが、今回の主役はパパ。
子どもが言葉を話し出すかどうか前後の、乳児期の一コマのパパの不安のお話です。

一般的に、母親と子どものペアは安定で、子どもが泣いてもグズっても、ママには日常風景でたんたんとこなすルーチンワーク。
あまり取り上げられない、実際はママの頼もしさの土台があっての状況です。

それ以外に、パパ+子ども+近くにママがいる構成も、比較的ありがちなパターンです。
ショッピングセンターなどでも、よく見かけるパーティです。

公園に子ども+パパのペアも最近は一般的ですが、今回はまだ子どもが公園で遊べないような、歩くのもままならない乳児期。
乳児のわが子とパパの二人のみ、何らかの事情で母親が近くにいない時のお話です。

ママに美容院に行く時間をプレゼント

乳児期のママは365日24時間、臨戦態勢。
このころの母親が欲しいものアンケートで、最上位に上がるのが「自分一人の時間」。
平日は子どもとずっと一緒で、睡眠もままならない。
少しの時間でも一人になりたいというのは、子育て経験があれば男女問わず、首肯すると思います。

そんなママに、日ごろお疲れ様の謝意も込め「今度の週末、僕が家で子どもを見ているから、美容院でも行って来たら」とパパが提案する。
たいていの場合、その提案だけでも、ママの声音が1トーン上がると思います。
それはまるで、社内で険悪なムードで同僚とやりあっているところに外線が入り、よそ行きの声に切り替わるような。
それくらい、ママの日常は戦場です。

実際にママが美容院に行って、わが子とパパの二人になると。
新鮮でもあり緊張感もあります。
「ほんの数時間なので、たいしたことない」と自分に言い聞かせる。
そもそも自分を鼓舞している時点で、緊張しているのですが。

そして、自分の思い通りにならないのが世の常。
楽観予想から外れたとき、それまでの経験が、パパの余裕度となります。

日ごろどれだけ子育てに参加しているか

ご飯を食べさせるくらいは、現代のパパなら通常対応、それなりに経験済みの行動。
お昼ご飯の準備、子どもに食べさせ、後片付けまで、たんたんこなす。
どんな食べ物をどの温度くらいにして、子どもが食べないときはどうするのか。
オムツの交換も、ほぼ全パパがクリアでしょう。

問題は子どもが泣き止まなかったり、病気などの緊急事態になったとき。
緊急事態に出会う確率は低いですが、発生時にはそれまでイレギュラーケースに出会ってきたかも1つのポイント。
例えば、嘔吐くらは日常的にありますが、発疹や痙攣などになったら。

経験していれば、落ち着いて初動行動ができます。
子どもの状態を見つつ、救急車を呼ぶかどうかの判断。
迷うようであれば、電話するのは119番ではなく救急相談サービス#7119。

イレギュラー事態の遭遇確率は低いのでひとまず横において、子どもが泣き止まないケースはかなりの確率で遭遇します。

あるはずのない背中のスイッチを探す

多分、「泣き止まない子ども」が一番、パパの体験談として多く、そして人に話すレベルでもないので、パパの中で消化する(せざるを得ない)内容。

何かのきっかけで、子どもの「泣き」スイッチが入る。
これまでの経験で、わが子が泣き止ませた実績がある対応を、1つ1つ試していく。
うまくどこかで泣き止めばよいですが、問題は何をしてもダメなとき。
ミルクを飲ませても、抱っこして背中をトントンしても、歩きながら軽い揺れを作っても効果がない。

だんだん、パパの持ちカードがなくなっていきます。
パパの心の余裕メーターも、どんどんピンチエリアに近づいていく。

いよいよ万策尽きると、あとはすでに試した持ちカードを繰り返す。
オムツは気持ち悪くないか、部屋の気温は高くなっていないか、体調が悪い雰囲気はないか。

いつもはママがいて、たいていママが抱っこして泣き止む、またはうまくあやす。
それが自分(パパ)だと、うまくいかない。

そのうちパパは訳が分からなくなってきて、子どもの背中の「泣きスイッチ」を探し始めます。
確か背中の真ん中くらいに・・・。
いくら探しても、そんなスイッチはありません。

我に返って、次の行動は「ママ頼みます、早く帰ってきてください」の他力本願。
パパは自分からママに「ゆっくりしてきなよ」と言った手前、電話するわけにもいかず。
届くはずもない「早く帰ってきてテレパシー」を送り続けます。

電話しないもう1つの理由として「パパ一人では頼りにならない」と言われるのが癪に障る。
「時間よ止まれ」もしくは「時間よ100倍の速さで進んでください」とまたしても現実逃避。
そんな中、腕の中のわが子は、相変わらずの豪快な泣きっぷり。

やがて、ママの「ただいまー」の帰宅の声が聞こえる。
パパの緊張感は、一気に緩みます。
それは、真っ暗の知らない街で、遠くにコンビニの煌々とした明かりを見つけた時のような。

やはりママは偉大

帰ってきたママは、たいてい上機嫌です。
久しぶりの一人の時間、美容院で美容師さんと大人の雑談などで気晴らしができたのか。

帰ってきて泣いているわが子を見ると、「あらー、どうしたのー」と抱っこしてあやします。
すると、さっきまでギャン泣きの赤ちゃんが、スヤスヤスヤ。
・・・さっきまであんなに泣いてたのに。

泣き疲れたのか、ママの安堵感なのか、健やかな寝顔。
それを見て、パパは自分の戦闘力の低さを実感します。

そんな打ちひしがれた心境でも、ママへの一言も忘れてはいけない。
「その髪型、さっぱりしていて良いねー」

ママと子どもは上機嫌。
パパの心はサハラ砂漠。

それでも、子どもとパパのペアで、こうした状況になるのは、振り返ってみるとわずかな期間。
子どもが一定の年齢になったり、母親が里帰り出産などで強制的に2人の状況になれば、このパパのドキドキは経験できなくなります。

さいごに

僕はわが家の子どもが小さなころ、一度、深夜に救急車で病院に駆け込んだことがあります。
幸い大事なく、乳児の何割かが発症する症状で原因不明、成長とともに消えるものでした。
子どもを持って知ったのですが、子どもの病気は原因不明が結構あります。
ただ、その時の経験はその後も役に立ちました。

局所的ですが子どもが具合が悪くなると、どんな経過をたどるのか。
高熱などの時には、どんな対策が効果的で、いつ体策を講じるかの指針を持てました。
あらかじめ準備として、脇と股に冷却用の専用グッズを購入なども購入しました。

心理面でも慌てふためくことなく、状況を観察しつつ、時間と状態をメモしておき、#7119に電話する(緊急時は119番)。
自宅周辺に、緊急で受け付けてくれる小児科病院がいくつあるのか、その病院の評判はどうなのか。
特に夜中なら、自宅にタクシーはどのくらいの時間で来てくれるのか。

自分の身体は自分が一番わかっている、という言葉がありますが、僕はそう思っていません。
過去、自分の身体と長い時間一緒にいて、一番可能性が高そうな原因・症状は予想はできますが、単にそれだけ。
自分が医師ではなく、変なプライドや見栄などのバイアスも含め、僕は自己判断が正確とは遠い位置にあると思っています。

しかし、わが子が病気で苦しんでいる姿を見ると、そんなことは言っていられない。
冷静かつ客観的に状況判断、迅速に行動。
子どもが苦しんでいる姿を見ると、自分のことより何倍も本気になるのは、どの親も一緒だと思っています。