指の間から覗き見る

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育児・子供観察

自然災害にどの程度、準備対応するか。
災害リスクにあう可能性を知っていて、あえて見ない場合も時にはあります。
どこにいても被災確率がゼロにはなりませんが、でくるだけ低減を目指す。
災害発生確率が低くとも、被災してからでは、後悔先に立たずです。

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ハザードマップを確認する人は54%

自分が住んでいる地域のハザードマップを確認しているかのアンケート結果が以下です。


出典:自分の住んでいる地域のハザードマップ、確認していますか?(日本トレンドリサーチ)

54%の人が確認しており、残りの46%が確認していません。
近年の自然災害ニュース増加から、「ハザードマップ」の認知度は上がっていますが結果は半々。

ハザードマップを確認していない人の人物像を想像すると、1つにインターネットに接続できない高齢者が思い浮かびます。
パソコンでもスマホでも検索できれば、自分の住んでいる地域のハザードマップは簡単実見られます。

ハザードマップポータルサイト

パソコンやスマホがない環境で、ハザードマップを見る方法として思いつくのが図書館。
図書館に印刷物としてハザードマップがある場合と、図書館のパソコンを利用してネット上のハザードマップを見る。

実現案として思いつきますが、高齢者が使い慣れていないパソコンをあえて使うのはハードルが高い。
また、印刷物をわざわざ図書館に足を運んで見るのかというと、そこでも実現可能性が低い。
ハザードマップを見るには、ネット環境が大きな境目だと感じます。


出典:自分の住んでいる地域のハザードマップ、確認していますか?(日本トレンドリサーチ)

2つ目のグラフで目を引くのは、住んでいる地域が自然災害が高い区域に含まれているのを確認している人が、27.5%いる点。
リスク受容している人です。
たとえば、山間(やまあい)の谷地形や大きな川の側に住んでいて、昨今のニュース映像から危険が予想できる。
ドライに考えれば赤信号ですが、そこに長年住んでいたとか、何らかの事情がそこには存在する。

リスクがあるなら、移住すれば良いのでは。
若いころは、ストレートな物言いで「現実を見ないのは逃げ」と言いがちですが、そうした勢いこそ若さとも言えます。
それが歳を重ねると、分かっていて見て見ぬ振りする行為が、相手を慮って所作だったりもする。
お酒が大好きだったが、肝臓を悪くして余命半年と医師宣告された人に、お酒の危険性を説くのは大人としてどうか。

目を反らすのとは逆ですが、人間にはあえて怖いものを見る、怖いもの見たさもあります。

 

子どもも怖いもの見たさはある

3歳~6歳の幼児に、動物とお化けのカードを計10回の選択させ、怖いカードを選択した回数を怖いカード選択得点として得点化した。
結果は年齢が上がるほど怖いカード選択回数が多く、最年長の年長では10回中5.23回、怖いカードを選択した。

出典:幼児期における怖いもの見たさの心理の発達(発達心理学絵研究 2014 第25巻)

この研究結果を読んで、回数が妥当かは別として、年齢が上がるほど恐怖耐性がついて怖いカード選択回数が増えるのは納得です。
絵本でも、乳幼児向け絵本で怖い物語が少ないのは、その表れかもしれません。

少しずつ怖い事に耐性が付き、最初は見ないように両手を目に当てるが、少しだけ指を広げて覗き見る。
恐いもの見たさの絵本としての最高傑作『ねないこ だれだ』を思い出します。

この本、せなけいこさんの愛嬌のある絵ですが、結末インパクトは刺激的。
恐いエンディングですが、100万部以上の販売本で構成されるミリオンブックの1冊で、いまは300万部以上売り上げの人気本です。

現代は、メンタル影響を考える時代です。
衝撃が強いものを、不用意に小さな子どもに投げる大人は、いまは希少種。
大人でも、被災時にはメンタルケアが重要という考えが一般的になりました。

大規模災害での心の傷

災害時のPTSD(外傷後ストレス障害)は一般認知されましたが、災害時にはASD(急性ストレス障害)もあります。
災害にあった直後にはASDの懸念があり、中長期にわたって影響がでるPTSD。

 

反応/時期 急性期
発災直後から数日
反応期
1~6週間
修復期
1か月~半年
身体 心拍数の増加
呼吸が早くなる
血圧の上昇
発汗や震え
めまいや失神
頭痛
腰痛
疲労の蓄積
悪夢・睡眠障害
反応期と同じだが徐々に強度が減じていく
思考 合理的思考の困難さ
思考が狭くなる
集中力の低下
記憶力の低下
判断能力の低下
自分の置かれた辛い状況がわかってくる 徐々に自立的な考えが出来るようになってくる
感情 茫然自失
恐怖感
不安感
悲しみ
怒り
悲しみと辛さ
恐怖がしばしばよみがえる
抑鬱感、喪失感
罪悪感
気分の高揚
悲しみ
淋しさ
不安
行動 いらいらする
落ち着きがなくなる
硬直的になる
非難がましくなる
コミュニケーション能力が低下する
被災現場に戻ることを恐れる
アルコール摂取量が増加する
被災現場に近づくことを避ける
主な特徴 闘争・逃走反応 押さえていた感情が湧き出してくる 日常生活や将来について考えられるようになるが災害の記憶がよみがえり辛い思いをする

出典:災害時のこころのケア(日本赤十字社)

実際に災害にあった後は、精神的にも物理的にもマイナスになる。
回復までには、長短差はあれど時間を要し、一生引きずるようなものも存在する。

データで見るなら、日本は災害に会いやすい国であり、近年災害件数も増えている。
特に子どもを持つと、危険に対し回避意識が高まりますが、そうでなくとも自然災害対策を考えるのは普通です。

見るか見ないかも自分で判断

リスク向き合う考え方として、リスクマネジメントで4つの分類があります。
・回避(リスクの原因を取り除く)
・低減(リスクが発生したとしてそのリスクを減らす)
・移転(保険のようにリスクを第三者に移転する)
・保有(リスク発生を前提のそのまま受け入れる)

僕は自然災害については、リスク回避が第一と考えています。
具体的には、自分の家族が住む場所を決めるとき、災害に強い場所を選ぶ。

たとえ、家族全員が怪我無く無事であったとしても、住む場所がなくなるような災害にあったなら、そこからの復旧は相当に重い。
保険金額を上げてリスク移転したとしても、一時、生活が大きく損なわれ、心理面でも厳しい。
当たり前すぎますが、被災しないが最大の目標点です。

会社に近い(住職接近)も考え方として分かりますが、いつまで同じ組織にいるか未定の時代。
リモートワーク普及もあり、住職接近の優先順位は下がっています。

上記は住む場所を自由に選べる人が考える視点。
慣れ親しんだ土地や、親の敷地内に自宅を建てるなど、分かっていて災害リスクエリアに居を構えるケースはある。
その場合「リスク低減」や「リスク移転」で、「被災する」前提で事前対策を厚くする必要が高まります。

とは言え、どこであっても被災可能性がゼロになることはなく。
どこまでを受け入れるか(リスク保有)、各ご家庭の事情次第です。

自分達で考えて判断し、結果に責任を持つ。
何でも自分で抱え込むのとは、別のお話です。

未来を予測し、リスクマネージして、楽しい人生を送る。
災害ニュースは、他山の石として、考えるきっかけです。

さいごに

きれいでないと分かっていても、見て見ぬ振りする典型例として、自分が使っている枕や布団があります。
興味があればGoogle検索していただければ、その意味していることが分かります。

仮に顕微鏡が手元にあって、自分の使っている枕の顕微鏡画像を見られたとしても、僕は見ません。
見た後、その枕を使うのをためらう可能性が高い。

清濁併せ呑むの強さ・深さは、年齢を重ねると磨きがかかります。