園のICT化による共同化

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育児・子供観察

保育園・幼稚園のICT化が進んでいます。
その中の1つ、一昔前は、園からの連絡は印刷物(プリント)でしたが、ICT化するとメールなどに変わる。
わが家の子どもが所属している園の通知はメールですが、これは保護者側にとってメリットが大きい。
導入時のハードルはありますが、時代の潮流はデジタル側に傾いています。

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印刷物は怖い

印刷物で何が一番怖いのか、それは子どもから親に伝達されない状態です。
子どもは、なくしてしまったのか、忘れてしまったのか。
それでも、小さな子どもに完璧を求めるのも無理筋です。

親側は連絡事項を知らず、子どもを園に送り届けたとき、その日に必要なモノを知り「聞いていないよ」とうなだれる。
本当に重要な情報は、園の先生から親に直接渡されますが、そうではない日常的なモノは、連絡もれになる可能性を多分にはらんでいます。

そうした印刷物配布システムでの1つの解決策は、ママ友とのクロスチェック。
何人かのグループ、あるいは子どもが仲の良い友達のママさんと、子どもがもらってきた印刷物で重要情報記載があったら連絡するルールにしておく。
自分の忘れ防止とともに、他人からのアテンションで抜け漏れ対策をする。

印刷物ではなく、メール連絡になれば、そうした情報管理が親側にとって非常に楽になります。

ICT化金額は2020年で77億円

「保育園・幼稚園・認定こども園のICT化関連市場規模予測」が以下です。

出典:保育園・幼稚園・認定こども園のICT化関連市場規模予測(株式会社シード・プランニング)

以下の4つの金額が、グラフになっています。
・ICTシステム
・ベビーセンサ・見守りツール
・インターネット写真販売
・ネットワークカメラ

この中で一番成長見込みが高いものが[インターネット写真販売]で、2018年と2025年比で418%。
[ベビーセンサ・見守りツール]は唯一減少していて、2018年と2025年比で17%(83%減)。

この中で「ICTシステム」が、園や家庭からの情報連絡をはじめとする、手続き業務のIT化にあたります。
欠席連絡や緊急連絡もここには含まれており、特にたくさんの園児の家庭への緊急連絡には効果を発揮しそうです。
ICTシステムを抜き出したグラフが以下です。

出典:保育園・幼稚園・認定こども園のICT化関連市場規模予測(株式会社シード・プランニング)

2023年まで伸長して、それ以降横ばい。
この需要予測が正しければ、2021年の今が市場拡大期に当たります。
2023年までにIT技術を導入する園と、導入しない園で分かれそうです。

ママとパパでリアルタイム情報共有

保育園・幼稚園からの情報が印刷物だった時代に、その印刷物をママとパパが共有できていたか。
わが家は、情報伝達掲示板的な場所を作って、今月のスケジュールや、園らかの連絡簿を張り出して、お互いにそこを見ていました。
これはこれで、たいていの情報共有ができていた気もします。
幸いにも、子どもが親にプリントを渡し忘れもなかったため、致命的な状況にはなりませんでした。

印刷物自体を、自宅内の共有ポストを作って、そこに入れておくのも一案。
ただ、共有ポストだと上記の掲示板と同様、既読管理が難しく、入れたものを見ていないことも発生する。
そうした印刷物がメールで届くようになると、家庭内共有手続きが減ります。

共有メールアドレスでも良いですし、メール転送でも良いので、ママとパパの2人が閲覧できるメールアドレスを作る。
個別アドレスの方が、未読管理がしやすいので、メール転送が理想的です。
園から家庭向けの情報が発信されると、まず登録アドレスに届き、転送設定でもう1つのアドレスに転送される。

ママとパパは、それぞれ自分の都合の良い時間に、その情報を確認。
運動会などの大きなイベントだと、準備するものも出てくるので、事前に夫婦で準備分担を決めるきっかけになります。

忘れ物で失敗したとき、いつも準備している側(主に奥様)を、見ている側(主に旦那)が責めるシーンは、容易に想像できますが、これは、婦関係がマイナス方向。
それを両名が同じ情報を保有し、どちらも当事者意識を持ち、協力というか共同戦線で、ことに当たる。
そうすれば失敗したときも、相手を責めるのはお門違いで、自分の不始末になる。
その後、最重要の再発防止策を一緒に考え未来につなげるのは、夫婦関係がプラス方向に傾きます。

写真販売もICT化は便利

ICT化で、頻繁に使われるものの1つに出欠管理があります。
子どもの休園・遅刻連絡は、たいしたお話ではなく、電話ではなくメールで良いもの。
会社組織では、欠勤連絡を電話ではなくメール・SNSにすると心理ハードルが下がるのであえて電話、という話を聞いたことがありますが、子どもの園であればそこは考慮点でもなく。

他にもICT化で有用そうなものは以下です。
・非常時連絡、突発連絡(一斉連絡)
・連絡帳
・登園管理
・延長保育管理
・園の先生方の情報共有
・写真販売

写真販売は、一度ネット販売に慣れると、元には戻りたくないモノの1つです。
ネットがない時の行事写真購入は、園に張り出された実物を見て、番号を手書きメモして購入。
それがICT化になると、自宅で写真を選ぶのは当たり前ですが、子どもの顔認証もできる。

顔認証は、個人情報に敏感な人に抵抗がありそうですが、数百枚ある写真、おなじ服を着た同じような背丈の子どもの中から、自分たちの子どもの写真をみつけるのは、ウォーリーを探せです。
やってみると分かりますが、全部の写真を見ると消耗します。

ICT化ですでに実装されているサービスもあるのかもしれませんが、追加機能としてほしいものとして、入出金の諸所。
給食費や市区町村への諸手当申請などお金関連が、マイページで完結できるとありがたい。
公的機関へ提出する書類も、そろそろネット完結してくれないかと、僕は感じています。
これは、公的機関側が対応していないとできませんが、いまだに押印して園へ提出なのは時代錯誤。

マイページ内で、こうした手続き系が完結すると、縁側で申請忘れのアテンションとしても有用です。

ネット環境が整っていない人は

僕は、ICT化が普及してほしい側ですが、そうではない保護者もいる。
たとえば、いまスマホ・携帯電話・固定電話がないご家庭がいたとして、どこまで救うのか。

「弱者切り捨て」論がありますが、現実、全部が救えるわけではありません。
全員の意見一致はなく、人間は自分の都合を通したい生き物なので、決定者は何らかの判断軸で、やる・やらないを決めるだけ。

いま、僕が保育園・幼稚園の園長だったなら、メール受信とブラウザ閲覧できる環境を標準にします。
ガラケー利用者や、固定電話のみの人は、個別に印刷物配布で対応、緊急連絡は通常電話にします。

どこかで「切る」のは、判断者にとって最重要事項。
ダラダラ継続しても、コストばかりかかり、本来行うべき「園ですべきこと」の時間を奪ってしまう。

仮にそれに反対する親がいるのであれば、転園を薦めるのも視野に入れてよい。
独善的になるのは悪手ですが、妥当なバランスポイントを目指して、全体幸福を目指す。

消費者優位(保育園・幼稚園であれば子どもを預ける側)の時代は、すでに終わっています。
モンスターペアレントからのクレームにも、園は正しい主張を通すことで、周囲への示しになり、他の親御さんたちも公平にジャッジしてくれる。
良くも悪くも、異常状態はネットでたたかれます。

他に、現実論としてハードルになると思うのが、保育士さんがICTに慣れる時間をどう確保するか。
実際、慣れてしまえばたいていのことは効率化されますが、そもそも余力がない現状に、一時でも負荷を増やしてしまう事にはなります。

それでも、保護者側の勝手な物言いでもありますが、子どもに集中できるようICT化で時間を生み出すと考える。
園のICT普及は、たいていの関係者が幸せになるものだと思います。

さいごに

この文章を書くとき、僕はICTとITの違いを知らず、ネット検索しました。

・ICT(Information and Communication Technology 情報通信技術)
情報技術を活用して情報を伝達すること、人と人をつなぐ

・IT(Information Technology 情報技術)
ハードウェアやアプリケーション、インターネット、インフラなどさまざまなもの

上記の2つであれば、保育園・幼稚園にサービス導入する場合、IT化でも間違っていませんが、ICTの方が目指す先を指しています。
園の業務改善・効率化は目的ではなく、子どもと向き合うための時間を作るための手段。

技術革新速度は速く、どこまでついていくのか悩ましいですが、試しに使ってみるくらいの心理ハードルの低さでトライするのが良い気がします。