放課後をどう過ごすか

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育児・子供観察

子どもの放課後の遊び場所が、時代の変化で変わってきている。いまの子どもは親世代と比べると、インドアが増えています。子どもを取り巻く社会環境がその要因であり、それを作り出しているのは大人側。そのうえで、いつの時代も子どもにとって遊びは重要で、楽しい時間を過ごしてほしいと思う親は不変です。

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子どもの遊び場は今も昔も自宅が1位

子どもがどこで遊ぶか、いまの子どもとその親世代の比較がありました。

【子どもの普段遊んでいる場所/(親が)子どもの頃遊んでいた場所
出典:「小中学生の“遊び”に関する意識調査」結果(バンダイ)

いまの子ども世代は親世代に比べ、「自宅(+11.2%)」「ショッピングモール(+14.5%)」「映画館(+7.1%)」「学童保育所(+5.5%)」が増えています。逆に、いまの子ども世代で減った遊び場所は、「学校の屋外(運動場等)(-6.1%)」「空き地(-20.7%)」「寺社(-6.9%)」「裏山(-9.4%)」。インドアが増え、アウトドアが減っています。

放課後に遊ぶ場所
出典:小学生白書 2022年9月調査(学研教育総合研究所)

上記は、別の2022年9月調査結果ですが、こちらも「自宅」が圧倒的に多い。2022年はコロナウィルス蔓延中の特殊状況であり、「自宅」が高いのはその意味も含まれていると予想できます。他に1つ上のグラフになかった項目では、「友達の家」や「習い事」があります。「習い事」も昔とは違い、いまの子ども達は習い事の数が多くなっています。

習い事をするしないは毎日の楽しさと無関係
いまの子ども達は、複数の習い事をしている。 それを否定的に考える人もいますが、子ども達の幸福感アンケート結果では、一概にそうとは言えず。 習い事が、子どもの世界を狭めるのか、広げるのかは答えはありません 子どもが楽しんでいるのなら、理想的な...

児童クラブ登録児童数はここ20年で約3.5倍

この文章の1つ目のグラフ内「子ども達の放課後の遊び場」の中で、8番目に多かった「学童保育所(6.1%)」。「学童」という呼び名が一昔の通称だったと認識していますが、いまの呼び名は「放課後児童クラブ」。他にも「学童保育」「学童クラブ」などいろいろな名称がありますが、呼称違いなだけでだけですべて同じ「放課後児童健全育成事業」です。

放課後児童クラブ数 登録児童数 待機児童数
出典:令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)

放課後児童クラブ(グラフ内 青色 棒ブラフ)はここ20数年で、右肩上がりの増加です。2000年は10,994、2022年は26,683と242.7%の増加。

登録児童数(グラフ内 オレンジ色 折れ線ブラフ)も、増加の一途。2000年は392,893人、2022年は1,392,158人と354.3になっています。

保育園の待機児童問題は一般化しましたが、放課後児童クラブも待機児童数(グラフ内 灰色 折れ線ブラフ)がいます。ここ20年で、山り谷ありの推移ですが、全体的には増加傾向。2002年は5,851人、2022年は15,180人と259.4%になっています。

以下、放課後児童クラブの2022年の各種詳細情報です。

放課後児童クラブ数 設置場所
出典:令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)

放課後児童クラブ 登録児童数の規模別の状況
出典:令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)

放課後児童クラブ 学年別 登録児童数
出典:令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)

放課後児童クラブ 終了時刻の状況(平日)
出典:令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)

放課後児童クラブ 待機児童数の学年別の状況
出典:令和4年(2022年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(厚生労働省)

放課後児童クラブの登録児童数では小学1年生が1位。子どもが小学校に上がる時、園時代に比べて仕事との両立が困難になる「小1の壁」は、共働きご家庭にとって影響する場合は重いものです。

2020年の共働き割合は約7割

共働き等世帯数の推移
出典:令和3年版男女共同参画白書(男女共同参画局)

放課後児童クラブへの参加者増加の背景に、共働き増加があります。2020年、共働き世帯は1,240万世帯、全体割合では68.5%。両親は仕事をし、子どもは放課後児童クラブに行くのは、現在、組織で働いている僕の身の回りでも普通に耳にします。

一般世帯の家族類型別割合の推移
出典:令和2年国勢調査(総務省統計局)

祖父母が子どもの面倒を見るのも、あまり聞かなくなりました。と言っても2023年の東京、僕の周辺では3世帯家族で子育てしているご家庭もわずかですが存在します。実際の数値では、3世帯家族は上のグラフで一番右の灰色部分にあたり、数字上は減っています。

出産年齢の高齢化に伴い祖父母の高齢化も進み、孫と四六時中一緒が疲れる発想もいまはよく聞きます。時代の移り変わりの速さで、祖父母時代と現代のルールの違いもある。祖父母が孫に強く言わない姿勢が、多くなったと感じます。

さらに核家族、個人主義の進行は相変わらず進んでいます。若干の揺り戻し、たとえば地方移住の話もありますが、大都市圏への若者の集中は相変わらずで、この先昭和時代の村社会に戻るとは思えず。結果、子どもが家か学校、放課後児童クラブ、塾にいる時間が増える。リスク回避発想で、それ以外の場所が少なくなっている点も含め、現代の潮流です。

ドラえもんの裏山は象徴

この文章の一番上のフラフでいまの子ども世代で減った遊び場所が以下でした。
・学校の屋外(運動場等)(-6.1%)
・空き地(-20.7%)
・寺社(-6.9%)
・裏山(-9.4%)

上記の最後の裏山について、最近僕の知人の個人的感想ですが、「ほとんどの人には自分の思い出の裏山があるのかもしれない」、と言っていました。その裏山は、住んでいる環境によって違いがある。都会に住んでいる人は段差のある傾斜地を裏山的な存在、山が身近な地方だと本格的登山となるような山を指している。

1つの典型例として、ドラえもんに出てくる裏山は、たいていの日本人はイメージできると思います。のび太君が家出など、何かあるとお世話になる低山、かけっこして頂上まで登れる山です。
子どもが一人で入れ、民家などの建物は存在しません。

日本100名山などのメジャーな山は、人が歩ける登山道があり、登山技術がいるとしても入山はできます。対し、そのほかの登山道がない大多数の山は、一般人はまず入れない。そういう意味で現実的には、大人も子どもも山に入って遊ぶのは、いまも昔も少数派だと想像します。

登山道がない山は、現実的には木が生い茂っていて、まず入れません。無理して分け入ってみても、擦り傷だらけになって少しだけ登るくらいしかできず、やっても多分、楽しくありません。ドラえもんに出てくる、あの子どもだけで入れる山は、デフォルメされた漫画的な山だと改めて気づきます。

また、何度かこのブログにも書いていますが、東京で「空き地」はほとんど見かけません。家を取り壊して更地にしている時があっても、ロープなどがはってあり、やがて新たな家が建つ。もしかすると、現代の東京で育った子ども達にとって、空き地で遊ぶ概念自体が存在しないのかもしれない。

子ども達も忙しく、習い事が増え、友達と遊ぶために事前調整する。スケジュール調整の結果、多人数で集まれる可能性は低く、友達と遊ぶにしても少数になる。昭和時代、年齢のばらばらな近所の子どもが集まって、路上で陣取りやゴム飛び、缶蹴りなどは、周辺住民配慮も含め減りました。子どもが遊ぶ環境を、大人が規制した結果です。

昔の環境が良かったのか、分かりません。現実的にできないことが増えていますが、長い目で見た時、どうなるのかは考えても意味は薄い。

個人的には、現代は安全側に寄せすぎだと感じます。子どもを信頼して、もう少し非安全側でよいのではないか。それが危険側か冒険側なのかわかりませんが、その経験を奪う可能性について一人の親として気になります。

さいごに

友達と遊ぶ機会が、昔に比べて減っている。さまざまなことを考えると、多分事実です。

身体を使って遊ぶことで、脳も活性化し精神的にもリフレッシュできる。他者とのかかわりで社会性が身に付いたり、遊びを作り出す発想経験もできる。

ただ、外遊びを含む遊びの機会が減っているから危機的に煽るかというと、僕にはそうは思えず。子ども時代に友達と良い時間を過ごせればそれは1つの宝物ですが、読書好きで友達が少なかったとしても、そこに優劣はありません。

放課後の時間の使い方が変わるのは、時代の変化の1つでしかなく。どんな環境であっても、しっかり遊んで、子どもらしい楽しさをたくさん経験してほしいと思います。